都心への住み替えを考える~Iさん家族の場合~(第七話「チェックしておきたい助成や補助。住宅補助編」

漫画で見る不動産購入・売却のポイントvol.58

この記事の概要

  •  住宅購入時にはさまざまな補助金や減税制度が利用できるが、それぞれ申請しないと受けられない点は注意が必要。
  •  10%への増税を機に『次世代住宅ポイント制度』『すまい給付金』『住宅ローン減税』『一般住宅の贈与税非課税枠』はよりメリットを感じられるようになった。

第七話「チェックしておきたい助成や補助。住宅補助編」

【Iさんファミリー】
Iさんは40代半ばの都心に通うサラリーマン。妻と小学生・幼稚園児の娘二人と海に近い一戸建てで暮らしている。第一子が生まれたタイミングで自然に囲まれたところで子育てをしたいと郊外の駅から徒歩20分の所に注文住宅を建築。通勤時間も我慢のできる範囲と考えていた。しかし、最近は責任のある仕事を任せられることが増え、できれば通勤時間を短縮してその分業務時間にあてたいと思うようになってきている。

住宅購入時にはさまざまな補助金や減税制度が利用できる

住宅購入は大きな買い物ですが、2019年10月に消費税が8%から10%に上がったことで、家計への負担が以前より増えてしまいました。
住宅購入時には、補助金・減税制度が利用できるということはご存知でしょうか。これらを利用するには、申請が必要となります。つまり、制度を知っているのと知らないのとでは大きな差が出てしまうということです。 さまざまな制度がある中、今回は増税に伴ってよりメリットを感じられるようになった制度について解説します。

最大35万ポイントがもらえる『次世代住宅ポイント制度』

購入した住宅が一定の省エネ性や耐震性などを満たす場合、商品と交換できるポイントが発行されます。対象は新築住宅を建築もしくは購入する人で、申請者が居住用住宅として利用することが条件です。もらえるポイント数は最大35万ポイントとなり、住宅性能によって付与されるポイント数は異なります。

<ポイント数と発行要件>

①30万ポイント
※さらに高い性能の住宅(認定長期優良住宅・認定低炭素住宅・性能向上計画認定住宅・ZEH)は+5万ポイント

  • ・エコ住宅:断熱等級4、または一次エネ等級4を満たすもの
  • ・耐震住宅:耐震等級2を満たす住宅もしくは免震建築物
  • ・バリアフリー住宅:高齢者等配慮対策等級3を満たすもの
  • ・長持ち住宅:劣化対策等級3で維持管理対策等級2等を満たすもの

②15万ポイント

  • ・耐震性のない住宅の建替え

③9,000~1万8,000ポイント

  • ・浴室乾燥機、宅配ボックスなど家事負担軽減設備の設置についてポイントを発行。ポイント数は設備によって異なる。

対象者が拡大した『すまい給付金』

消費増税による負担を軽減するために、自身の居住用として住宅を取得した場合は最大50万円の給付金が支給されます。所得制限が緩和され、対象者は510万円以下から775万円以下に変更となりました。給付額はその収入よって異なりますが、最大30万円から50万円に引き上がっています。対象期間は2021年12月末までに引渡しを受け、入居した場合。住宅ローンを組んでも、現金で購入しても給付金が受けられますが、住宅ローン利用者は年齢制限がないのに対し、現金の場合は年齢制限が50歳以上という制限があります。所得制限も650万円以下となるので注意しましょう。

『住宅ローン減税』は、控除期間が3年延長

対象者は、自身の居住用として住宅を購入し、2020年12月末までに入居した方。また、10年以上の住宅ローンを組んだ場合という要件もあります。控除期間は、従来の10年から13年と3年延長しました。10年間の最大控除額は400万円と今までと変更ありませんが、延長した3年間の控除限度額は、

  • ・住宅借入金等の年末残高(4,000万円※1を限度)×1%
  • ・建物購入価格(4,000万円※1を限度)×2/3%(2%÷3年)
のうちいずれか小さい額となります。

 

※長期優良住宅や低炭素住宅の場合は、借入金年末残高の上限は5,000万円、建物購入価格の上限は5,000万円。

『一般住宅の贈与税非課税枠』が最大2,500万円に拡大

父母や祖父母などの直系尊属から、住宅取得資金として贈与を受けて一般住宅を取得した場合、贈与税は最大2,500万円までが非課税となります。ただしこの控除額は、消費税率10%が適用される方で2019年4月~2020年3月末までに契約を締結した方が対象。以降は、徐々に非課税枠が縮小される予定なのでその点は覚えておきましょう。また、消費税率8%の適用を受けて住宅を取得した方は対象外です。

執筆

橋本 岳子 (はしもと・たかこ)

20年勤めた不動産情報サービスの会社での経験を活かし、住まい探しが初めての方にも分かりやすい、生活者の目線に立った記事の執筆活動を手がける。

※ 本コンテンツは、不動産購入および不動産売却をご検討頂く際の考え方の一例です。

※ 2019年11月29日本編公開時の情報に基づき作成しております。情報更新により本編の内容が変更となる場合がございます。