千葉県・大久保邸 文/礒部道生 写真/佐藤正純
書斎も兼ねる2階のファミリースペースはゆとりの空間。吹き抜けによる空気の対流によって地中熱システムが効果的に生かされ、部屋のどこにいても一定の温度が保たれる
生活の舞台である住まいをどうすべきか――。人生を楽しむために住宅を考えることは必要不可欠です。そんな時にヒントになるのは、先人のチャレンジです。趣味を生かした都会暮らし、セカンドライフに備える、中古物件を購入して思いのままにリフォームなど、様々な目的、手段で、人生を楽しむ住み替えを実行したケースを紹介します。連載第4回は、親の住居を建て替えしたケースを紹介します。
人生後半にこそ、エコな住宅を――。地球環境に優しいのはもちろんだが、光熱費をぐっと抑えられるため、エコな住宅を選択することが老後の安心につながるのは、意外に知られていない。
10年前に地中熱利用住宅に住み替えた大久保順さん(55歳)は、光熱費が従来の半分以下になったという。「築40年の家は隙間風だらけで、冬場、特にトイレや風呂が寒くてつらかった。室内の温度差がない家を建てようと思ったら、地中熱を利用する少し変わったエコな家になりました」と言う
建物床下の基礎を密閉し断熱材で覆って、地中の熱を逃さないようにする地中熱利用住宅は、緩やかな床暖房のようなもの。冬は、昼間の日差しで暖められた室内の空気を床下に送り込み、一方、夏は外気温より低い床下の空気を管で吸い上げて室内に送風することで、適度な涼しさが保たれる。
お気に入りは、1階のリビングから仰ぎ見る吹き抜けの開放感だ。
「高さ7mの吹き抜け構造にしたため、室内の温度差もほとんどなく、快適。留守中も地中熱システムが動いているので、真夏でも玄関を開けると、中はひんやりしているのがうれしいですね」。
エコ住宅に建て替えてからというもの、おのずと身の回りの小さなエコにも気を配るようになった。
「雨水タンクを購入して庭木の水やりに雨水を利用したり、ゴーヤで窓に緑のカーテンを設けたり。地道なエコライフを実践中です」。