亡くなった後の遺品整理、厄介な10アイテムの処分法

絶対に“争族”にしない!親子で考える相続(第10回)

この記事の概要

  • 前回まで生前整理をスムーズに進めるコツやポイントなどを解説してきました。ただ、いくら生前整理を行っても、ある程度の遺品は残ります。その中には、どのように整理していいのか迷うアイテムが数多くあります。そうした厄介な遺品の整理法を遺品整理士の岩橋ひろしさんに監修いただき、まとめました。

亡くなった後の遺品整理、厄介な10アイテムの処分法のイメージ図

親が亡くなると、やがて遺品整理をしなければいけない時期が来きます。しかし、いざ手をつけてみると、どう処分してよいか困惑するものばかりではないでしょうか。仏壇、人形など、適切な処分の方法をお教えしましょう。

遺品整理の厄介なところは、亡くなった親の気持ちを確かめることができないことです。だから、「親や先祖の気持ちが込められていそうで捨てられない」ということになります。

その最たるものが仏壇や神棚です。仏壇や神棚はご先祖様が長年、故人の供養や家内安全を祈願して手を合わせてきたもの。ぞんざいに扱うと、罰が当たるのではないかと多くの人は考えてしまいます。そんな時には、菩提寺の住職に相談すれば案外、スムーズに事が運ぶことがあります。

着物なども割り切って処分できない遺品の典型です。一見、価値がありそうですが、長年放置された着物は傷みが激しく、実はほとんど値段がつかないケースが多いのです。また、「ピアノなどは、児童養護施設などへ寄付できたりします。遺品整理士を抱えている業者に相談してください」と遺品整理士の岩橋ひろしさんはアドバイスします。

故人の気持ちを大切にしながらも、新しい生活を踏み出すためにも、残す遺品は「最小限」にとどめることが肝要です。

厄介な10アイテム

①仏壇・神棚

まずはお寺か神社に相談を

仏壇を処分する場合はまず、菩提寺の住職に依頼して、「性根(魂)抜き」をしてもらうのが一般的です。仏壇は厨子と本尊、位牌に分かれます。性根を抜いた後、厨子は地方自治体によっては粗大ゴミとして回収してくれます。また、仏壇店が引き取ってくれる場合もあります。本尊と位牌は菩提寺が引き取ってくれるケースが多いでしょう。神棚もまずは神社に相談しましょう。奉納後は、お焚たき上げをしてもらえます。

①仏壇・神棚
①仏壇・神棚

②着物

リメイク小物のショップを探す

「母親が大切にしていた着物だから」、ゴミとして捨てるのは忍びないという人は少なくないでしょう。しかし、着ることがめっきり減った着物は、なかなか引き取り手がないのが現実です。着物専門の買い取り業者でも、新品、正絹、汚れ・シミなしの条件がそろっていて1万円以下での買い取りが相場です。最近は着物をバッグなど小物にリメイクする店も増えています。そうした店に買い取りを直接交渉してみるのも手です。

②着物

②着物

③人形

気になるなら人形供養を

古くからの日本人形、雛人形などには「魂が宿る」として、安易にゴミとして捨てれば「たたられるのではないか」「罰が当たるのではないか」と考える人も少なくありません。そうした抵抗のある人は、人形供養をしている神社や寺に供養してもらえばいいでしょう。ネットで「人形供養」で検索すれば、多くの寺社がヒットします。郵送で人形を送れば供養してくれる寺社や施設も増えているので、気軽に頼んでみてはいかがでしょうか。

③人形

③人形

④貴金属

価値が高いのは宝石より金やプラチナ

指輪、アクセサリーなどの貴金属は、本来なら相続手続き前に兄弟姉妹などの相続人に確認してもらい、形見分けなど分配の方法をしっかり決めておくとトラブルを招かずに済みます。買い取り業者などに売却するときに、お金に換えやすいのはなんといっても金、プラチナです。宝石は鑑定書付きのダイヤモンド以外は、よほど大きな石でない限り安値か買い取り対象外になってしまいます。

④貴金属

④貴金属

⑤金の入れ歯

入れ歯で国際貢献も

K18(18金)などの刻印がない入れ歯は買い取り業者でも引き取らない場合が多いようです。ただし、業者によって対応はさまざまで、金むくの総入れ歯であれば100万円以上の値がつくこともあります。また日本財団では、金歯の遺贈(寄付)を受け付けています。この寄付はアジアの貧しい子供たちのために使われます。

⑤金の入れ歯

⑤金の入れ歯

⑥アルバム

写真はDVDなどにデジタル化

膨大な量のアルバムは処分に困るものの代表格です。しかし、この機会に自分が子供の頃の家族の集合写真など、残しておきたいものだけを厳選し、残りはゴミとして処分しましょう。残したい写真が多い場合は、写真店やネットサービスなどでDVDなどに焼き、デジタル化して保存しておきましょう。

⑥アルバム

⑥アルバム

⑦パソコン

データの完全消去を業者に依頼

パソコンには故人の大切な個人情報が入っているので、うかつな処分は禁物です。パソコン専門の回収業者があるので、回収と同時にハードディスク内のデータの完全消去を依頼しましょう。なお、パソコンはリサイクルが義務付けられている商品のため、一般ゴミとして廃棄することはできません。

⑦パソコン

⑦パソコン

⑧車

名義変更なしでは廃車もできない

廃車も売却も故人名義のままではできず、相続による名義変更の必要があります。名義変更には手間や時間がかかるため、すべての手続きを代行してくれる自動車買い取り業者に任せるのが得策です。故人名義のまま乗り続けると、事故を起こした際に無保険状態で取り返しがつかないことになります。

⑧車

⑧車

⑨ピアノ

古いピアノでも値がつく

思い出の詰まったピアノも、いざ処分するとなると厄介な代物です。重量があるため、粗大ゴミとして回収しない自治体がほとんどです。確実なのはピアノ買い取りの専門業者に依頼する方法。かなり古いピアノでも途上国に輸出できるため、需要はあります。輸送費用程度は賄える値がつくことが多いようです。

⑨ピアノ

⑨ピアノ

⑩美術品

絵画は販売元の画廊に持ち込む

絵画の場合、キャンバスの裏に販売した画廊の名札紙が貼ってあることがあり、その画廊に持ち込めば、少しは高く売れる可能性があります。しかし、作家名のない絵画や骨董は、古美術商に持ち込んでも値がつかないと思っていたほうがよいでしょう。安値で業者に売るなら、知人に譲ったほうが喜ばれます。

⑩美術品

⑩美術品

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監修

岩橋 ひろし

一般社団法人家財整理相談窓口 理事、遺品整理士。福岡県生まれ。専門学校を卒業後、嬉野温泉の老舗旅館に全国初の男性中居として勤める。自動車販売店経営を経て、2012年に生前整理や遺品整理などを行う「友心まごころサービス」を創業。15年、家財整理相談窓口に参画。

執筆

文:礒部 道生

イラスト:竹田 嘉文

協力:『日経おとなのOFF』(日経BP社)

※ 本コンテンツは、不動産購入および不動産売却をご検討頂く際の考え方の一例です。

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