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マンション暮らしの“法律”、管理規約と使用細則を必ずチェック

マンションを購入する際に、絶対に知っておくべきこと(第4回)

公開日:2019年11月29日

この記事の概要

  • マンションと戸建てとの大きな違いに管理規約や使用細則の存在があります。マンション暮らしの“法律”といえるこれらをチェックしておくことが大切です。いつまでも快適なコミュニティ生活が送れるよう、ポイントを解説します。

マンション暮らしの“法律”、管理規約と使用細則を必ずチェック

前回、マンションと戸建ての違いとして、管理組合の存在とその役割を解説しました。今回は、「管理規約」と「使用細則」について説明します。マンションに住む区分所有者や賃借人は、意識や価値観の違いがあります。そうした多くの住民が合意形成や意思決定を行い、マンションの運営・管理を適正に行うために、ほとんどの分譲マンションで管理組合を設立していることは前回、説明した通りです。

それとの両輪として働くのが、マンションの運営・管理を適切に行うために定められている管理規約と使用細則です。マンションは集合住宅ですから、快適で円滑な生活を送るためには、一定のルールを守ることが必要です。そのため、快適な居住環境を目指し、トラブルを未然に防止する目的で管理規約を定め、さらにそれを補完するものとして、実態に即した具体的な住まい方のルールである使用細則を定めています。この二つはマンション暮らしで大切な“法律”といえます。

管理規約は通常、「建物の区分所有等に関する法律(以下:区分所有法)」にのっとり、国土交通省が定めた「マンション標準管理規約」を参考としてつくられます。すべてのマンションが同じというわけではなく、区分所有者などの意向を踏まえて調整されています。通常、管理規約の案をマンションデベロッパーや管理会社が作成し、区分所有者の承認を経て成立します。成立後、管理組合の総会によって内容の変更や廃止もできます。

管理規約で最低限チェックしたい項目はこれ!

管理規約は前述の通り、個々のマンションで異なっていますが、すべて自由に決められるわけではありません。区分所有法などの法律に違反したルールは無効になります。区分所有法どおりにしか定めることができないルールを「強行規定」と呼び、区分所有法上、規約で別に定めることができる事項を「任意規定」と呼びます。その他、区分所有法にとくに示されていない事項についても「制限のない事項」として自由に規定できます。

管理規約の規定

強行規定
  • 規約の制定、変更、廃止に関する決議要件
  • 管理組合法人の設立、解散決議
  • 建替え決議の要件など
規約で定めのできる事項
  • 管理組合の名称
  • 管理組合役員の人数、任期
  • 駐車場・集会室等の使用ルールなど

管理規約は、賃借人等を含めて全住人が遵守しなくてはならないルールです。また、内容が各マンションで違っています。中古マンション購入を検討されている方は、事前に閲覧させてもらい、そのマンションがどのようなルールで運営しているかをチェックしておきたいものです。

管理規約でチェックしておきたい項目例は、以下になります。

①共用部分と専有部分に関する規定

マンションの敷地や建物、付属設備等について、一般的な管理規約には、どこまでが専有部分で、どこからが共用部分が示されています。しかし、建物の共用配管から専有部分まで伸びている「引込み管」など、所有権があいまいな設備や部位があったりします。こうした区別が明確か、マンション独自の規定は適当か、チェックしておきましょう。

②管理費・修繕積立費等の金額や算出方法、用途等の規定

マンションの性能や資産価値を維持していくために、日常の維持管理はもちろん、定期的なメンテナンスや、長期修繕計画に基づいた大規模修繕が必要です。こうした費用の原資として、分譲マンションでは月ごとに管理費や修繕積立金を支払い、積み立てていくのが一般的です。金額の確認はもちろんですが、各戸の費用の算出方法や用途等についてチェックしておきましょう。なお、算出方法としては、専有面積に応じての負担だったり、各戸一律だったりとまちまちです。

③管理組合に関する規定

マンションの維持管理やコミュニティに関する活動の主体となるのが管理組合です。管理組合の活動内容や範囲、議決権の持分割合、決議の要件等、区分所有者の権利内容が示されていますからチェックが欠かせません。総会や会計についての規定や管理会社等への委託範囲等についても示されており、マンション運営上の基本ルールが読み取れるかと思います。また、管理組合の理事や理事長、さまざまな役員等の組織体系や人数、任期、選出方法等も示されているかと思います。将来選出される可能性もあるので、チェックしておきましょう。

④禁止事項

管理規約の「禁止事項」には、そのマンション内で「絶対してはいけないこと」「行為が限定される事項」等が示されています。日常生活に直結することばかりですから、必ず確認しておきましょう。禁止事項に関する細部の具体的な規定については「使用細則」に示されていることも多いので、それも併せて確認しましょう(次項で解説します)。

使用細則でより細かいルールをチェックしておく

管理規約で定められたルールやその内容等について、日常生活に直結したルールを詳細かつ具体的に示したものが使用細則です。

内容については、マンションごとに自由に定められますが、区分所有法や他の法律、管理規約に違反するような事項は無効になります。国交省の調査によると、分譲マンションの91.0%で使用細則(協定等含む)が定められており、項目としては、以下のようなものが挙げられます。

