消費税率アップ後の購入、リフォームでポイントゲット!

次世代住宅ポイント制度解説

この記事の概要

  • 2019年10月1日、消費税率のアップが予定されています。その景気への悪影響を抑えるために、政府は様々な対策を用意しています。住まいの関連では、住宅ローン減税の拡充が打ち出されていることは、すでに本サイトで紹介しました。もう一つ見逃せないのは、住宅購入やリフォームの際に使える「次世代住宅ポイント」です。

消費税率アップ後の購入、リフォームでポイントゲット!のイメージ図

2019年10月1日から消費税率が10%にアップする予定です。住宅購入やリフォームは高額な支出であり、消費税額も大きくなるため、増税前に契約・購入しようと考える方もいらっしゃるかもしれません。

2014年4月に消費税が5%から8%へと増税された際は買い控えなどの消費停滞が起き、日本経済に悪影響が生じました。前回のような消費停滞や景気の冷え込み等を抑えるため、国は税制などの優遇措置を用意しています。本記事で紹介する「次世代住宅ポイント制度」もその1つです。住宅購入やリフォームに適用される制度で、消費税増税分をある程度カバーできます。

新築のほか、すでに住んでいる住宅のリフォームも対象

まず、次世代住宅ポイント制度の概要についてご紹介しましょう。同制度は、断熱・省エネやバリアフリーなど、高い性能を持つ住宅の新築やリフォームに対して、その内容に応じてポイントが発行されるものです。1ポイントは1円相当で、省エネ・環境配慮に優れた商品や防災関連商品、健康関連商品、家事負担軽減に資する商品、子育て関連商品、地域振興に資する商品に交換できます。

対象は、一定の性能を満たす住宅の新築(注文住宅、分譲住宅)とリフォームです。ただし、新築の場合は、持ち家として自分たちで居住することが条件で貸家は対象となりません。リフォームの場合は貸家も対象になります。

リフォームでは、壁紙の貼り換えなどの“お化粧直し”的な工事は対象にならず、省エネ性能を向上させたり、家事負担を軽減させたりする工事などに限ります。具体的な例として、前者は断熱性能の高いユニットバスや高効率の給湯器への交換、後者はビルトイン食器洗機や宅配ボックスの設置といったことが挙げられます。

若者(※1)・子育て世帯(※2)に関しては特例が設けられています。自ら居住することを目的に既存住宅を購入して、一定規模以上(100万円(税込)以上)のリフォームを行うと、性能向上や家事負担軽減などの工事以外もポイント発行の対象になります。また上限額も拡大されています。

※1:2018年12月21日時点で40歳未満であること。

※2:同時点で18歳未満の子を有する世帯、又は申請時点で18歳未満の子を有する世帯。

新築住宅の建設・購入の場合、①注文住宅の建設(新築、建て替え)、②分譲住宅(分譲マンション、戸建て)、③完成済みの分譲住宅で、契約日、着工日、契約日、引渡日について条件に違いがあるので注意が必要です。共通しているのは、引き渡しが2019年10月1日以降と、消費税10%が適用されるものであるということです。

表1 次世代住宅ポイント制度の対象となる新築住宅
項目 注文住宅 分譲住宅 分譲住宅

(完成済み購入タイプ)

契約日 2019.4.1〜2020.3.31までに締結された工事請負契約または2018.12.21〜2019.3.31までに締結された工事請負契約で、建築工事の着手が2019.10.1以降のもの 2018.12.21〜2020.3.31までに締結された工事請負契約(既存の契約の変更を含む) 2018.12.20までに完了検査の検査済証が発行されたもので、下記の期間内に契約、引渡しを行うもの
着工日 工事請負契約日〜2020.3.31までの間に建築工事に着工するもの 工事請負契約日〜2020.3.31までの間に建築工事に着工するもの
売買契約 2018.12.21〜2020.3.31までに締結されていること 2018.12.21〜2019.12.20までに締結されていること
引き渡し 2019.10.1以降に引き渡しとなるもの(消費税10%が適用されるもの)

リフォームについても、契約日、着手日、引渡し日に条件があります。新築住宅と同じく、2019年10月1日以降に引き渡しが行われ、消費税10%が適用される工事であることが前提になります。

表2 次世代住宅ポイント制度の対象となるリフォーム新築住宅
項目 リフォーム
契約日 2019.4.1〜2020.3.31までに締結された工事請負契約または
2018.12.21〜2019.3.31までに締結された工事請負契約で、建築工事の着手が2019.10.1以降のもの
着手日 工事請負契約日〜2020.3.31までの間に工事に着手するもの
引き渡し 2019.10.1以降に引き渡しとなるもの(消費税10%適用されるもの)

※別途定める期間内にポイント発行申請・完了報告が可能なものに限る

家事負担を軽減する機器にもポイントが付与される

ポイントの対象について少し詳しく紹介します。まずは、新築住宅の建築・購入の場合の対象となる性能と発行ポイントです(下表3)。

表3 対象となる性能と発行ポイント(新築住宅)
性能 発行ポイント数
  • 断熱等性能等級4または一次エネルギー消費量等級4以上
  • 劣化対策等級3かつ維持管理対策等級2以上
    (共同住宅および長屋は一定の更新対策を含む)
  • 耐震等級2以上または免震建築物
  • 高齢者等配慮対策等級3以上
30万ポイント/戸
  • 認定長期優良住宅
  • 認定低炭素建築物
  • 性能向上計画認定住宅
  • ZEH
5万ポイント/戸
耐震性を有しない住宅の建替え 15万ポイント/戸
家事負担軽減に資する設備を設置した住宅(ビルトイン食器洗機、掃除しやすいレンジフード、ビルトイン自動調理対応コンロ、浴室乾燥機、掃除しやすいトイレ、宅配ボックス) 9000〜1万8000ポイント/戸(共用の宅配ボックスは1万ポイント×ボックス数)
*1戸あたりの上限は35万ポイント
*2万ポイント未満はポイント発行申請できない

