50代の売却。~親から相続した不動産を売却するまでのステップ~第三話「所有し続けるか売却か迷った場合編」

漫画で見る不動産購入・売却のポイントvol.67

この記事の概要

  •  不動産の相続手続きがひと通り終わったら、所有し続けるか売却するかを判断していく。
  •  家賃収入が得られる賃貸物件。安定した収入を得るには、空室が続かないような物件かどうかがポイント。
  •  売却のメリットは現金が手元に残ること。ただし売却できることが前提のため、不動産仲介会社選びも重要。
  •  しばらく空室の状態で所有し続けるケースでは、定期的にメンテナンスをすることが重要。

50代の売却。~親から相続した不動産を売却するまでのステップ~第三話「所有し続けるか売却か迷った場合編」
50代の売却。~親から相続した不動産を売却するまでのステップ~第三話「所有し続けるか売却か迷った場合編」

【Gさん】
Gさんの父親は30年前に他界。母親は20年前まで都内の中心部にある一戸建てで暮らしていましたが、整備計画により売却。そこで得た現金で、都内に区分所有マンションを三戸(一戸は自宅、二戸は賃貸)購入し、所有していました。そのような中、母親が室内で転倒し骨折。入院生活で次第に体力が低下し、他界してしまいます。遺言書はなく、慌てる2人兄弟のGさんとGさんのお兄さん。遺言書があればな・・・、不動産の組み換えをすすめておけばよかったな・・・など後悔しながら、売却へ向けて動き出しているところです。

不動産の名義変更などの相続手続き後は、物件をどうするか検討

不動産の名義変更などの相続手続きがひと通り終わったら、今度は売却するか所有し続けるかを判断していかなくてはなりません。不動産は大きな資産です。今回は、所有し続けることと売却の知っておくべきポイントなどについてご紹介していきますので、判断材料としてご活用ください。

家賃収入が得られる賃貸物件。ポイントは、利便性の高さや周辺のニーズと合致しているかどうかということ

賃貸物件として所有し続けるという場合、毎月家賃収入があることは、リタイア後も何かと安心です。しかし、これはあくまでも入居者がいる場合のケース。空室が続けば、維持費だけがかかり、支出が増える一方です。
空室にならない物件にはいくつかポイントがあります。まずは、駅から近い物件かどうかということ。それも、住みたい街にランクインしている駅やターミナル駅の近くなど、利便性やニーズの高いエリアの物件であれば、より空室のリスクが軽減できるでしょう。ただし、所有している物件がターゲットにあっているかどうかも重要です。たとえば、単身層が多いエリアでファミリー向けの物件を貸し出してもなかなか決まらないことになってしまいます。反対に学校が近い、近隣に大きな公園があるような物件はファミリー層に人気が高いという傾向があります。

親が所有していたとなると、それなりに築年数が経過しているかもしれません。物件の古さにはメリットを感じないので早く手放したいというお話を聞くこともありますが、物件の価値はそこだけではありません。
入居者の募集に困らないような賃貸物件であれば、次の世代に財産として残すことも検討できます。

売却のメリットは現金が手元に残ること

一方、売却の大きなメリットとしては、現金が手元に残ること。まとまった現金が入れば、月々の住宅ローン返済などにも対応でき、生活にもゆとりができるでしょう。年金も今の高齢者ほどもらえないという現実もありますので、預金はできるだけ多いほうが安心です。

また、売却すれば不動産を所有していると必要な固定資産税等の負担や、維持・管理などの手間が不要になります。最近は、戸建てだけでなく、固定資産税等は支払われていても、維持・管理がままならなくなった区分所有マンションの空き家が問題になっています。“マイホーム以外で不動産の管理をしていくというのは意外と大変なもの”ということは覚えておきましょう。

さらに、この兄弟は風通しがよく、相続人同士が揉める「争族」とは縁が無さそうです。しかし、意見がまとまらない場合には、一時的に共有名義で相続登記し、すみやかな売却後、現金を公平に分配することで「争族」の解消に役立てることができます。なお、共有名義で所有し続けると、相手まかせにし管理が煩雑になることや、第二話「名義変更せず、放置していた場合のリスク編」でお伝えした相続人が増えてしまうリスクに繋がるので注意が必要です。

不動産を売却する場合、一般的には不動産仲介会社と媒介契約を締結し、インターネットやチラシなどの販売活動を通して購入希望者を募っていきます。ここで注意したいのが、不動産仲介会社選びについてです。売却できなければ現金化できませんので、ポータルサイトや自社サイトを十分に活用しながら全国展開しているなど、多様なネットワークが確立している会社だと、進展が期待できて安心でしょう。また、取引実績などが豊富というのもポイントになります。サイトなどに掲載されている売却者の声なども参考にしながら、絞り込んでみるといいでしょう。
いきなり不動産会社ではなく、信託銀行に足を運ぶというのも手です。税務などの相談にのってもらいながら、系列の不動産会社で売却を進めることができます。

当面空き家で所有するなら、定期的にメンテナンスを

中には、売却か賃貸かをすぐに判断できない場合もあるかもしれません。住宅は人が住まなくなると傷みが進みやすくなるという点を認識し、定期的に換気・掃除・設備の点検を行うようにしましょう。ご自身でできる場合はそれに越したことはありませんが、物件が遠方にある場合や定期的に足を運ぶ時間が確保できないようなときは、空き家の管理代行サービスを利用するのもおすすめです。特に区分所有マンションの場合は、外部からあまり目につかないことから、放置してもさほど気にしていないというケースも見受けられます。所有しているうちは管理もしなくてはならないということは、覚えておきましょう。

執筆

橋本 岳子 (はしもと・たかこ)

20年勤めた不動産情報サービスの会社での経験を活かし、住まい探しが初めての方にも分かりやすい、生活者の目線に立った記事の執筆活動を手がける。

※ 本コンテンツは、不動産購入および不動産売却をご検討頂く際の考え方の一例です。

※ 2020年7月31日本編公開時の情報に基づき作成しております。情報更新により本編の内容が変更となる場合がございます。

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