購入後、不具合で悩むより、事前にチェック

戸建てを購入する際に、絶対に知っておくべきこと(第3回)

この記事の概要

  •  戸建てを購入し、引渡しを受けた後に思わぬ不具合に気づいて途方に暮れる。こんなトラブルに巻き込まれないためのポイントを紹介します。マンションの場合、屋根や壁などは共用部分として管理組合が管理しているので主に室内をチェックすればいいのですが、戸建て住宅は確認範囲が広く、しかも不具合が分かりにくいことがありますので慎重に確認しましょう。

事前にチェックのイメージ画像

同じ時期に建てられた同じ工法・仕様の戸建て住宅でも、中古住宅として販売される時点でのコンディションは違うことがあります。中古車が前所有者の運転の仕方やメンテナンスの状況によってコンディションが異なるように、中古住宅の状態も千差万別といっていいでしょう。

新築の場合、不具合といえば基本的には設計ミスや施工不良などです。中古住宅の場合、それが後になって表面化するケースに加えて、売主=前所有者が住み続けるうちに生じた経年劣化による不具合が加わります。建物の中でも、設備に関しては不具合が比較的分かりやすく、チェックも容易です。一方、建物そのものに関しては、的確に状態を判断できないケースが少なくありません。

例えば、雨漏り、壁のひび、床や柱などの傾き、配管からの水漏れ、シロアリの発生といった不具合です。これらは修繕は可能だとしても費用が高額になる場合が多く、購入前にしっかりチェックし把握しておけば、修繕費用も計算に入れて、リフォーム計画を立案できます。

内見の際にチェックできること

内見というと、部屋や内装、設備といった室内の様子をみるイメージがありますが、戸建て住宅であれば建物全体のチェックが大切です。最終的には、建築の専門家の力を借りるのがお勧めですが、その依頼をする前に買主自身でチェックしてみましょう。

買主の内見は、基本的に目視が中心になります。それで比較的チェックしやすいのは外壁や屋根です。経年によるひび(クラック)や塗装の剥がれ、目地材の劣化などがないかを確認します。また、玄関扉、窓、雨戸の開閉がおかしければ、建物がゆがんでいる可能性があります。可能であれば雨の日にバルコニーや雨どいなどの雨水の流れも不自然なところがないかをチェックしましょう。室内では、床の傾き、建具のゆがみ、天井や壁のシミ、カビの発生などに気を配ります。

柱や梁、基礎といった構造部は壁の内側や床下、天井裏までの点検が必要なため、基本的に専門家の力を借りる必要があります。ただし、天井裏に関しては、押し入れの上部の化粧板をずらすなどして小屋裏を覗くことが可能な場所があったり、点検口を設けられたりしているケースがあります。床下も、和室の畳を上げたり、台所の床下収納を外したりできれば比較的容易に見ることができます。

こうしたチェックで少しでも気になる点が見つかれば、必ず、建築の専門家に確認を依頼することが、購入後に後悔しないためのポイントです。

インスペクション付きの中古物件も

契約条件によりますが、万一、購入後に隠れた瑕疵が見つかった場合には、「瑕疵担保責任」として売主から修繕などの保証が受けられます。しかし、その内容は限定されており、期間も定めがあります。不動産会社が売主の場合は、引渡日から最低2年になりますが、個人が売主の場合では、2〜3ヵ月以内などと短く設定されていることが少なくありません。

仮に瑕疵担保責任による保証を受けられたとしても、不具合が起こったことによる心理的な負担はかなり大きなものになります。それを考えれば、買主が料金を負担してでも購入前に専門家に依頼して調査したほうがいいでしょう。1件あたり5万円〜10万円程度の費用がかかりますが、建築に精通した診断員(ホームインスペクター)が、ホームインスペクション(建物診断)を行い、客観的な立場から建物の性能評価をしてくれます。

最近は、買主に安心して購入してもらえるように、インスペクション費用を負担するサービスを提供する不動産仲介会社も登場しています。例えばみずほ不動産販売では、媒介契約を締結いただいた売主および買主を対象に、建物状況調査費用を負担するサービスを提供しています。

<みずほ>の建物状況調査サービス

さらに、建物状況調査サービスを実施し、かつ、一定の要件を満たす場合には、その物件の買主に対して瑕疵保証の加入費用についても負担するサービスを提供しています。

瑕疵保証サービス

※利用に当たっては諸条件があり、利用できない場合があります。

執筆

谷内 信彦 (たにうち・のぶひこ)

建築&不動産ライター。主に住宅を舞台に、暮らしや資産価値の向上をテーマとしている。近年は空き家活用や地域コミュニティにも領域を広げている。『中古住宅を宝の山に変える』『実家の片付け 活かし方』(共に日経BP社・共著)

※ 本コンテンツは、不動産購入および不動産売却をご検討頂く際の考え方の一例です。