断熱・省エネ性能や耐久性、耐震性、バリアフリーなどの住宅性能が高い新築住宅については、どれか1つでも性能を満たしていれば30万ポイントが発行されます。認定長期優良住宅やZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)など、より高いスペックの住宅については、別途5万ポイントが加算されます。また1981年6月以前に建築確認を受けた住宅は、「旧耐震基準」住宅であり現行の性能を満たしていません。こうした古いストックを建て替える場合は、15万ポイントが発行されます。

今回新たに「家事負担軽減に資する設備」も対象になりました。ビルトイン食洗機や掃除しやすいレンジフードなど、家事などの利便性を高める設備についてもポイントが発行されます。

次にリフォームの場合を紹介します(下表4)。①〜③はいわゆる省エネリフォームで、断熱性能を高め、住まい手の居住環境を快適にしてくれると同時に、光熱費も下げてくれます。①は窓やドアの断熱改修で、断熱性能の低い単層のガラス窓をペアガラス等に交換したり、サッシはそのまま断熱性能の高いガラスに替えたりする工事が対象になります。現在の窓はそのまま、その内側に新たに別の窓を取り付ける「インナーサッシ」も対象です。

④はバリアフリー改修工事で、手すりの設置などの小工事からホームエレベーターの新設まで、工事内容に応じてポイントが細かく設定されています。⑤は耐震改修で、1981年5月以前の旧耐震基準によって建築された住宅を、現行の耐震基準に適合させる工事が対象です。⑥は新築にもあった「家事負担軽減に資する設備」です。

⑦の事前に建物の現況性能を確認するインスペクションや、⑧の万一引渡後に隠れた瑕疵が見つかった場合に修繕工事費用が補償される瑕疵保険といった、ハード以外の費用も対象になりました。⑩の「既存住宅購入加算」とは、自己居住用に中古住宅を購入し、3カ月以内に①〜⑧のリフォーム工事を行った場合、ポイントが2倍になるというものです。中古住宅を購入するのであれば、同時にリフォームするとお得というわけです。

表4 対象となる性能と発行ポイント(リフォーム)
性能 発行ポイント数
①開口部の断熱改修(ガラス交換、内窓設置・外窓交換、ドア交換) 7000〜2万8000ポイント/1箇所・1枚あたり
②外壁・屋根・天井・床の断熱改修 3万2000〜10万ポイント/戸
(部分断熱の場合は1万6000〜5万ポイント)
③エコ住宅設備の設置(太陽熱利用システム、節水型トイレ、高断熱浴槽、高効率給湯器、節湯水栓) 4000〜2万4000ポイント/戸
④バリアフリー改修(手すりの設置、段差解消、廊下幅の拡充、ホームエレベーターの新設、衝撃緩和畳の設置) 5000〜15万ポイント/戸
⑤耐震改修 15万ポイント/戸
⑥家事負担軽減に資する設備を設置した住宅(ビルトイン食器洗機、掃除しやすいレンジフード、ビルトイン自動調理対応コンロ、浴室乾燥機、掃除しやすいトイレ、宅配ボックス) 9000〜1万8000ポイント/戸(共用の宅配ボックスは1万ポイント×ボックス数)
⑦リフォーム瑕疵保険への加入 7000ポイント/1契約
⑧インスペクションの実施 7000ポイント/戸
⑨若者・子育て世代が既存住宅を購入して行う一定規模以上のリフォーム 10万ポイント/戸
⑩既存住宅購入加算(上記①〜⑧) (上記①〜⑧の合計×2)ポイント/戸
*1戸あたりのポイント上限
若者・子育て世代 既存住宅を購入しリフォームを行う場合 60万ポイント
上記以外のリフォームを行う場合 45万ポイント
その他の世帯 安心R住宅を購入しリフォームを行う場合 45万ポイント
上記以外のリフォームを行う場合 30万ポイント

*2万ポイント未満はポイント発行申請できない

このように次世代住宅ポイント制度は、かなり幅広い内容になっています。住宅購入を考えている方は、活用できればかなりのメリットがあるでしょう。減税期間が10年から13年へと3年間延長される予定の住宅ローン減税や、住まい給付金なども併せて、活用可能かどうかをしっかりチェックしてください。上手に活用できれば、税率アップ前にあわてて駆け込み購入をするよりかえってお得なこともあるかもしれません。

※次世代住宅ポイント制度の詳細は、記事作成時点(2019年2月10日)では確定していません。国土交通省のWEBサイトなどでご確認ください。

執筆

谷内信彦(たにうち・のぶひこ)

建築&不動産ライター。主に住宅を舞台に、暮らしや資産価値の向上をテーマとしている。近年は空き家活用や地域コミュニティにも領域を広げている。『中古住宅を宝の山に変える』『実家の片付け 活かし方』(共に日経BP社・共著)

※ 本コンテンツは、不動産購入および不動産売却をご検討頂く際の考え方の一例です。

※ 本記事は2019年2月28日時点の情報であり、今後変更となる場合があります。