働き方改革とこれからの住まいの関係性を考える(第五話「空き家選びの注意点」)

漫画で見る不動産購入・売却のポイントvol.44

この記事の概要

  • 郊外で空き家を探すときは、観光や別荘という感覚でなくそこに住むという視点を忘れないこと。
  • 何度も現地にいくことができないので、しっかり計画を立てていくことが重要。チェックリストもしっかりまとめておくとモレがなく安心。
  • リノベーションはできないことがある可能性があるので、事前にどこまで手を入れられるかを確認することがポイント。

第五話「空き家選びの注意点」

【Eさんファミリー】
Eさんは東京駅近くのオフィスで働く30代のサラリーマン。結婚して5年が経ち、元気いっぱいの息子(2歳)と専業主婦の妻と一緒に、オフィスからドア・ツー・ドアで30分のところにある都内の賃貸マンションで暮らしている。勤務先は働き方改革の流れをくんで、必ずしもオフィスで仕事をしなくてもいいという方針に。息子を伸び伸びとした環境で育てたい、趣味のサーフィンをもっと気軽に楽しみたいと考えているEさんは、郊外でのマイホーム購入を検討中。

居住するという視点で立地や環境をチェックしましょう

古民家再生やリノベーションが注目されている中、空き家を活用した住み替えを検討する人が多くなっています。これらのメリットとしては、新築よりも安く物件が手に入る点や、ほかにはない個性的なマイホームに住めることなどがあげられます。インフラなど最低限の部分を整備したら、休日に少しずつ手を入れていくなど、生活しながら家を造り上げていくという楽しみ方をしている方もいるようです。
さらに郊外に目を向ければ、畑付きの住宅や海に近い物件など都会では見つけられない条件の住宅がみつかることもあります。お休みの日は少し早起きをして畑を耕したり、朝食前にサーフィンをしたりするなど、都会ではできなかった過ごし方が実現できるようになります。
このように、郊外に住むことには都会にはないメリットが多くあります。一方、場所を選定する際に念頭においていただきたいのは、目的が観光や別荘を建てることではなく、居住することであるという点です。少し歩けばコンビニエンスストアがある、遅くまで終電がある、駅前にはタクシーが列を作って待機している・・・など当たり前だった日常がガラリとかわることになります。都会と同じとはいかない、ということを事前に認識しておく必要があります。経験者に話を聞いたりするのも有効ですが、可能であれば現地で何泊かし、そこでの生活を経験してみるというのもいいかもしれません。郊外での住まい探しでは、都心以上に立地条件や周辺環境についてしっかり検討し、納得しておくことが重要であると理解しておきましょう。

内見時は計画を立て、チェックリストも忘れずに

内見の際は、当日の計画をしっかり立てて現地に赴き、戻ってから“〇〇をチェックし忘れた”ということがないようにしておくことがポイントです。モレがないようにするにはチェックリストを用意し、それを見ながら内見するのが最もスムーズな方法といえます。また、チェックリストには、基本的なことだけでなく、希望条件を盛り込んでおくことも重要です。実際の物件をみてしまうと、希望条件がぶれてしまい、どの物件が自分たちの希望に近いのかが分からなくなってしまうことがあります。近所であれば、また見に行けばいいいかもしれませんが、遠方の場合はそうもいきませんので注意しましょう。
また、写真も可能な限り撮影しておくようにします。複数の物件を内見する場合、それぞれ1枚目の画像は物件名もしくは住所の入ったプレートや手書きの紙などにしておくと、見返したときに分類しやすいのでおすすめです。

どこまでリノベーション可能か事前に確認を

空き家をリノベーションする場合にチェックしておきたいのが、どこまで変更が可能なのかという点です。広々としたLDKが欲しいと思っても、どうしても外せない柱や壁がある場合もあります。購入後に残念なことにならないよう、事前に確認するようにしましょう。また、リノベーションというと内装・間取り・設備などに目が行きがちですが、ある程度築年が経過している場合は、目に見えない配管なども変更する必要があります。こういった点もチェック項目に入れて、モレのないようにしてください。

執筆

橋本 岳子 (はしもと・たかこ)

20年勤めた不動産情報サービスの会社での経験を活かし、住まい探しが初めての方にも分かりやすい、生活者の目線に立った記事の執筆活動を手がける。

※ 本コンテンツは、不動産購入および不動産売却をご検討頂く際の考え方の一例です。

※ 2019年4月25日本編公開時の情報に基づき作成しております。情報更新により本編の内容が変更となる場合がございます。