都心への住み替えを考える~Iさん家族の場合~(第一話「住まいと通勤時間・利便性との関係編」)

漫画で見る不動産購入・売却のポイントvol.46

この記事の概要

  •  ライフステージの変化で住まいのありかたも変わってくる。
  •  郊外での暮らしは通勤時間が負担になってくることのほか、救急病院が近くにない、遠いためタクシーの利用頻度が増えてしまった、災害時にすぐに帰宅できない、児童館などが遠いなどの懸念点がある。
  •  郊外での暮らしに負担を感じるようになったら、都心へ住み替えるというのも選択肢のひとつ。

第一話「住まいと通勤時間・利便性との関係編」

【Iさんファミリー】
Iさんは40代半ばの都心に通うサラリーマン。妻と小学生・幼稚園児の娘二人と海に近い一戸建てで暮らしている。第一子が生まれたタイミングで自然に囲まれたところで子育てをしたいと郊外の駅から徒歩20分の所に注文住宅を建築。通勤時間も我慢のできる範囲と考えていた。しかし、最近は責任のある仕事を任せられることが増え、できれば通勤時間を短縮してその分業務時間にあてたいと思うようになってきている。

ライフステージの変化で変わる、住まいのありかた

“ゆったりとした時間を家族とともに過ごしたい”。そのような理由で郊外に一戸建てを購入する人も多いようです。その時は、通勤時間が2時間くらいなら我慢できる・・・と思っていても、責任ある仕事を任されたり帰宅が遅くなったりする機会が増えていくと、その通勤時間が負担になってくることもあります。年齢も重ねているわけで、数年前は苦ではなかったことが体力的にこなせなくなってしまったということもあるでしょう。“時は金なり”という言葉があるように、もっと時間を有効に使いたいと感じてきた方もいらっしゃるのではないでしょうか。
ずっと住み続けていくつもりでマイホームを購入しても、ライフステージの変化によって今の自分たちのライフスタイルにそぐわなくなってしまうこともあります。通勤がきつい場合は、会社の近くに住む、つまり都心への移住も選択肢のひとつといえるでしょう。

通勤時間の負担以外で住み替えを検討した理由
①救急病院が居住している行政区域内に少ない

お子さんが小さいうちは、急な発熱やケガなどに悩まされることも多く、近隣に救急病院があることが安心要素のひとつと言えます。ただ、郊外の場合は居住行政区域内に救急病院が少ないケースがあり、周辺の病院までの移動距離が長く、もどかしく感じることも。都心の場合は救急病院が点在しているので、もしもの時も安心ということが多いと言えるでしょう。
救急病院に限らず、小児科が地域に1件しかなければそこに通うしかありません。医師との相性もありますから、都心であれば数ある中から選べるというのもメリットかもしれません。

通勤時間の負担以外で住み替えを検討した理由
②タクシーの利用頻度が増えた

通勤時間が長いと、その分終電の時間も早くなります。自宅の最寄り駅まで行く電車がなくなってしまい、途中の駅からタクシーに乗車し帰宅する機会が増えてしまったというケースも多く聞かれます。また、海や山に近い住宅となると最寄り駅から遠く、ついついタクシーを利用してしまうこともあるようです。

通勤時間の負担以外で住み替えを検討した理由
③災害時にすぐに帰宅できない

2011年に起こった東日本大震災。交通機関がほとんどストップしてしまったことから、社屋に宿泊したり、数時間かけて歩いて帰宅したりする人が多く出てしまいました。会社の最寄り駅から電車で1~2時間の場所に住んでいる場合、交通機関が麻痺してしまうと歩いて帰宅するのは困難です。共働きで保育園に小さなお子さまを預けているご家庭などは、迎えに行くことができず、一晩保育園にあずかってもらったというケースも多くありました。
災害時には離れている場所で被災した家族の安否も気になることですし、近くで寄り添いたいもの。職場に近い都心への転居であれば、すぐに駆け付けることができるという点は安心ポイントになります。

通勤時間の負担以外で住み替えを検討した理由
④児童館や子どもが遊べる公共施設が遠い

こちらはママ目線の理由。都心の場合は児童館や公共施設の数が多く、徒歩圏内にあることがほとんどです。そこに集まってくる親子もご近所さんになるので、ママ友が作りやすい環境と言えるでしょう。
郊外の場合は、児童館や公共施設の数が少ないケースがあり、1カ所に広域から集まってくることになりますので、近所のママにはなかなか出会えない可能性も考えられます。

都心には郊外のような自然が潤沢にはありませんし、物価が高いという懸念点もありますが、利便性に関しては多くのメリットがあると言えます。

執筆

橋本 岳子 (はしもと・たかこ)

20年勤めた不動産情報サービスの会社での経験を活かし、住まい探しが初めての方にも分かりやすい、生活者の目線に立った記事の執筆活動を手がける。

※ 本コンテンツは、不動産購入および不動産売却をご検討頂く際の考え方の一例です。

※ 2019年5月31日本編公開時の情報に基づき作成しております。情報更新により本編の内容が変更となる場合がございます。