【家中、どこでもネット】住まい全体で快適に無線LANが使えるようにするには?

家中、どこでもネットを楽しめるようにしよう!(第2回)

この記事の概要

  •  家中でネットを楽しめるようにするための現実的な方法が、無線LANの活用です。ただし、無線LANは距離や障害物の有無によって接続状況が変わってきます。場所によっては接続ができなかったり、実用に耐えなかったりします。そうした際には「中継器」と呼ばれる機器を活用すれば、手軽に改善することができます。

住まい全体で快適に無線LANが使えるようにするには?の図

快適な生活を送る上で今や住まいの中でもインターネット環境の整備が欠かせません。その方法として、LAN(ラン)ケーブルを家中に敷設する有線LANと、Wi-Fi(ワイファイ)と呼ばれる無線LANがあります。

有線LANは安定した通信が行えますが、LANケーブルを敷設するのが大変な上に、無線接続を前提としているスマホやタブレットでネットを利用する場合、相性がよくありません。一方、無線LANは、ケーブルを引き回す必要がなく、スマホやタブレットが手軽に利用できます。そういった点を考えると、手軽に住まい全体でネットを楽しめるようにするには、無線LANの活用が現実的な選択肢であることまで、前回、紹介しました。

家庭でインターネットを利用するには、ルーターと呼ばれる機器を回線事業者が提供する終端装置(ONU)と接続します。ルーターはインターネット接続会社から貸与されるほか、家電量販店などでも販売しています。現在、ルーターは有線LANと無線LANの両方の通信機能を備える「無線LANルーター」タイプが一般的になっています。

したがって、多くの場合、インターネット接続会社と契約して、無線LANルーターを接続しているわけですから、現状でも無線LANが使えるはずです。ただ、問題は家中、どこでも使えるかという点です。無線LANは、障害物や電波の干渉によって接続が不安定になることがあります。そのため、無線LANルーターから離れた場所では、ネットにつながらなかったり、つながってもスピードが遅くなったりして実用に耐えないケース出てきます。

電子レンジが無線LANの電波を干渉することも

例えば、どの家庭にもある電子レンジが無線LANの電波に影響を与える場合があります。実は、電子レンジは、無線LANでも活用されている2.4GHz(ギガヘルツ)の周波数を使っています。そのため、無線LANの電波に干渉することがあるのです。

これを防ぐためには無線LANで使う周波数帯を電子レンジと変える方法があります。最近の無線LANルーターは、2.4GHzだけでなく5GHzにも対応する製品が増えています。そうした製品を選び、5GHz周波数帯の無線LANを利用すれば干渉防止に効果があります。

ただ、5GHz周波数帯の無線LANにも弱点があります。電波の特性で5GHzの無線LANは、2.4GHzの無線LANに比べて、壁や家具などの遮蔽物があると接続しにくい傾向があり、遠くに電波が届きにくいのです。特に、鉄筋コンクリートの壁や床があると接続状況がかなり悪くなります。

その点2.4GHzの無線LANは、比較的遠くまで電波が届くという特性があります。しかし、それでも限界があり、3階建ての一戸建ての1階や、広めのマンションの端に無線LANルーターを設置した場合、ネットにつながりにくい場所ができてしまうケースが少なくありません。無線LANは「なんとかつながる」という状況では、快適に利用できません。最近は、動画サイトを閲覧することが増えていますが、通信速度が遅いと見にくくなってしまいます。

いずれにしろ、無線LANの電波が届く範囲は、無線LANルーターの性能や住宅の構造や材質によってそれぞれ違ってきます。快適に利用できるかどうかは無線LANルーターを設置した後に、実際に試してみるのが一番確実です。

試す際に重要なのは、無線LANルーターを設置する場所を良く検討することです。オフィスで無線LANを使う場合でも、電波を飛ばす機器を障害物の少ない天井や壁、廊下などに設置し、できるだけ端末に電波が届きやすくします。家庭で無線LAN環境をつくる場合も、できるだけ障害物の少ない棚の上や、家の中央部に無線LANルーターを設置することを心がけてください。

また、3階建ての一戸建ての場合、1階に無線LANルーターを置くと、2階は問題なくても、3階での接続状況が良くないケースがあります。そうした場合、2階に無線LANルーターをおけば1階から3階まで問題なく接続できる可能性があります。マンションでも同様です。できるだけ家の中心部におけば電波のカバー範囲が広くなります。

無線LANの中継器を使い、電波の届く範囲を広げる

実際に試した結果、接続できなかったり、不安定だったりした場所が出てきてしまった場合、どうしたらいいのでしょうか。一番、確実な改善方法は、そうした場所に「アクセスポイント」と呼ばれる機器を設置して、無線LANルーターとLANケーブルで結ぶやり方です。ただ、この場合、住まいの中に配線をする必要があるので、手間もかかり、美観を損ねることがあります。

それよりも手軽なのは「中継器」と呼ばれる機器を利用する方法です。中継器は名前の通り、無線LANルーターと端末の電波のやりとりを中継する機器です。ネットにつながりにくい場所と、無線LANルーターを設置した場所の間に設置します。電気コンセントに直接、差し込むだけのコンパクトなタイプもありますから、簡単に電波の届く範囲を広げることができます。最近は、無線LANルーターと複数の中継器を設置することで、家中どこでも快適にネット接続できるようにするセット製品も登場しています。

また、無線LANは距離や障害物だけでなく、同時に接続する端末台数によって通信速度が変わってきます。家族が多く、スマホやタブレット、パソコンなどを同時に多数使う可能性がある場合は、接続台数が多い高性能な無線LANルーターを選びましょう。

今回、説明した方法で、家中すべてにおいてネットに接続できるようにしておけば、家族がスマホやタブレットを利用する際、無線LANを使うことによって、通信コストを節約できる可能性があります。それだけでなく、最近はネットと接続することによって、生活を便利にする様々な家庭用機器が出てきています。次回は、そのような機器を紹介します。

著者

山崎 俊明

テクニカルライター。国内外のIT企業のソリューション、ネットワーク機器、セキュリティ、通信キャリア、クラウド事業者など、ネットワーク及びセキュリティ関連記事の取材・執筆を担当。

※本コンテンツは、不動産購入および不動産売却をご検討頂く際の考え方の一例です。