「アンケートで見る不動産トレンド」。新築の妥協ではなく、最初から中古を選ぶ人が大半。建物状況調査の利用・認知率は?

アンケートから分かる購入・売却の「ポイント」vol.19

「アンケートで見る不動産トレンド」。新築の妥協ではなく、最初から中古を選ぶ人が大半。建物状況調査の利用・認知率は?

この記事の概要

  •  2018年4月より、「重要事項説明」において「建物状況調査」(インスペクション)の実施有無を記載することが義務化された。背景には中古住宅の流通を促進するという国の方針があり、取引後のトラブルが少なくなる・築年だけで評価されないというような効果が期待できる。
  •  建物状況調査実施有無の記載が義務化された後のアンケートでは、住宅を購入する際、最初に検討したのは「中古」が68.9%、リノベーション前提で中古住宅を購入した人は77.0%という結果になった。また、約半数が建物状況調査を認知、利用率は33.7%となっている。

2018年4月より、「重要事項説明」において「建物状況調査」(インスペクション)の実施有無を記載することが義務化されました。中古住宅には、床下の腐食やシロアリの発生など、売主が気付かないような欠陥が隠されていることもあります。これが取引後に発覚した場合、トラブルに発展してしまうことも考えられます。
建物状況調査は、一定の講習を修了した建築士が調査を実施し結果を報告。事前に建物の状態を把握したうえで、購入を検討できるというのがうれしいポイント。売主にとっても、売却後のトラブルが少なくなるというメリットがあります。
また、建物状況調査を普及させるという背景には、築年数だけで評価されがちだった日本の中古住宅の流通を活性化させるという国の方針があります。建物状況調査の評価があれば、築年数が経過していてもしっかり建てられた家は正当な評価額で取引きができるというわけです。
建物状況調査実施有無の記載が義務化されてから1年以上が経過しましたが、住宅購入検討者の意識はどのようになっているのでしょうか。今回はアンケート結果をもとに見ていきましょう。

【アンケート結果1】
住宅を購入する際、最初に検討したのは「中古」が68.9%。リノベーション前提で中古住宅を購入した人は77.0%という結果に

住宅を購入する際、最初に検討したのは「中古」が68.9%。リノベーション前提で中古住宅を購入した人は77.0%という結果に

住宅を購入する際、最初に検討したのは「中古」と回答した人が 68.9%と過半数を占める結果となりました。一方「新築」を検討していた人は 12.3%と「中古」より低い割合になっています。
また、“リノベーション前提で中古住宅を購入しましたか?”の問いでは、77.0%が「はい」と回答しています。このことから、新築住宅を諦めて中古住宅を購入したのではなく、リノベーション前提で中古住宅を購入しているケースが多いことが分かります。 住宅タイプ別に見てみると、中古マンション購入者が78.7%、中古一戸建て購入者が75.0%と中古マンション購入者がわずかに上回る結果となりました。

【アンケート結果2】
約半数(47.9%)が建物状況調査を認知。利用率は33.7%という結果に

約半数(47,9%)が建物状況調査を認知。利用率は33.7%という結果に

建物状況調査(インスペクション)について「知っている」と回答した人は47.9%と、約半数の人が認知しているという結果となりました。一方、「実施した」は33.7%と認知率より下回っています。実施しなかった人の中で「やりたかった」と回答したのは44.4%。その理由としては、「後から修繕が必要なところがでた」「シロアリの検査をすれば良かった」などがありました。

これからの不動産流通に、大きな役割を果たす建物状況調査

建物状況調査の実施自体は義務ではありませんが、後から修繕が必要になったなど、実施しておけば良かったという意見も寄せられています。リノベーション前提で中古住宅を購入する人が約8割いるという現状も踏まえて、売主・買主双方が物件に対して安心でき、納得した価格で取引きできる建物状況調査は、これからの不動産流通に大きな役割を果たしていくものと考えられます。

みずほの建物状況調査(インスペクション)サービス

<調査概要>
調査対象・・・過去5年以内に中古住宅を購入し、リノベーションをした全国の20歳以上の男女309名
調査方法・・・インターネットによるアンケート調査
調査期間・・・2019年10月25日金曜日~10月28日水曜日
【アンケート結果1】
アットホーム株式会社が実施した「中古住宅のリノベーション実態調査」の結果
【アンケート結果2】
アットホーム株式会社が実施した「ユーザー動向調査 それぞれのトレンド&スタイル」の結果

※ リノベーションの定義について
【アンケート結果1】では、リフォームとリノベーションの定義を回答者に提示し、「リノベーション」を実施したと回答した人のみに回答いただいています。
・リフォーム:老朽化した建物を新築の状態に戻すこと
・リノベーション:大規模な工事を行い、住まいの性能を新築の状態よりも向上させたり、価値を高めたりすること

執筆

橋本 岳子 (はしもと・たかこ)

20年勤めた不動産情報サービスの会社での経験を活かし、住まい探しが初めての方にも分かりやすい、生活者の目線に立った記事の執筆活動を手がける。

※ 本コンテンツは、不動産購入および不動産売却をご検討頂く際の考え方の一例です。

※ 2020年1月31日本編公開時の情報に基づき作成しております。情報更新により本編の内容が変更となる場合がございます。

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