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固定金利の代表格の「フラット35」、どう使えばお得になるのか

住宅ローンの基礎知識 Vol.6

公開日:2017年5月31日

低金利が続く中で、将来のリスクを考えて固定金利の住宅ローンを選ぶ方が増えています。金利を固定する期間はいろいろありますが、まったく変動リスクを考えずに済むのは全期間固定タイプです。最近は銀行も同タイプの住宅ローンを積極的に取り扱っていますが、やはり、代表格として有名なのは「フラット35」です。住宅ローンに詳しいファイナンシャルプランナー(CFP)の平井美穂さんに、「フラット35」の魅力と最新の動向について伺いました。

フラット35の最大の短所が解消される?

―フラット35の概略と魅力から説明してください。

平井:「フラット35」とは民間金融機関と住宅金融支援機構が提携して提供している全期間固定金利住宅ローンです。名前の通り、融資期間は最長35年です。それより金利が少し低くなり融資期間が15~20年になる「フラット20」や、長期優良住宅を対象にした融資期間最長50年の「フラット50」もあります。魅力はリスクが少ない長期固定金利の住宅ローンが借りやすくなっていることです。

銀行の住宅ローンより、融資が受けやすくなっているポイントの1つが団体信用生命保険(団信)の取り扱いです。一般的に銀行の住宅ローンを借りる際には団信の加入が条件となります。つまり、団信に加入できない人は銀行の住宅ローンは借りることができません。一方、「フラット35」は持病などで団体信用生命保険に加入できない人にも融資をしています。

パートやアルバイトの収入だけだったり、勤続1年未満の給与取得者、実績の乏しい個人事業主など、銀行では審査が通らないケースでも融資が受けられることがあります。

―団信が利用できない人にとっては、非常に魅力的なのは分かりました。団信が利用できる場合、銀行の固定金利ローンと比較するとどうでしょうか。

平井:実は団信の部分こそ、「フラット35」と銀行のローンを比較するポイントなのです。通常、銀行で借りる住宅ローンは、団信の保険料が金利の中に含まれています。月々の返済額以外に別途保険料を支払う必要がありません。

一方、「フラット35」の場合、団信に加入する人は、毎年1年分の保険料を別途支払うことになります。具体的には、毎年融資実行月になるとあらかじめ指定しておいた銀行口座から自動引き落としをされたり、クレジットカードで支払う必要があります。

「フラット35」にて、借入額3000万円を金利1.2%、35年元利均等返済で借りた場合、35年間で支払う団体信用生命保険料の総額はなんと205万円になります。当初1年間分の保険料は10万7300円で、ローン残高が減るに従い年々安くなっていきます。35年目には2100円まで下がりますが、大きな出費となります。

団信支払い額のめやすは、総額205万1800円

左右スクロールで表全体を閲覧できます

特約料(円) 特約料(円) 特約料(円) 特約料(円)
1年目 107,300 11年目 81,300 21年目 51,100 31年目 17,000
2年目 105,500 12年目 78,500 22年目 47,900 32年目 13,300
3年目 103,000 13年目 75,600 23年目 44,600 33年目 9,600
4年目 100,400 14年目 72,700 24年目 41,300 34年目 5,900
5年目 97,800 15年目 69,700 25年目 38,000 35年目 2,100
6年目 95,100 16年目 66,700 26年目 34,600
7年目 92,400 17年目 63,700 27年目 31,100
8年目 89,700 18年目 60,600 28年目 27,700
9年目 86,900 19年目 57,500 29年目 24,100
10年目 84,200 20年目 54,300 30年目 20,600

(住宅金融支援機構の団信特約シミュレーションにより試算)

―これだけの出費があると多少の金利差が消えてしまいそうですね。

平井:その通りです。私が2017年1月に試算したところ、見た目の金利は高い銀行の全期間固定金利ローンの方が総支払額が少なくなるという結果も出ています。比較する時は団信についてしっかりチェックしてください。

実はうれしいことに、この「フラット35」の最大の弱点である団信について改善の見通しとなっています。住宅金融支援機構は2017年10月1日の申し込み分から、団信を民間ローンと同様に、毎月返済額のなかに団信の保険料を含めて引き落とす仕組みに移行することにしたのです。

これにより、現在の支払い方法と比べて、団信の負担が実質軽減されることになります。また、民間の銀行ローンとの比較が容易になり、10月以降の金利設定によっては「フラット35」のほうが総支払額が少なくなる可能性があります。

「S」が使えれば「フラット35」はいまでもかなり魅力的

―「フラット35」を検討する際のポイントを教えてください。

平井:現時点で私が「フラット35」の利用をお勧めするのは金利優遇が使えるケースです。例えば「フラット35」Sは、省エネルギー性能や耐震性・バリアフリー性能などで特に優れた住宅を取得する際に、当初10年間(5年間)金利を優遇する制度です。

現在は、当初10年間または5年間▲0.3%の金利優遇を受けられます。2017年5月1日時点の「フラット35」の金利が1.06%ですから、0.3%の優遇のインパクトの大きさが分かると思います。

こうした金利優遇制度は「フラット35」Sだけではありません。2016年10月には「フラット35」リノベがスタートしました。中古住宅を購入して性能向上リフォームを行うケースだけでなく、住宅事業者により性能向上リフォームが行われた中古住宅を購入するケースでも適用される優遇措置です。

リフォームのレベルによって優遇期間に差があり、大幅な性能向上を果たした場合には金利Aプランが使え、当初10年間▲0.6%の金利優遇を受けられます。そこまでの性能向上ではなくても金利Bプランが適用できれば、当初5年間▲0.6%の金利優遇が受けられます。

―購入当初の返済が厳しい中で、金利優遇は助かりますね。

平井:フラット35は制度改正が相次いでいます。2017年10月から「フラット35」Sの金利優遇が▲0.3%から▲0.25%に縮小される予定です。また、一部のエリアの物件に限定されますが、「子育て支援型」と「地域活性化型」の金利優遇もスタートします。若年子育て世帯による既存住宅の取得や、若年子育て世帯、親世帯等による同居や近居のための住宅取得、UIJターンによる住宅取得などが対象です。当初5年間、▲0.25%の金利優遇を受けられます。

「子育て支援型」、「地域活性型」と「S」、「リノベ」は併用できるので、もし両方が利用可能ならば効果は非常に大きくなります。「S」との併用では優遇金利が大きくなり、「リノベ」との併用の場合には優遇期間が長くなる見通しです。

こうした優遇制度が利用できないかをきちんと検討した上で、民間銀行の全期間固定金利型ローンと、保険料負担も合わせて総支払額を試算してみてください。

解説

平井美穂さんのプロフィール

大学卒業後、マンション販売会社に勤務。その後、金融機関に転職をし、都市銀行およびモーゲージバンクにて融資業務および資産運用相談を専門とする企業系ファイナンシャルプランナーの仕事に携わる。出産を機に退職し、独立系ファイナンシャルプランナーとして住宅ローンのアドバイスを中心に活動。

  • ※ 本コンテンツは、不動産購入および不動産売却をご検討いただく際の考え方の一例です。
    2017年5月31日本編公開時の情報に基づき作成しております。情報更新により本編内容が変更となる場合がございます。
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