使用細則でより細かいルールをチェックしておく
管理規約で定められたルールやその内容等について、日常生活に直結したルールを詳細かつ具体的に示したものが使用細則です。
内容については、マンションごとに自由に定められますが、区分所有法や他の法律、管理規約に違反するような事項は無効になります。国交省の調査によると、分譲マンションの91.0%で使用細則(協定等含む)が定められており、項目としては、以下のようなものが挙げられます。
(表)マンション管理組合の使用細則(協定等含む)で定められている項目
専有部分に係る使用・居住 |
80.1% |
民泊 |
50.8% |
専有部分の修繕等 |
66.6% |
駐車場 |
80.1% |
自転車置場・バイク置場 |
70.4% |
専用庭 |
23.2% |
ベランダ・バルコニー |
54.4% |
集会室 |
36.1% |
ゲストルーム・パーティールーム |
8.4% |
ペット飼育 |
72.1% |
楽器演奏 |
32.1% |
窓ガラス等の改良 |
26.9% |
出典:国土交通省「平成30年度マンション総合調査」
使用細則は、原則として「区分所有者」と「議決権」がそれぞれ過半数の賛成によって、制定や変更等が可能になります。違反した場合には、管理規約同様、文書等による勧告をはじめ、使用等の禁止、違約金の徴収、居住者負担による原状回復などの是正措置が取られているようです。
中古の分譲マンションを購入する際、使用細則でチェックしておきたい項目をいくつか挙げておきましょう。
①専有部分に係る使用・居住
分譲マンションの多くは居住用として規定されています。事務所や店舗等、他の用途として使用できるか、規約または細則に定められていることが多いようです。例えば、住民以外の立ち入りをできる限り避けたいなら、居住用以外の用途を厳しく制限している使用細則を持つマンションを選ぶべきです。一方、事務所や店舗として使用したい場合には、それが許されているかどうかを確認しなくてはなりません。
②民泊対応
近年、マンショントラブルの上位に数えられるようになった民泊問題。宿泊客のエントランスの出入りをはじめ、夜間の騒音や振動、ゴミ出しと、ルールを守らない利用者が居住者の生活を脅かすように。そこで空き家の民泊活用を禁じたり、制限したりするなどのルールが規定されるようになりました。
③専有部分の修繕等
マンションにおいては、区分所有者の資産である専有部分も、勝手に改修できるわけではありません。階下への防音対策として、床材のフローリングに遮音等級レベルをなどの規定が設けられている場合があります。リフォームの制約につながるケースもありますから、購入と併せてリフォームを予定している方はチェックが大切です。またリフォームに際しては、事前に管理組合宛に申請等を行ったうえで、事前に告知すること、当日は共用部分の養生を行うなどのルールを設けているところも多いようです。
④窓ガラス等の改修
分譲マンションにおいて、窓やバルコニー扉、玄関ドアなどの開口部は「共用部分」扱いであり、自室であっても原則として所有者が改修できません。しかし築年の古いマンションなどでは、古いサッシを更新して断熱性や遮音性を高めたいと考える方も多くなっています。リフォームでサッシやガラスの更新可能にするところもあるようですが、各自が勝手に改修するとサッシのカラーがバラバラになり外観イメージに問題が生じる可能性があります。工事方法、素材、カラーなど、改修内容に制約がつけられることが多いようです。
⑤専用庭、バルコニー等
専用使用する部位ですが、一般的に権利関係としては共用部分になっているケースが多いので、使い方にルールのあるケースがあります。物置等の設置ができない、専用庭を畑として使用できない、ウッドデッキはしつらえられない(防犯上や美観の問題から)といった、制約があったりします。最近は、喫煙に関する法律や意識の変化から、共用部分やバルコニー等での喫煙を禁止している細則も出ています。
⑥駐車場・駐輪場の利用ルール
自転車やバイク、車の保管や利用方法について示されています。駐車場に空きが出た場合の申込み方法(先着順、抽選など)や、1住戸当たりの利用可能台数(自転車やバイク等)に制限があるなどの独自ルールもありますから、確認しましょう。
⑦ペットの飼育
マンションにおいて、トラブルになりがちなのがペットの飼育です。ペットを飼いたいなら、どのような種類を、どの程度まで飼育できるのかチェックしましょう。また、飼育が認められていても、動物に関してアレルギーも持つ方もいるなどの理由で、エレベーターの利用などについて制限があるケースもあるので要注意です。
マンション管理規約や使用細則は大勢の人びとが快適に暮らし、マンションの資産価値を維持・向上させるための順守すべき共通ルールです。世代も価値観も異なる全ての居住者が快適にトラブルなく暮らすためのルールとして機能しているものです。中古マンションの購入を検討される方は、管理規約や使用細則についてもチェックし、管理組合主導でスムーズなマンション自治が行われているのか、総会記録や会計報告書などと合わせて事前チェックするようにしましょう。