第1話 老後の暮らしとバリアフリー

【Bさんファミリー】
夫54歳会社員、妻53歳専業主婦、長男28歳(既婚:妻27歳、息子3歳)、次男23歳社会人(4月から社会人)。都心から1時間強の住宅地に住んでいる。結婚と同時に購入した一戸建て(4LDK)は築20年超。住宅ローンの若干の残債あり。
定年後の住まい(きっかけ編)~バリアフリーの考え方~
アットホーム(株)が行った調査によれば、シニアの家の中の困りごととして、「高い場所の物の出し入れ」「階段の上り下り」「冬場のトイレ・風呂場の寒暖差」が上位という結果になりました。また、今後の住まいに必要になりそうな住宅の仕様・設備は?という問いには「安否確認システム」「手すりなどの補助設備」「入浴時のヒートショック防止の暖房設備」が上位となりました。漫画の中でお父さんが話していたように、バリアフリー化は老後のセカンドライフを快適なものにするために必須と言えそうです。
Q.年齢を重ねて、家の中で困ったと感じること、または今後感じそうだと思うことは?(複数回答)
Q.今後必要となりそうな住宅の仕様・設備は?(複数回答)
高齢者に合わせた住まいの設計とは?
老後の住まいについてポイントになるのは、高齢者に合わせた設計はどんなものかということ。高齢者は、玄関での靴の脱ぎ履き、トイレでのしゃがむ動作、高さのある浴槽をまたぐ動作など、日常のちょっとした動きでも怪我につながることがあります。また、湿気の多い日本の気候に合わせて、通気性を重視して建てられた日本家屋は、風通しのよさから冬は全体が冷え込むため、暖房の効いている部屋から廊下やトイレに行く時に思わず体が震えた経験がある方もいるのではないでしょうか。寒暖の差はヒートショックの原因ともなり、心筋梗塞などをひき起こしてしまう可能性もあるようです。
<バリアフリー化のメリット・デメリット>
高齢者にとってメリットと言えるバリアフリーも、他の家族にとっては使い勝手の悪さにつながってしまうことがあります。「階段や廊下を広くした分、居住スペースが狭くなった」「手すりの位置が子供の頭にぶつかりそう」などのケースです。また当然のことながら、バリアフリーにするためには費用がかかります。水まわりを作り直す、移動するなど大がかりな工事になればなるほど費用はかさみ、経済的な負担も増すでしょう。
ポイントになるのは、どのようなバリア(障害)をなくしたいのか、どのような機能を優先すべきなのかをしっかり考えることです。階段の上り下りに困っているようなら、階段を使わないで暮らせる間取りに変更することなども解決策になるでしょう。そのためにも夫婦だけでなく、子どもたちやその家族ともしっかり話し合い、双方の考え方をすり合わせておきましょう。
<バリアフリーの代表例>
床の段差をなくす
室内で転倒したことで、寝たきりになってしまうケースもあります。つまずきの原因になる段差はなるべくなくします。
手すりを設置する
手すりをつけることは、転倒の防止に役立ちます。また、移動が楽になることで、自分でできることをやろうとする気持ちが生まれてきます。下地の補強とともに、用途に適した形状や材質のものを選び、体に合った高さに設置しましょう。
階段の使用(高齢者の生活空間は1階が望ましい)
生活空間が上下階にわたる場合は、勾配の緩やかな階段にし、手すりを設け、転落した場合も想定して踊り場を設置すると良いでしょう。足元灯を設置すれば、夜間での移動時の不安を軽減することができます。
高断熱
家全体の保温性を高め、各部屋の温度差を少なくすることでヒートショック防止につながります。
まずは情報収集から
バリアフリー化を検討するにあたって、減税や自治体による助成金や介護保険など、さまざまな補助制度を活用したいところです。各自治体に問い合わせるなど、まずは情報収集から始めてみましょう。
調査方法…インターネットリサーチ
対象…全国の60代男女103名。(賃貸・持家は条件に含まず/未既婚問わず)
調査期間…2014年11月29日(土)~12月2日(火)
※小数点第2位を四捨五入しているため、合計100%にならない場合があります
20年勤めた不動産情報サービスの会社での経験を活かし、住まい探しが初めての方にも分かりやすい、生活者の目線に立った記事の執筆活動を手がける。
※ 2017年3月30日本編公開時の情報に基づき作成しております。情報更新により本編の内容が変更となる場合がございます。
※ 本コンテンツは、不動産購入および不動産売却をご検討頂く際の考え方の一例です。