【住宅ローン減税】借入限度額引き締めも、若者世帯に配慮
住宅購入資金として、多くの方が利用する住宅ローン。この住宅ローンを借り入れて住宅の新築や取得、また持ち家のリフォームなどを行った場合、年末のローン残高の0.7%を所得税(一部、翌年の個人住民税)から最大13年間控除するというのが基本的な仕組みです。ローン金利の負担を軽減してくれる支援制度のため、住宅取得意欲の喚起につながっており、2025年度までの延長が決まっていますが、2024年度は新築住宅や買取再販物件の借入限度額について前年度より低くなってしまいました。
「長期優良住宅や低炭素住宅は限度額が5,000万円までだったものが4,500万円に、ZEH水準の省エネ住宅は4,500万円から3,500万円に、省エネ適合住宅は4,000万円から3,000万円に引き下げられました。その他の住宅については、2023年度まで3,000万円だったものが、2024年度はゼロと減税の恩恵を受けられません(ただし2023年中に新築の建築確認を受けていた場合又は2024年6月30日以前に建築された場合は2,000万円まで)。新築でありながら、省エネ性能の足りない住宅については支援していかないと明確に打ち出しています」
ただし、これらの限度額について緩和されるケースもあります。それが、『子育て世帯・若者夫婦世帯』に対する限度額の緩和です。『子育て世帯』とは『19歳未満の子どもをもつ世帯』、『若者夫婦世帯』は『夫婦のいずれかが40歳未満の世帯』と規定されています。
(表1)住宅ローン控除の住宅ローン借入限度額(2024年入居の場合)
住宅の種類 |
一般 |
子育て世帯・
若者夫婦世帯 |
控除期間 |
新築住宅 |
長期優良住宅・低炭素住宅 |
4,500万円 |
5,000万円 |
13年 |
ZEH水準省エネ住宅 |
3,500万円 |
4,500万円 |
省エネ基準適合住宅 |
3,000万円 |
4,000万円 |
その他の住宅 |
0円
(2023年までに新築の建築確認:2,000万円) |
10年 |
既存住宅 |
長期優良住宅・低炭素住宅
ZEH水準省エネ住宅
省エネ基準適合住宅 |
3,000万円 |
3,000万円 |
10年 |
その他の住宅 |
2,000万円 |
2,000万円 |
「子育て世帯や若者夫婦世帯が新築住宅を取得する場合、2023年度と同様の限度額となっており、一般の方より限度額が500〜1,000万円高くなっています。控除期間は13年ですが、新築でも『その他の住宅』には適用されません。また、既存(中古)住宅についても適用されません」
村岡氏はまた、床面積要件が、これまで50㎡以上だったものが、今回2024年中に建築確認を受けたものについては40㎡以上に緩和され、より多くの住宅で適用されやすくなったことも大きなトピックと語ります。
「都市部で駅近のマンションなど、比較的コンパクトな物件だと専有面積50㎡を切る物件も多くありますが、ファミリー向け物件でなくても恩恵を受けられるようになります。所得要件として1,000万円以下であることとしており、こうした緩和措置は、若者・子育て世帯に向けての支援にもなるものと言えそうです」