- フリーランスが考える障壁は、「収入が少ない・安定しない」という点。
- 返済額が変わらない固定金利を選ぶと見通しが立てやすいので、月々の収入に差があっても安心感がある。
- 団体信用生命保険(団信)に加入するので、もしものときでものこされた家族はそのまま住み続けられる。
- 条件にもよるが、賃貸住宅の家賃よりローン返済額が下回るケースもあるので、フリーランスにとっては安心にもつながる。
フリーランスの住宅購入~第一話「フリーランスの不動産購入。障壁を解消する考え方編」
【Iさん】
小学校6年生の息子と近所の雑貨店でパート勤務の妻と賃貸マンションで暮らしている40代前半のIさん。脱サラしてフリーランスのデザイナーとして仕事をしており、ほぼ在宅の毎日。最近の悩み事は、住んでいる地域が住まいのエリアとして人気が出てきたこと。今後家賃が上がるようで、どこまで上がるかわからない毎月の出費が気がかりになっている。そこで、毎月の返済が安定する固定金利でローンを組んで住宅を購入することを決意する。
フリーランスが考える障壁は、「収入が少ない・安定しない」という点
内閣官房日本経済再生総合事務局が実施したフリーランス実態調査(調査期間:2020年2月10日~3月6日)の結果によると、フリーランスを本業として働いている人は約214万人と試算されています。年齢構成は40代以上のミドル・シニア世代が中心で全体の7割ほど。フリーランスを選択した理由で多いのは、「自分の仕事のスタイルで働きたいため」「働く時間や場所を自由とするため」などとなっています。
障壁になっているのは「収入が少ない・安定しない」という点。サラリーマンのように給料制でないため、月によって収入に差が出てくるのは否めないようです。しかし、事業を続けていき、取引先や固定の仕事が増えていけば、安定した収入につなげていくことは可能です。自分の力次第でどのようにでもなる、さまざまな可能性を秘めている魅力的な働き方でもあります。
フリーランスの人が障壁と考えてしまう安定しない収入。この点がネックになり、ライフステージの変化などによって住み替えを考えても、住宅ローンを組んでマイホームを購入するなんて…と考えている方も多いようです。
そのような中でも、住宅購入にはメリットもあります。ここでは項目に分けて見ていきましょう。
住宅ローンを固定金利にすることで、毎月の返済が一定に
賃貸住宅は、固定資産税がかからないことや気軽に引越しできる点がメリット。しかし、毎月賃料を払い続けても自分のものにならなかったり、自由にリフォームできなかったりなど、気になるポイントがいくつかあります。また、家賃は契約時のまま、というわけにはいきません。特に人気の高いエリアでは賃料が上がる可能性があります。更新のたびに、賃料がどのように変わるかを気にしておかなくてはなりません。そのまま住み続けるか、引越すかなどの検討も必要になってくるでしょう。
一方、住宅ローンを固定金利にしてマイホームを購入した場合は、毎月の支払い額が変わることはありません。月ごとに収入の差があっても、先の見通しが立てやすい点がメリットと言えるでしょう。支払いが終われば資産として残るというのも魅力です。
ただし、金融機関によって事業年数や年収など審査基準が異なりますので、その点の認識は必要です。
「賃貸」か「購入」のメリットデメリットを確かめたい方はこちらの記事もご覧ください。
「賃貸住宅」と「住宅購入」自分らしく暮らすための選択肢はどっち?
団体信用生命保険(団信)に加入するので、もしものときも安心
団体信用生命保険(以下団信)とは、住宅ローンの名義人にもしものことがあったとき、その時点で残っている住宅ローンが保険会社より支払われる保障制度のこと。住宅ローンを組む場合、加入するのが一般的となっています。これにより、のこされた家族は安心してマイホームに住み続けることが可能です。
家賃より、月々の返済額が抑えられる可能性がある
フリーランスにとって、毎月の出費が抑えられるというのはうれしいポイント。たとえば3,000万円を固定金利で借り入れた場合、返済期間が35年であれば月々の支払いは約100,000円となります(金利2.1%ボーナス月の上乗せ返済無しで試算)。ファミリータイプの賃貸物件であれば、賃料がこれを上回る可能性もあるでしょう。エリアや借り入れ額、住宅ローン金利を固定にするか変動にするかにもよりますが、月々の支払額を比較してみると、購入したほうが有利なケースがあります。“フリーランスで住宅購入するなんて無理だ”と決めてしまうのではなく、さまざまな比較を通して考えてみるといいでしょう。
20年勤めた不動産情報サービスの会社での経験を活かし、住まい探しが初めての方にも分かりやすい、生活者の目線に立った記事の執筆活動を手がける。
※ 本コンテンツは、不動産購入および不動産売却をご検討頂く際の考え方の一例です。
※ 2021年5月31日本編公開時の情報に基づき作成しております。情報更新により本編の内容が変更となる場合がございます。