【家中、どこでもネット】スピードと安定の有線、手軽さの無線、どちらを選ぶ?

家中、どこでもネットを楽しめるようにしよう!(第1回)

この記事の概要

  •  住まいのインフラとして、「インターネットへの接続」が重要になっています。ポイントは家中どこでも、快適にインターネットに接続できるようにすることです。接続の方法には有線と無線があり、それぞれメリットとデメリットがあります。それを考えて使い分けるのがベストですが、手間やコストを考えると、無線で接続するのが現実的な方法になっています。

スピードと安定の有線、手軽さの無線、どちらを選ぶ?の図

従来の住まいのインフラと言えば、「電気、ガス、水道、電話」でした。それに最近もう一つの重要なインフラが加わりました。「インターネットへの接続」です。ガスや水道は台所やお風呂、洗面所といった限られた場所で使えればいいでしょう。一方、インターネットは電気と同じように、基本的には家中どこでも使えるようにしておく必要があります。

リビングでくつろぎながらタブレットやスマホを使ってWEB検索を楽しんだりするのは今や当たり前です。リビングや寝室ではネットでテレビや映画を楽しむ、子ども部屋ではネットラーニングで学校の予習、復習をするといった具合に家中でインターネットを使っています。

さらに、ダイニングテーブルに置いたAIスピーカーに声をかけてその日の天気予報や交通情報を尋ねたり、外出先からネットを介して照明やエアコンの電源をON/OFFしたりするなど家電の制御が行えるIoT(モノのインターネット)時代が到来しようとしています。こうした将来を想定すると、家中、どこの部屋でもインターネットにつながる、ネットワーク環境の整備が快適なライフスタイルを実現する上で重要になっていることがお分かりいただけるでしょう。

ネット接続の方法は有線LANと無線LANの二通り

インターネットに接続するには、まず、NTTやKDDI、ソフトバンクなどの通信会社や、ケーブルテレビ会社と回線利用契約を結ぶことが必要です。かつて電話とネットの回線は別々でしたが、今は光ファイバーを使い、1本の通信回線で電話とネットのサービスを提供しています。その上で、インターネットサービスプロバイダ(ISP)と呼ばれるネット接続サービス事業者と契約して初めてインターネットが使えるようになります。

現状、既にここまでは済ませている家庭が多いはずです。通信会社やISPからレンタルしたネット接続装置(ホームゲートウェイ、ルーター)にパソコンをつないで、リビングや書斎などでインターネットを利用している人は多いでしょう。ですから、今後の課題は、インターネットが接続可能な場所を家中に広げることです。リビング、書斎だけでなく家族全員の個室、ダイニング、キッチン、バスルーム、トイレなどでもネット接続ができるようにする方法を考えてみましょう。

ネットの接続方法にはネットワークケーブルを配線する有線LAN(ラン)と、Wi-Fi(ワイファイ)と呼ばれる無線LANがあります。有線LANのメリットは安定して高速なネット接続ができることです。接続ジャックが抜けたり、断線したりしない限り、通信が途切れることがないのでネットの動画や対戦ゲーム、テレビの視聴などに適しています。

ただ、これから新築する場合を除いて、すでに住んでいる建物に有線LANを敷設するのは手間がかかります。また、いくらモールと呼ばれるカバーを付けたとしても、リビングやダイニングの壁や天井に新たに敷設すれば、見た目が悪くなることは避けられません。もちろん、天井裏や壁の中に敷設すればスッキリ配線できますが、工事業者に依頼しなくてはならないので、それなりの費用を覚悟しなくてはならないでしょう。

手軽な無線LAN。接続できないスペースが出ることも

無線LANは、その名の通りケーブルを引き回すことなく無線通信でネット接続できることが最大のメリットです。タブレットやスマホのようにLANケーブルの接続口がない端末を使う場合、無線LANが必須です。

スマホ契約の際、料金を抑えるためデータ通信量の制限があるプランを選択しているケースもあるでしょう。その際には、外出先は通信会社のモバイル通信、自宅は無線LANを介してインターネットに接続すればスマホのデータ量を抑えることができます。

実は、現在、家庭で無線LANを使うのはあまり難しいことではなくなっています。ネット接続サービス契約時に通信会社やISPからレンタルしたホームゲートウェイ(ルーター)に有線LANのほかに無線LAN機能が搭載されているケースが多いからです。パスワードの入力など必要な設定をすればすぐに利用できます。

こう説明すると、すでに現状でも家中どこでもインターネットが使えるようになっているのではと思うかもしれません。しかし、ある程度広い家なら、実際にホームゲートウェイを置いている場所から離れた場所でスマホを使ってみてください。接続できなかったり、できたとしても安定してつながらなかったりする場所が少なくないことがお分かりいただけるでしょう。

無線LANは手軽に利用できるものの、端末と電波をやり取りする機器の設置場所、同時に接続する端末数などの条件によっては通信が不安定になるという弱点があります。特に家が広かったり、3階建てだったり、鉄筋コンクリートの壁がたったりした場合、接続しにくい、通信速度が遅くなる、途切れたりするといった問題が生じやすいのです。

用途に応じて有線と無線を使い分けるのがベスト

有線LANと無線LANにはこうしたメリットとデメリットがありますから、用途に応じて使い分けるようにするのがベストです。テレビで動画を楽しみたいリビングや寝室などは有線LANを配線した方が快適です。テレビは高画質な4K放送が本格的に始まり、さらに将来は超高画質の8K放送が予定されています。インターネット経由でテレビを視聴する場合、安定して高速通信に対応する有線LANが望ましいでしょう。リビングなどでは見た目も大切ですから、工事業者にケーブルが見えないように敷設を依頼したほうが満足度は高くなります。

一方、タブレットやスマホを使ってネットに接続する機会は多くても、利用頻度はそれほど高くないキッチン、風呂場、トイレなどは無線LANで済ませてもいいでしょう。それ以外のダイニングや子ども部屋、書斎などは接続する端末や使用頻度によって有線LANと無線LANのどちらが適しているか判断します。

ただ、こうした使い分けをするのは新築時ならともかく、既存の住まいでは難しいかもしれません。どうしても配線工事は面倒でコストがかかるからです。現在、住んでいる住宅では、やはり無線LANの手軽さがなによりも魅力です。

実は、最近、無線LANの機器性能が向上し、様々な補助機器も販売されています。工夫次第で、すべて無線LANにしても、それほどストレスなく接続できるようになりつつあります。家中を無線LANでカバーするのも次善の現実的な選択肢です。次回は住まい全体で無線LANが快適に使えるようにするためのポイントを紹介しましょう。

著者

山崎 俊明

テクニカルライター。国内外のIT企業のソリューション、ネットワーク機器、セキュリティ、通信キャリア、クラウド事業者など、ネットワーク及びセキュリティ関連記事の取材・執筆を担当。

※本コンテンツは、不動産購入および不動産売却をご検討頂く際の考え方の一例です。

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