50代の売却。~自己所有する一戸建てを売却し、都心マンションへ住み替え~第九話「売りやすさも加味したマンションを選択する編」

漫画で見る不動産購入・売却のポイントvol.87

この記事の概要

  •  長い目で見て売却しやすいかどうかも考えながら購入することが重要。
  •  人気があり、住みたいと考えている人が多くいる街に立地するマンションは売却しやすい傾向にある。
  •  居住スペースの良さだけでなく、管理体制の良し悪しも資産価値があるマンションかどうかを判断するポイント。
  •  単に広いというだけでなく、エリアのニーズにあった間取りや専有面積かどうかもチェックするとよい。

50代の売却。~自己所有する一戸建てを売却し、都心マンションへ住み替え~第九話「売りやすさも加味したマンションを選択する編」
50代の売却。~自己所有する一戸建てを売却し、都心マンションへ住み替え~第九話「売りやすさも加味したマンションを選択する編」

【Hさん】
娘2人が独立してほっと一息している50代のHさん夫婦。子育てに適していると購入した都内郊外の庭・駐車場付き一戸建ては6LDKあり、鉄筋コンクリート造3階建てのこだわりある注文住宅。夜は人通りが少ないとあって、セキュリティにも配慮した物件です。土地面積は300㎡以上あり、夫婦2人では広すぎる上に駅から遠い点をネックに感じてきました。コンパクトな広さや便利さが売りの都心にあるマンションに興味が出てきたため、住み替えを検討することになりました。

不動産は大きな資産。そこで暮らすことだけでなく、長い目で見て売却しやすいかどうかも考えながら購入するというのも重要です。また、売却しやすいというのは、資産価値が継続する物件とも言い換えられます。
今回は、売却しやすいマンションを選ぶポイントについてみていきましょう。

人気があるエリアに立地しているかどうか

一般的に駅から近い、複数の路線が利用できるターミナル駅が最寄り、商業施設が近いなど、利便性が高いエリアにあるマンションは安定した需要があり、売却に出した場合もすぐに買い手が付きやすい傾向にあります。また、こういった利便性以外にも、住いのエリアとして人気がある住宅街、教育環境が整っていて、常に一定数のファミリー層が物件を探しているエリアというような「住みたいと考えている人が多くいる街」というのも売却のしやすさにつながります。毎年いろいろな調査結果として住みたい街のランキングが発表されているので、こういったものを参考にするのもいいでしょう。

管理体制の良し悪しが、マンションの資産価値を左右する

マンションの資産価値を測るひとつのポイントとして、「管理体制がしっかりしているかどうか」というものがあります。管理の行き届いたマンションは、長期的な修繕計画が立てられているほか、日々の清掃やメンテナンス、定期点検などがしっかりなされています。こういった積み重ねが、建物の価値を持続させ、安心・安全に暮らせるマンションとして評価されるというわけです。マンションの内見時には、室内だけでなく共用部分も確認するのが重要というのは、こういった理由から。どうしても居住スペースだけに目が行きがちになりますが、エントランスはきれいに保たれているか、共用部分の廊下に住民の荷物が置かれていないか、明かりが切れているところはないかなどまで見るようにしましょう。また、セキュリティ面から見た管理体制についても確認を。管理人の有無やいる時間帯、防犯カメラやオートロックの有無などもチェックポイントです。

近年、マンションの管理体制の重要性は大きく注目を浴びるようになってきています。国としても無視できない状況となっており、2022年4月より改正マンション管理適正化法を施行。このタイミングで「一般社団法人 マンション管理業協会」が定めた評価項目をチェックして、マンションの管理状態を把握する「マンション管理適正評価制度」が開始となります。評価項目は、「管理体制」「組合収支」「建築・設備」「耐震診断」「生活関連」と5つのカテゴリーに分類されており、評価結果はインターネットで公開となります(評価結果は年1回更新)。
こういった評価も参考にしながら、マンションの資産価値を判断するのもいいでしょう。

エリアのニーズにあった間取りや専有面積

「部屋数が多く、専有面積が広い」というのは一見魅力あるマンションと感じますが、そのニーズは物件を探している人がファミリーかシングルかによって異なります。ファミリー層が多いエリアであれば、子ども部屋も含めて3LDK以上は欲しい人が多いでしょうし、家族団らんの場として広々としたリビングがあったほうがいいと思っているかもしれません。しかしシングルの場合は、そこまで部屋数の多さや大人数が集うほどの広さに重要性を感じていないと考えられます。つまり、単にサイズが大きければいいというわけではなく、そのエリアでのニーズがどれだけあるのかが重要なポイントということです。エリアのニーズに合致しているかどうかも考えて、マンションを選ぶようにしましょう。

資産価値が継続するマンション購入を

売りやすいマンションとは、将来的にも買い手のニーズの高さが見込めるマンションです。今回ご紹介したポイントを参考に、できるだけ資産価値が継続するマンションを購入するようにしましょう。

執筆

橋本 岳子 (はしもと・たかこ)

20年勤めた不動産情報サービスの会社での経験を活かし、住まい探しが初めての方にも分かりやすい、生活者の目線に立った記事の執筆活動を手がける。

※ 本コンテンツは、不動産購入および不動産売却をご検討頂く際の考え方の一例です。

※ 2022年3月25日本編公開時の情報に基づき作成しております。情報更新により本編の内容が変更となる場合がございます。

バックナンバー