(表)マンション管理組合の使用細則(協定等含む)で定められている項目

専有部分に係る使用・居住 80.1%
民泊 50.8%
専有部分の修繕等 66.6%
駐車場 80.1%
自転車置場・バイク置場 70.4%
専用庭 23.2%
ベランダ・バルコニー 54.4%
集会室 36.1%
ゲストルーム・パーティールーム 8.4%
ペット飼育 72.1%
楽器演奏 32.1%
窓ガラス等の改良 26.9%

出典:国土交通省「平成30年度マンション総合調査」

使用細則は、原則として「区分所有者」と「議決権」がそれぞれ過半数の賛成によって、制定や変更等が可能になります。違反した場合には、管理規約同様、文書等による勧告をはじめ、使用等の禁止、違約金の徴収、居住者負担による原状回復などの是正措置が取られているようです。

中古の分譲マンションを購入する際、使用細則でチェックしておきたい項目をいくつか挙げておきましょう。

①専有部分に係る使用・居住

分譲マンションの多くは居住用として規定されています。事務所や店舗等、他の用途として使用できるか、規約または細則に定められていることが多いようです。例えば、住民以外の立ち入りをできる限り避けたいなら、居住用以外の用途を厳しく制限している使用細則を持つマンションを選ぶべきです。一方、事務所や店舗として使用したい場合には、それが許されているかどうかを確認しなくてはなりません。

②民泊対応

近年、マンショントラブルの上位に数えられるようになった民泊問題。宿泊客のエントランスの出入りをはじめ、夜間の騒音や振動、ゴミ出しと、ルールを守らない利用者が居住者の生活を脅かすように。そこで空き家の民泊活用を禁じたり、制限したりするなどのルールが規定されるようになりました。

③専有部分の修繕等

マンションにおいては、区分所有者の資産である専有部分も、勝手に改修できるわけではありません。階下への防音対策として、床材のフローリングに遮音等級レベルをなどの規定が設けられている場合があります。リフォームの制約につながるケースもありますから、購入と併せてリフォームを予定している方はチェックが大切です。またリフォームに際しては、事前に管理組合宛に申請等を行ったうえで、事前に告知すること、当日は共用部分の養生を行うなどのルールを設けているところも多いようです。

④窓ガラス等の改修

分譲マンションにおいて、窓やバルコニー扉、玄関ドアなどの開口部は「共用部分」扱いであり、自室であっても原則として所有者が改修できません。しかし築年の古いマンションなどでは、古いサッシを更新して断熱性や遮音性を高めたいと考える方も多くなっています。リフォームでサッシやガラスの更新可能にするところもあるようですが、各自が勝手に改修するとサッシのカラーがバラバラになり外観イメージに問題が生じる可能性があります。工事方法、素材、カラーなど、改修内容に制約がつけられることが多いようです。

⑤専用庭、バルコニー等

専用使用する部位ですが、一般的に権利関係としては共用部分になっているケースが多いので、使い方にルールのあるケースがあります。物置等の設置ができない、専用庭を畑として使用できない、ウッドデッキはしつらえられない(防犯上や美観の問題から)といった、制約があったりします。最近は、喫煙に関する法律や意識の変化から、共用部分やバルコニー等での喫煙を禁止している細則も出ています。

⑥駐車場・駐輪場の利用ルール

自転車やバイク、車の保管や利用方法について示されています。駐車場に空きが出た場合の申込み方法(先着順、抽選など)や、1住戸当たりの利用可能台数(自転車やバイク等)に制限があるなどの独自ルールもありますから、確認しましょう。

⑦ペットの飼育

マンションにおいて、トラブルになりがちなのがペットの飼育です。ペットを飼いたいなら、どのような種類を、どの程度まで飼育できるのかチェックしましょう。また、飼育が認められていても、動物に関してアレルギーも持つ方もいるなどの理由で、エレベーターの利用などについて制限があるケースもあるので要注意です。

マンション管理規約や使用細則は大勢の人びとが快適に暮らし、マンションの資産価値を維持・向上させるための順守すべき共通ルールです。世代も価値観も異なる全ての居住者が快適にトラブルなく暮らすためのルールとして機能しているものです。中古マンションの購入を検討される方は、管理規約や使用細則についてもチェックし、管理組合主導でスムーズなマンション自治が行われているのか、総会記録や会計報告書などと合わせて事前チェックするようにしましょう。

執筆

谷内 信彦 (たにうち・のぶひこ)

建築&不動産ライター。主に住宅を舞台に、暮らしや資産価値の向上をテーマとしている。近年は空き家活用や地域コミュニティにも領域を広げている。『中古住宅を宝の山に変える』『実家の片付け 活かし方』(共に日経BP社・共著)

※ 本コンテンツは、不動産購入および不動産売却をご検討頂く際の考え方の一例です。

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