働き方改革とこれからの住まいの関係性を考える(第八話「プチリフォーム編」)

漫画で見る不動産購入・売却のポイントvol.49

この記事の概要

  •  ︎壁は色やデザインが違うものになるだけでガラリと部屋の印象が変わる。貼ってもきれいにはがせる壁紙を使って子どもと一緒に作業するのもおすすめ。
  •  ︎ちょっとした空き時間を使って気軽にトライできるタイルの装飾。危ない工具は使わない点もポイント。
  •  押入れの中段を外せば、使い勝手のいいい収納に。工具をそろえて手順をふめばを初心者でも難しくない。外したら、壁面に壁紙を貼ったり、ペンキで絵を書いたりするのも楽しい作業となるはず。

第八話「プチリフォーム編」

【Eさんファミリー】
Eさんは東京駅近くのオフィスで働く30代のサラリーマン。結婚して5年が経ち、元気いっぱいの息子(2歳)と専業主婦の妻と一緒に、オフィスからドア・ツー・ドアで30分のところにある都内の賃貸マンションで暮らしていた。勤務先は働き方改革の流れをくんで、必ずしもオフィスで仕事をしなくてもいいという方針に。息子を伸び伸びとした環境で育てたい、趣味のサーフィンをもっと気軽に楽しみたいと考えているEさんは、郊外でのマイホーム購入した。

自宅での仕事。上手にやりくりすれば家族と過ごす時間も作れる

自宅で仕事をするようになると、時間のやりくりをしっかりすれば家族との時間が今までよりもとれるようになります。仕事がひと段落したら、子どもと近所の公園へ遊びに行ったり、自然に触れあったりなど毎日会社へ通っていたころに比べると、プライベート面での充実がはかれるでしょう。
ほかにも、自宅にいる時間が増えたことでやってみたいのがプチリフォームです。ここでは、家族で楽しんでできるプチリフォームについて紹介していきます。

貼ってもきれいにはがせる壁紙を使って自分好みに

室内で広い面積を占める壁。色やデザインが違うものになるだけでガラリと部屋の印象が変わります。“自分で貼ったら失敗するのでは・・・”と心配な方も多いとは思いますが、最近は何度も貼ってはがせる商品も販売されています。これなら、大人のやることに興味津々な子どもが手伝っても大丈夫。手軽な割には大きな変化がみられるためリフォームの達成感も得られます。デザインや色も豊富にそろっているので、家族で選ぶというのも楽しいかもしれません。
リビングなどの広いところはちょっと自信がない、という場合におすすめなのが子ども部屋です。子どもは年代によって、思考や好きなものが変わります。子どもと一緒に作業しながら、節目に合わせて変えていけば思い出作りにもつながります。
作業を始める前には、壁の汚れをぞうきんなどでしっかり拭き取ることがポイント。壁紙と壁の間に空気が入らないようにするために、ハケやローラーなどを使ってしっかりおさえながら貼っていきましょう。
壁紙は、家具のアレンジにも活用できます。少しインパクトのあるデザインを選べば、お部屋のアクセントにもなるでしょう。

水まわりをタイルで装飾し、おしゃれな空間を演出

組み合わせによって表情がかわるタイルはプチリフォームには向いているアイテムといえます。水はねが目立たなく、さっとひと吹きで汚れがとれるので、お掃除の手間が省けるのもうれしいポイントです。耐熱・防水・防カビ仕様のものを選べば水まわりだけでなく、キッチンのコンロまわりでも大活躍。壁紙同様貼ってはがせるタイプのものあるため、ちょっとした空き時間を使って気軽にトライできます。危ない工具は使わないのもおすすめしたい点です。

押入れの中段を外して使い勝手のいい収納に

最近の新築住宅は、各部屋にクローゼットなどの収納スペースが備わっているのがめずらしくありません。しかし、少し前の中古住宅になると備え付けの収納が足りないなと感じる人も多いのではないでしょうか。また、収納といってもクローゼットではなく押入れがあるというのがほとんど。突っ張り棒などを活用して衣類をかけることもできますが、中段がじゃまになって丈が長いものはかけられません。 押入れが上下に分かれているのは、上段は布団、下段は衣類(着物)や使わない家具や道具を収納するためですが、ベッドで寝るという人が増え、スーツやコートなどを着用する現代人の生活スタイルにはそぐわない部分もあります。
この中段を外すことは、手順をふめば初心者でも難しくありません。簡単にいうと、釘を外し施工と逆の順番で作業を進めるということになります。
作業中をするにあたって、まず中段の構造を理解しておきましょう。板の部分は『中段板』といいます。板の前後はそれぞれ『前かまち』と『後かまち』が備わっており、中段板を外すと数本の『根太(ねだ)』と呼ばれる角材が前後のかまちにわたされています。左右と奥に配されているのは『ぞうきんずり』といって、壁にぞうきんなどが触れて汚れたり壊れたりしてしまうのを防ぐ、壁と中段板の隙間をかくす、というような役割があります。
後ろかまち・前かまち・根太・中段板・ぞうきんずりの順で施工するので外すときはこの逆を追っていけばいいということになります。多くは釘でとめられているので釘抜きは必須。ぞうきんずりを外したら、中板を裏面から金づちでたたいて釘を浮かせ、浮いた釘を釘抜きで抜いていきます。根太・かまちを外すのも中板と同様の方法ですが、釘の先端部(とがっているほう)がある面から金づちでたたいてください。
釘でなくネジでとまっている場合は、ドライバーが必要です。外す作業をする前には何でとまっているのかをチェックし、必要な工具をそろえておくようにしましょう。
これらの作業は小さな子どもが手伝うと危ないですが、中段を外したら親子で壁面に壁紙を貼ったり、ペンキで絵を書いたりするのも楽しい作業となるはずです。

【補修編】意外と気になる、壁の釘穴・ネジ穴。目立たなくする方法は?

中古住宅で残っていがちなのが、壁の釘穴やネジ穴。これらの小さな穴は充填材を使えば目立たなくなります。ぞうきん、つまようじ、水性絵の具を用意し下記の手順で試してみてください。
①穴のまわりの汚れやほこりをぞうきんで拭き取ります。
②釘やネジを抜いたあとは周囲の壁紙などが盛り上がっていることがあります。盛り上がっていたら、つまようじで穴の奥に押し込み表面を平らにしましょう。
③充填材のノズルを穴にさし、容器を押して注入します。穴からはみ出したら乾く前に素早く濡れぞうきんで拭き取ります。
④このままでも構いませんが、色の違いが気になったら充填材が乾いたあとに水性絵の具で着色します。

今回紹介したのは、初心者向けの内容となりますが、難易度が高くない分親子で取り組める作業ともいえます。業者によるリノベーションですべてを一新してしまうのはもちろん間違いではありませんが、自分たちで手を入れることでマイホームへの愛着がより増すのではないでしょうか。

執筆

橋本 岳子 (はしもと・たかこ)

20年勤めた不動産情報サービスの会社での経験を活かし、住まい探しが初めての方にも分かりやすい、生活者の目線に立った記事の執筆活動を手がける。

※ 本コンテンツは、不動産購入および不動産売却をご検討頂く際の考え方の一例です。

※ 2019年7月31日本編公開時の情報に基づき作成しております。情報更新により本編の内容が変更となる場合がございます。

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