「アンケートで見る不動産トレンド」。今のシニア層の不動産ニーズとは?

アンケートから分かる購入・売却の「ポイント」vol.21

「アンケートで知る不動産トレンド」今のシニア層の不動産ニーズとは?

この記事の概要

  •  2019年9月に日本の高齢化率(65歳以上の高齢者の人口)は28.4%と過去最高に。
  •  高齢者との取引件数で最も多かったのは「変わらない」(41%)。「増えた」が「減った」を上回る結果で、全取引中高齢者との取引の割合は「1割未満」が約半数。
  •  売却のきっかけで多いのは「相続のための現金化」という結果となった。高齢者の売却理由には、ほかの世代と違った特徴がある。

総務省統計局が発表した内容によると、2019年9月に日本の高齢化率(65歳以上の高齢者の人口)は28.4%と過去最高になりました。不動産業界でもここ数年は“以前に比べて、高齢者からの問い合わせが増えた印象がある”という声が寄せられています。
今後も高齢化率は進んでいきますが、改めて高齢者の不動産取引の割合や売却のきっかけについて、アットホーム株式会社が実施したアンケ―トで確認していきましょう。

高齢者との取引件数で最も多かったのは「変わらない」(41%)だが、「増えた」が「減った」を上回る結果に。全取引に占める高齢者との取引の割合は「1割未満」が約半数を占める

Q2019年における高齢者(65歳以上)との取引件数は2018年と比較してどう感じていますか?

Q2019 年における高齢者(65歳以上)との取引件数は2018年と比較してどう感じていますか?

「2019年における高齢者との取引件数は2018年と比較してどう感じているか」という質問に対し、最も多かったのは「変わらない」(41%)でした。次いで多かったのは「増えた」(32%)、「取引実績がない」(17%)となっています。また、高齢者との取引実績があった中から、2019年の高齢者との取引割合を聞くと「1割未満」が47%と最も多く、「3割未満」(35%)、「5割未満」(12%)と続いています。全体で見ると高齢者との取引件数は多くありませんが、「減った」よりも「増えた」が多い点は、高齢化が進んでいることを示しているとも言えます。

売却のきっかけで多いのは「相続のための現金化」

Q高齢者の取引内容と、売却時の目的やきっかけを教えてください

Q高齢者の取引内容と、売却時の目的やきっかけを教えてください

高齢者における取引内容について質問すると、「居住用物件の賃借」に次いで多かったのが「居住用物件の売却」でした。
高齢者が売却する目的やきっかけについて集計したところ、「相続のための現金化」「自宅を売却した資金で介護施設へ転居したい」というケースが多い結果となりました。次いで「家族・親戚と近居」「利便性の良い場所への転居」「面積の狭い住宅への転居」となっています。

高齢者の売却理由には、ほかの世代と違った特徴がある

最近は、「終活」という言葉が当たり前のように使われていますが、相続時に分配しやすいよう、元気なうちに自宅を売却して現金化しておくという人が多くなっているようです。ほかには、売却して手に入れた現金を高齢者住宅へ入居する資金や今後の生活に充てるというケースもあります。
また、交通の便が悪い、戸建てだとメンテナンスが大変、室内に段差が多い、などの理由から、“利便性の高さが享受できる場所や物件へ住み替えるために売却したい”というお話しもよく聞かれます。夫婦2人では広過ぎるためコンパクトな住宅へ転居したい、子世帯との近居や同居することになった、なども売却理由としては多くなっています

<調査概要>
調査対象・・・/北海道、宮城県、首都圏(1都3県)、静岡県、愛知県、近畿圏(2府1県)、広島県、福岡県の13都道府県のアットホーム加盟店のうち、都道府県知事免許を持ち5年を超えて仲介業に携わっている不動産店。主に経営者層。
調査方法・・・インターネットによるアンケート調査
調査期間・・・2019年12月12日(木)~12月24日(火)

執筆

橋本 岳子 (はしもと・たかこ)

20年勤めた不動産情報サービスの会社での経験を活かし、住まい探しが初めての方にも分かりやすい、生活者の目線に立った記事の執筆活動を手がける。

※ 本コンテンツは、不動産購入および不動産売却をご検討頂く際の考え方の一例です。

※ 2020年3月30日本編公開時の情報に基づき作成しております。情報更新により本編の内容が変更となる場合がございます。

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