生活の基盤である住まい=不動産がポイントに
配偶者が亡くなれば、生活に大きな影響が出ます。生活を支える収入、掃除・洗濯・料理、買い物、通院、旅行・娯楽などあらゆる面が変わってきます。その変化によって生活に支障が生じることなく、充実した生活を送るにはどういう準備をしておくべきでしょうか。
ポイントになるのは生活の基盤である住まい=不動産です。残された配偶者は一人でどこに住めば、もっとも充実した生活が送れるのでしょうか。まず、第一候補は現状維持です。ただ、亡くなった方の名義の自宅は相続人で分け合う遺産の一部になるので、場合によっては、売却する必要が生じ、残された配偶者が住まいを失う可能性があります。
仮に売却する必要がなくなったからといって、現状維持が残された配偶者にとってベストな選択とは限りません。ご夫婦で暮らしていた住まいの立地や広さ、設備によっては、一人暮らしに必ずしも向いていないケースがあるからです。
例えば立地。公共交通が発達していない場所でも、運転免許を持った配偶者と暮らしていれば、買い物、通院など面でそれほど不便は感じないかもしれません。しかし、自動車を運転できない配偶者だけが残されたらどうでしょうか。また、同居はしないにしても、子どもが近くに住んでいたほうが、安心かもしれません。
広さも、使わない部屋が多い大きな家に一人暮らしするのは高齢者には負担になります。掃除や片付けも大変ですから、荷物をスッキリ整理して、身の丈の住まいに夫婦元気なうちに引っ越すことを考えてもいいでしょう。
高齢者に階段の上り下りはつらいものです。エレベーター完備のマンションの方が2階建ての戸建てよりも屋内の移動は楽です。また、身体能力が衰えた場合、設備面ではバリアフリーを取り入れた住まいの方が暮らしやすいことは確かです。
一次相続対策は、これから自分が亡くなる前まで、そして、自分が亡くなった後、配偶者が一人でも充実した生活を送れるようにすることが重要です。早めの不動産対策が充実した老後につながるでしょう。