都心への住み替えを考える~Iさん家族の場合~(第四話「都心の地域性編」)

漫画で見る不動産購入・売却のポイントvol.52

この記事の概要

  •  都心といってもさまざまなエリアと地域性がある。
  •  交通網が発達しているので、通勤時間を30分以内に設定したとしても選択肢は潤沢。
  •  下町人情がある昔からある街、閑静な住宅街、住んでいる子どもが少ない街、再開発されて子育て層が多い街など地域性はさまざまだが、どんな暮らしや子育てをしたいかを明確にして住み替え先のエリアを決めることが大切。

第四話「都心の地域性編」
都心への住み替えを考える~Iさん家族の場合~(第四話「都心の地域性編」)

【Iさんファミリー】
Iさんは40代半ばの都心に通うサラリーマン。妻と小学生・幼稚園児の娘二人と海に近い一戸建てで暮らしている。第一子が生まれたタイミングで自然に囲まれたところで子育てをしたいと郊外の駅から徒歩20分の所に注文住宅を建築。通勤時間も我慢のできる範囲と考えていた。しかし、最近は責任のある仕事を任せられることが増え、できれば通勤時間を短縮してその分業務時間にあてたいと思うようになってきている。

都心といってもさまざまなエリアと地域性がある

ひとくちに都心といっても、下町人情がある昔からある街、閑静な住宅街、再開発されて子育て層が多い街などさまざまな側面があります。交通網が発達しているのも都心の特徴で、会社のそばのエリアに限定して探すのではなく、通勤時間を30分以内に設定したとしても選択肢は潤沢にあります。つまり、利便性を得ながら自分たちらしい生活ができるというのも都心暮らしの注目ポイントと言えるのです。

タイプ別。都心でのエリア紹介

ここでは、どんな暮らし方や子育てをしたいかという視点とそれに合うエリアを紐づけて紹介していきます。

ご近所付き合いをしっかりしたい
~下町人情がある昔からある街~

伝統的なお祭りや町内会活動がさかんなところが多く、ご近所との付き合いも密になります。道ですれ違えば挨拶を交わし、子どもの登下校時なども地域で見守る体制ができていると言えるでしょう。地域密着型の商店街がある場合は、店の前を通れば店主が声をかけてくれるなど、アットホームな雰囲気の中で生活を送ることができます。行事がしっかり行われている分、会合や当日の手伝いなどに要する時間が比較的多め、という点は認識しておきましょう。

落ち着いた環境で子育てをしたい
~閑静な住宅街~

ビジネス街へは電車一本で移動できるという場所に立地しながら、利便性と落ち着いた環境を手に入れることができます。住宅街という側面から不特定多数の人が近所を行きかうという光景は見られません。住宅街とはいってもスーパーや個人商店などが徒歩圏内にあることが多いため、生活圏内で日常の買い物は済ませられるでしょう。教育熱心なご家庭が多いエリアでは、近隣に各種教室や進学塾などが充実している傾向があります。落ち着いた環境でしっかりと子育てをしたいという方に向いているでしょう。

より手厚い教育を受けさせたい
~住んでいる子どもが少ない街~

都心でもビジネス街となってくると、居住している子どもの数は他エリアに比べて少なくなります。各校の生徒数が少ない分、先生の目が一人ひとりに行き届きやすく公立校であっても手厚い指導が魅力で、遠方から越境してくる生徒もいるほどです。一学年の生徒数が少ないため、学年を超えた交流も盛ん。好きなことにじっくり取り組める環境でもあるので、子どもの探求心や個性を大切にしたいという方にも向いています。

同世代の子を持つファミリーと交流したい
~再開発されて子育て層が多い街~

例えば東京の湾岸エリアなどは、再開発が進み次々と高層マンションが建築されています。利便性を求めた子育て世帯の移住も多く、人口は増え続けている状態です。人口増に合わせて商業施設や公共施設などの周辺環境が整い、暮らしやすさも日々進化していると言えるでしょう。少子化が問題視されている中、新規で学校が開校するエリアもあります。 子育て中は孤独になりがちで、不安がつきものです。そんなとき、近所に住むママ友は非常に大きな存在となります。週末はホームパーティーなどをして家族で交流するというもの良い思い出になることでしょう。

人気のある街ではなく自分たちの望む生活が送れる街を選択し、満足のいく住み替えを

住み替え先をどう選択するかで、その後の生活は大きく変わってきます。一般的に人気があると言われている街はそのポテンシャルが評価されている結果ともいえますが、自分たちの望む生活に合致するということではありません。今回ご紹介した希望条件や地域性は一例となりますが、満足のいく生活を送るためには、どんな暮らしや子育てをしたいのかという視点も踏まえながら検討するということが重要です。住み替え時にはご家族でしっかり話し合い、希望条件を明確にしておくようにしましょう。

執筆

橋本 岳子 (はしもと・たかこ)

20年勤めた不動産情報サービスの会社での経験を活かし、住まい探しが初めての方にも分かりやすい、生活者の目線に立った記事の執筆活動を手がける。

※ 本コンテンツは、不動産購入および不動産売却をご検討頂く際の考え方の一例です。

※ 2019年8月30日本編公開時の情報に基づき作成しております。情報更新により本編の内容が変更となる場合がございます。