文字サイズ
この記事の概要
2021年度の税制改正には、新型コロナウイルス感染拡大による景気への悪影響を和らげるための減税措置と、デジタル・グリーンを中心とする産業構造転換促進の2点に主軸が置かれています。
不動産関連では地価上昇により2021年度の税額が増加する全ての土地に対し2020年度と同額とする特別措置が講じられることとなりました。また、住宅ローン減税の控除期間の延長と住宅取得等資金に係る贈与特例の非課税枠の一部拡大とともに、床面積要件が緩和されることとなっています。
ただし、教育資金などの一括贈与の非課税制度について、相続対策を抑える措置の導入が盛り込まれました。今回、それらを解説するとともに、2021年度の住宅購入・売却に適用される重要な項目をまとめます。
2021年度税制改正大綱における不動産関連の項目は、コロナ禍での経済対策および消費税率引き上げに対する対策がほとんどです。例えば次のような項目が挙げられます。
以下の要件を満たせば、住宅ロ-ン控除の控除期間が13年間とされる特例が延長されます。また、一定の制限はありますが、面積要件である「登記簿面積50㎡以上」が「登記簿面積40㎡以上」に緩和されました。
[適用要件]
(注1)消費税率8%での住宅取得、売主個人(非事業用)からの取得は除かれます。
(注2)40㎡以上50㎡未満の住宅については、その年の合計所得金額が1,000万円を超える年については、適用できません。
(注3)その他の要件等は、現行の住宅借入金等特別控除(住宅ローン控除)と同様とされます。
上記の項目は、内需の柱となる住宅取得を幅広い購買層に対して喚起するための改正となります。面積要件を40㎡に引き下げる措置は、世帯構成や暮らし方の変化に伴い拡大するコンパクトマンションニーズなどを対象とする目的があると思われます。
①2021年(令和3年)1月1日から同年12月31日の住宅取得等資金の贈与において、下図のとおり非課税限度額が引き上げられます。
②贈与を受けた年分の合計所得金額が1,000万円以下の場合に限り、現在、登記簿面積50㎡以上の対象要件が登記簿面積40㎡以上と緩和されます。この改正は「特定の贈与者から住宅取得資金の贈与を受けた場合の相続時精算課税の特例」についても同様となります。
(注)上記の改正は、2021年(令和3年)1月1日以後に贈与により取得する住宅取得等資金に係る贈与税について適用されます。
以下のような税金の軽減措置の延長が大綱に盛り込まれています。これらは住宅取得・売却時のメリットを与えてくれます。この他にも固定資産税の軽減措置もあります。詳しくは専門家にお尋ねください。
(注)①および②は現行のまま2024年(令和6年)3月31日まで3年間延長。③は現行のまま2023年(令和5年)3月31日まで2年間延長。
不動産関連項目ではありませんが、前述の住宅取得等資金の贈与とともに検討する方がいらっしゃいますから、教育資金、結婚・子育て資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置についても触れておきます。
これについては、孫に対し一括して贈与を行い、贈与者死亡時の残高に係る相続税について、相続税の2割加算が適用されないことなどが過度な相続対策につながっていることが指摘されていました。令和2年度の与党大綱でも「次の適用期限の到来時に、その適用実態も検証した上で、両措置の必要性について改めて見直しを行う」とされており、その存廃についても検討された結果、両制度とも2年間延長されたものの、活用範囲に制限が加えられました。
下記のとおり過度な相続対策を抑える措置を導入の上、適用期限が2023年(令和5年)3月31日まで2年延長されます。
(注)上記①と②の改正は、2021年(令和3年)4月1日以後の贈与について適用されます。
(注)「管理残高」とは、非課税拠出額から教育資金支出額を控除した残高。
教育資金の一括贈与と同様に、適用期限が2023年(令和5年)3月31日まで2年延長されます。
(注)上記の改正は、2021年(令和3年)4月1日以後の贈与について適用されます。
(注)「管理残高」とは、非課税拠出額から結婚・子育て資金支出額を控除した残額。
(注)上記の改正は、2022年(令和4年)4月1日以後の贈与について適用されます。
協力・監修
東京シティ税理士事務所:不動産を所有する方の相続と不動産税務を専門とする多数の税理士が所属する税理士事務所。
※ 本コンテンツは、不動産購入および不動産売却をご検討頂く際の考え方の一例です。
※ 2021年1月29日本編公開時の情報に基づき作成しております。情報更新により本編の内容が変更となる場合がございます。
ローンから諸経費、リフォームまで、多彩な優遇税制を活用しよう
2016/06/30
購入向け
資金・ローン
リフォーム
税金
不動産の売却には、税金の知識が欠かせない
売却向け
相続
知っておきたい不動産用語 ~お金に関するもの~
2016/08/31
買主さま
成約インタビューVOL.4 愛知県瀬戸市在住 H様編 —物件・会社・担当者の対応...
2020/02/07
売主さま
成約インタビューVOL.3 大阪府大阪市北区在住 D様編 —直感通り、みずほ不動...
2019/01/17
成約インタビューVOL.3 東京都世田谷区在住 F様編 —相続した不動産の売却か...
2019/09/27