不動産の売却をする際、一般的なのは「仲介」です。「仲介」を簡単に言えば、不動産会社が新たな買主を探す手伝いをしてくれるものです。売主と不動産会社で「媒介契約」を締結し、売却活動をしてもらうわけですが、その契約には「専属専任媒介」、「専任媒介」、「一般媒介」の3つのスタイルがあり、それぞれ内容を把握して選ばないとトラブルの原因になります。
「専属専任媒介」は、売却のための活動を1社の不動産会社に依頼する契約です。この契約を結んだ場合、売主が自分で買主を見つけても、依頼した不動産会社を通して取引することが義務づけられています。「契約期間は3カ月以内(更新可能)」で、依頼された不動産会社は「物件情報のレインズ*への登録」「1週間に1回以上の活動報告の義務」などが法的に課せられています。
*「レインズ」:Real Estate Information Network System(不動産流通標準情報システム)の略称で、国土交通大臣から指定を受けた不動産流通機構が運営しているコンピュータ・ネットワーク・システムです。
「専任媒介」も同じく1社に依頼する契約です。ただ、売主が買主を自力で見つけた場合には、依頼した不動産会社を通して契約する必要はありません。また活動報告は「2週間に1回以上」となっています。
「一般媒介」は同時に複数の不動産会社に依頼できる方法です。多数の不動産会社が取り扱う分、購入希望者の目に止まる可能性は高くなるかもしれませんが、依頼を受けた不動産会社が、専任媒介ほどの熱意で業務に当たってくれるのかは分かりません。
以上の説明でお分かりいただけるように、専属専任媒介契約を結んでおきながら、自分で見つけた買主に、その不動産会社を通さずに売却したり、専任契約を結んでいなから別の不動産会社にも売却を依頼したりすればトラブルになります。一般媒介契約で複数の不動産会社に依頼した結果、情報整理に失敗して、トラブルになることも考えられます。自分の事情にあった仲介契約の方法を真剣に考える必要があります。