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長期修繕計画と修繕積立金は絶対に確認する

マンションを購入する際に、絶対に知っておくべきこと(第2回)

公開日:2018年6月29日

この記事の概要

  •  基本的にRC造やSRC造であるマンションは、高耐久であり、長期にわたっての居住が可能です。しかしそのためには適切な維持管理を実施しなければなりません。そのためには長期修繕計画をつくり、実行のための費用を積み立てておく必要があります。万一、積立金が不足すれば、大切な財産であるマンションの価値を毀損してしまいます。

長期修繕計画と修繕積立金のイメージ画像

一般的に分譲マンションはオーナー(「区分所有者」と呼びます)が個別に所有権を持つ「専有部分」以外の全てを「共用部分」として取り扱い、全区分所有者で共有・管理します。基礎や構造部、屋根や壁、廊下や床下配管など、マンションのインフラのほとんどが共用部分です。

マンションの老朽化の進行を極力防ぎ、性能を維持するためには、経年劣化に対応した適時適切なメンテナンスと修繕工事が必要です。共用部分のメンテナンス頻度は部位によって異なり、数年〜数十年ごとに補修工事や取替工事を実施していく必要があります(下表)。

●中高層単棟型マンションの一般的な修繕カ所と周期

修繕カ所 周期例
建築 屋上防水補修 12年
バルコニー床防水修繕 12年
外壁コンクリート補修 12年
シーリング打替 12年
鉄部塗装(雨掛かり部分)塗替 4年
設備 給水ポンプ補修 8年
排水ポンプ補修 8年
エレベーター取替 30年
インターホン設備等取替 15年
自動火災報知設備取替 20年
電灯設備取替 15年

(国土交通省:長期修繕計画作成ガイドラインを参考に作成)

こうしたメンテナンスを適切に実施していくためには、長期修繕計画を作成し、それに基づいて費用を見積もっておく必要があります。その費用は、月々の管理費とは別に修繕積立金として区分所有者から徴収し、積み立てておくのが一般的です。

修繕積立金の額は適切かどうかを判断するには?

修繕積立金の積み立て方法には、長期修繕計画で計画された修繕工事費の累計額を、計画期間中均等に積み立てる方式(均等積立方式)のほかに、当初の積立額は低めに抑え段階的に積立額を値上げする方式(段階増額積立方式)もあります。また、購入時にまとまった額を徴収して修繕積立基金とする方式や、修繕時に一時金を徴収したり、金融機関から借り入れたりすることを前提とした積み立て方式を採用している場合もあります。

工事費が必要なとき、修繕時に一時金を徴収する方式であると、区分所有者の合意が形成できずに修繕積立金が不足することもあります。国土交通省の「マンションの修繕積立金に関するガイドライン」では、将来にわたって安定的な修繕積立金の積み立てを確保する観点からは、均等積立方式が望ましい方式とされています。

いずれの方式にしろ、マンションを購入する際の資金計画では、ローンの返済額と毎月の管理費以外に、修繕積立金の負担も考慮しておかなければなりません。当然、修繕積立金の額が安い方が、資金計画は楽になるのですが、適正な額よりも低ければ、将来、問題となります。必要な時に必要な修繕積立金が用意できなければ、メンテナンスに支障が出て、大切なマンションの価値が毀損してしまいます。

それでは適正な修繕積立金の水準をどう判断すればいいのでしょうか。国土交通省では、適正な修繕積立金の月額の目安をガイドラインとして示しています(下表)。単棟型の住居専用マンションを対象に、新築時から30年間に必要な修繕工事費の総額を均等に積み立てる方式(均等積立方式)による月額として示したものです。購入を検討している物件の専有面積を確認し、下表の㎡当たりの金額を掛け合わせ、販売条件で設定されている修繕積立金の額と比較できます。

●専有床面積当たりのマンションの修繕積立金目安(均等積立方式、㎡/月)

階数/延床面積※ 平均値 調査事例の3分の2が包含される幅
15階未満 5000㎡未満 218円 165~250円
5000~10000㎡ 202円 140~265円
10000㎡以上 178円 135~220円
20階以上 206円 170~245円

※15階~19階のマンションは、目安算定に用いる事例も十分でなかったため表示がない。ガイドラインには、15階~19階のマンションの目安として、『「15階未満」の目安と「20階以上」の目安との間に収まるものと考えられる』という注釈がある。
(国土交通省:マンションの修繕積立金に関するガイドライン 平成23年4月より作成)

国土交通省のガイドラインでは、「分譲事業者から提示された購入予定のマンションの修繕積立金の額が、この幅に収まっていないからといって、その水準が直ちに不適切であると判断されることになるわけではありません」と注意しています。ガイドラインの幅に納まっていない場合でも、長期修繕計画の内容、修繕積立金の設定の考え方、積立方法等についてチェックし、その妥当性を詳しく検証することが大切です。

修繕計画と積立金は見直しが必須、その実行も確認

マンションの大規模修繕は、分譲時点の計画で定めた時期が到来したら修繕を依頼するといった単純なものではありません。マンションそれぞれ必要な修繕の内容が異なり、劣化の状況や技術開発などによって修繕周期や費用など変わってきます。それに対応するには定期的に長期修繕計画を見直し、それに基づき修繕積立金を設定し直すことが必要です。

修繕工事の際には、建築の専門家に目視や検査などで現状性能を確認してもらった上で、必要な内容と費用の見積もりを依頼する必要があります。それらの工事内容や費用が妥当であるかを確認するためには複数事業者に依頼すべきです。こうした作業に区分所有者だけで取り組むことは難しいので建築の専門家の手を借りることになります。

ただし、そうした専門家に完全に任せることはできません。最終的には区分所有者で構成する理事会に諮ることになります。その際に工事の内容や費用に関して、合意形成に時間がかかって修繕実施時期が遅れるようなケースも考えられます。

マンション管理組合の総会議事録などに、こうした情報や経緯が示されています。合意形成がうまくいっているマンションは、良質の管理組合が形成されている、指導力を発揮できる管理委託会社がサポートしている、住人間のコミュニティも健全で良好であるなど、住環境が高いともいえます。こうしたこともチェックすることが、賢いマンション選びのポイントといえるでしょう。

執筆

谷内 信彦 (たにうち・のぶひこ)

建築&不動産ライター。主に住宅を舞台に、暮らしや資産価値の向上をテーマとしている。近年は空き家活用や地域コミュニティにも領域を広げている。『中古住宅を宝の山に変える』『実家の片付け 活かし方』(共に日経BP社・共著)

※ 本コンテンツは、不動産購入および不動産売却をご検討頂く際の考え方の一例です。

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