相続税の計算の仕組み

相続税は取得した財産が基礎控除額を超える場合に、その超える部分に対して課税されます。相続人は相続の開始を知った日(通常、被相続人が死亡した日)の翌日から10ヵ月以内に申告し納税する必要があります。

相続税の計算の仕組み

相続税の計算の仕組み 相続税の計算の仕組み

  • 3年以内の暦年贈与

    2024年1月1日以後の贈与により取得した財産に係る相続税については、7年以内の暦年贈与が相続税の対象となります。また、加算される財産のうち、相続開始前3年超7年以内の贈与により取得した財産について加算する額は、その贈与により取得した財産の合計額から100万円を控除した金額とされます。

相続税算出の概要

課税遺産総額の算出

相続税算出の概要 相続税算出の概要
法定相続人の数 0人 1人 2人 3人 4人 5人 6人
基礎控除額(万円) 3,000 3,600 4,200 4,800 5,400 6,000 6,600

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  • *相続税額の計算上用いる相続人数は税法で定められています。

相続税の総額の算出

相続税算出の概要 相続税算出の概要

(2015年1月1日以後の相続開始に適用)

法定相続分に応じた各相続人の取得金額 税率 控除額
1,000万円以下 10% 0万円
1,000万円超 3,000万円以下 15% 50万円
3,000万円超 5,000万円以下 20% 200万円
5,000万円超 1億円以下 30% 700万円
1億円超 2億円以下 40% 1,700万円
2億円超 3億円以下 45% 2,700万円
3億円超 6億円以下 50% 4,200万円
6億円超 55% 7,200万円

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各相続人の納付税額の計算

各相続人の納付税額=相続税の総額(E)× 実際の取得割合で按分(F)ー 各税額控除の適応

税額控除:配偶者の税額軽減の特例

配偶者は法定相続分または1億6,000万円のいずれか多い額まで相続しても相続税はかかりません。

相続税の計算例

2020年10月1日に夫が死亡し、妻と子供2人(成人)が3億円の財産を相続しました。
この他、ローンの残額が5,000万円あり、葬式費用には200万円かかりました。なお、遺産は妻が5分の2を取得し、残りを子供に均等に配分しました。相続税はいくらになりますか。

STEP1 遺産総額の計算

財産3億円

STEP2 正味の遺産額の計算

STEP2 正味の遺産額の計算 STEP2 正味の遺産額の計算

STEP3 課税遺産総額の計算

STEP3 課税遺産総額の計算 STEP3 課税遺産総額の計算

STEP4 相続税の総額の計算

①課税遺産総額を法定相続分で按分

課税遺産総額を法定相続分で按分 課税遺産総額を法定相続分で按分

②法定相続人ごとの相続税を合計(相続税の総額)

法定相続人ごとの相続税を合計(相続税の総額) 法定相続人ごとの相続税を合計(相続税の総額)

STEP5 各相続人の税額の計算

相続税の総額を各相続人に実際の取得割合で按分

STEP5 各相続人の税額の計算 STEP5 各相続人の税額の計算

STEP6 各相続人の納付税額の計算

  1. (1)妻の納付税額

    配偶者の税額軽減

    配偶者は法定相続分または1億6,000万円のいずれか多い額まで相続しても相続税はかかりません。

    ①配偶者の実際取得分
    2億4,800万円×2/5=9,920万円
    ②配偶者の法定相続分
    2億4,800万円×1/2=1億2,400万円
    ③結論
    妻は1億6,000万円(②<1億6,000万円)まで相続しても相続税はかかりません。
    したがって、妻が相続したのは①9,920万円であるため、妻の納付税額は0円ということになります。

  2. (2)子A及びBの各納付税額

    ステップ5における1,170万円

  3. (3)各人の納付税額

    各人の納付税額

相続税の早見表

法定相続分で相続したものと仮定

■配偶者と子が法定相続人の場合
(2015年1月1日以後の相続開始に適用)

(正味)遺産の額 子1人 子2人 子3人
6,000万円 90万円 60万円 30万円
7,000万円 160万円 112万円 79万円
8,000万円 235万円 175万円 137万円
9,000万円 310万円 240万円 199万円
1億円 385万円 315万円 262万円
2億円 1,670万円 1,350万円 1.217万円
3億円 3,460万円 2,860万円 2,539万円
5億円 7,605万円 6,555万円 5,962万円
8億円 14,750万円 13,120万円 12,134万円
10億円 19,750万円 17,810万円 16,634万円
20億円 46,645万円 43,440万円 41,182万円

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  • 配偶者の税額軽減を適用

■子のみが法定相続人の場合
(2015年1月1日以後の相続開始に適用)

(正味)遺産の額 子1人 子2人 子3人
6,000万円 310万円 180万円 120万円
7,000万円 480万円 320万円 219万円
8,000万円 680万円 470万円 329万円
9,000万円 920万円 620万円 480万円
1億円 1,220万円 770万円 629万円
2億円 4,860万円 3,340万円 2,459万円
3億円 9,180万円 6,920万円 5,460万円
5億円 19,000万円 15,210万円 12,979万円
8億円 34,820万円 29,500万円 25,739万円
10億円 45,820万円 39,500万円 34,999万円
20億円 100,820万円 93,290万円 85,759万円

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小規模な宅地の場合、特例で評価減!

不動産の相続税評価額を、減額できる制度が小規模宅地等の特例です。面積や継続保有等、複雑な条件がありますが、適用されれば、特定居住用不動産の敷地で最大80%評価減となります。

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小規模な宅地と同じように大規模な宅地においても、相続税評価額を減額できる制度があります。こちらも規模や所在地域など複雑な条件がありますが、概要を知っておくことで賢い相続につながります。(2018年1月1日以後に相続したケース)

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「地積規模の大きな宅地の評価」の適用対象の判定

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「地積規模の大きな宅地の評価」の算式 「地積規模の大きな宅地の評価」の算式

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資産管理会社を活用しての相続前準備

個人で不動産賃貸業を営むオーナーが不動産管理会社を設立し実際に業務を行った場合の効果

(1)所得税に関して
所得税は超過累進税率(所得が多くなればなるほど税率も高くなる)です。そこで、会社の役員等になった親族が賃貸収入等を役員報酬として受取ることにより所得の分散が図られ、超過累進税率の適用を低く抑えることが可能となり、毎年の所得税の軽減に役立てられます。

(2)相続税に関して
①相続財産の蓄積の防止
賃貸収入は親族が給与として受取るため、オーナーに賃貸収入が蓄積されません。
②相続税の納税資金の確保
親族が会社役員として給与の支払いを受けるため、納税資金が確保されます。

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  • 2024年4月1日現在の法令に基づき作成しております。情報更新により本編の内容が変更となる場合がございます。
  • 監修:東京シティ税理士事務所