- 一般に別荘というと戸建形式の建物をイメージされる方が多いかと思いますが、マンションが多く供給されているリゾートエリアも見られます。同じ別荘であっても、戸建とマンションとでは暮らし方や使い方、管理面などに大きな差が見られます。ストックの違いによる別荘生活の特性について確認していきましょう。

「戸建別荘派」:自由度の高さこそ戸建別荘のなによりの魅力
別荘という、もうひとつの自宅を持つ意味は、ふだん都心で忙しさの中に身を置く私たちが心身をリセットする機会を、好きな時に手にできることといえないでしょうか。ただ、住宅の種別として戸建とマンションがあるように、別荘にも戸建とマンションが存在します。同じ別荘でも、土地と建物を1人で所有する戸建タイプと、共同で所有・管理するマンションタイプとでは、過ごし方や享受できるベネフィットも大きく違っていきます。
日常の喧噪を忘れ、近隣の目を気にせずに過ごせるプライベート空間を得たいのであれば、戸建タイプの別荘が向いています。広い敷地は大自然の借景と相まって十分なプライバシーが確保でき、自分たちだけの世界をいかようにもつくれます。敷地内に木を多く残して森の一部として自然を身近に感じることも、広い芝生のドッグラン空間として愛犬をのびのびと走り回らせることも思いのまま。建物との境に広いウッドデッキをしつらえ、屋外バーベキューなども可能で、ご家族はもちろん、ご親戚やご友人との楽しみも広がります。
吹き抜けの高い天井など、機能的な都心の住宅では味わいにくい「空間の広さ」を感じられるのも、戸建別荘のよさ。ログハウスを所有する筆者の知人夫妻はリビングをオーディオルームとして活用、時間をつくっては頻繁に通っています。なんでも、建物を構成する木が共鳴して音が柔らかくなるのだとか。DIYで大型の壁面収納をしつらえ、コレクションのLPレコードを収納し、「手作りなので棚が多少斜めだけど、それも味わい」とご満悦です。お気に入りの薪(まき)ストーブの炎を眺めつつ、ゆったりと過ぎる時間は、なによりの贅沢といいます。
広い敷地をどう使うか。そして開放的な建物をどうカスタマイズしていくか。日頃、暮らす都心とは違ったスケール感でプライバシーと自由を手に入れられるのが、戸建別荘の魅力でしょう。
(表1)戸建タイプの別荘
| こんな方にお薦め |
- ・都心にない自然を満喫したい
- ・周囲や他人の目を気にせず気兼ねなく過ごしたい
- ・DIYやリフォームなどを楽しみたい(カスタマイズの自由)
|
| 検討のポイント |
- ・クルマで移動することを前提としたアクセス性を考慮
- ・維持や管理の手間も検討(自主管理、外注)
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*筆者作成
「マンション別荘派」:利便性と効率性が際立つリゾートマンション
到着して部屋に荷物を置いたら、すぐさまアウトドアに、室内プールにと、思い思いのアクティビティに没入できる。カギひとつで管理できるマンションタイプの別荘は、行動型のご家族におすすめの別荘の形態といえます。あるいは短期滞在でも多くの体験を満喫したい“効率重視派”にもうってつけのストックです。
大浴場(温泉も多い)やサウナ、プール、フィットネスジム、BBQガーデン、シアタールームなど、さまざまな共用施設が用意されたマンションもあります。窓からの景色は、普段過ごす都心とは、また違った感覚をもたらせてくれます。
このように、マンションタイプは共用施設や包括的な管理体制などによる高い利便性が売りといえます。久々の別荘訪問となると、通常はまず清掃や設備点検が必要になりますが、マンションタイプであればそうした事前の手間がほとんどありません。共用施設にゲストルームがあれば、専有住戸が多少コンパクトでもご親戚やご友人と一緒に宿泊できます。
また、リゾートマンションは交通アクセスのよいエリアに建てられることが多いもの。戸建の別荘がどうしてもクルマ主体になりがちなところ、マンションタイプなら鉄道でも比較的行きやすい場所が多く、アクセスのしやすさから忙しくても頻繁に通いやすくなります。
利便性と効率性、これらが際立つのがマンションタイプの別荘です。
(表2)マンションタイプの別荘
| こんな方にお薦め |
- ・鉄道でも気軽に移動できる、交通アクセスに優れたエリアを希望
- ・管理や掃除などの手間を最小化し、ホテルライクに利用したい
- ・大浴場、プールなど、共用施設を楽しみたい
- ・セキュリティや防犯性を重視したい
|
| 検討のポイント |
- ・戸建別荘よりコンパクトな物件が多く、利用人数を想定した広さを検討
- ・自分たちの求めるサービスと管理費が折り合うか確認
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*筆者作成
ご自身の過ごし方と志向に合ったチョイスを
最後に、首都圏近郊リゾートの別荘の傾向をご紹介しておきましょう。
(表3)首都圏近郊の主なリゾートエリアにおける別荘の傾向
| タイプ |
エリア |
住戸の傾向 |
備考 |
| 海型 |
熱海 |
マンション中心 |
温泉付きマンションが多い 伊豆寄りになると戸建別荘も増加 |
| 逗子・葉山 |
戸建中心 |
ハイグレードな戸建別荘が多い 海沿いにはリゾートマンションも |
| 外房 |
戸建中心 |
地域柄、平屋の別荘も多い 海沿いにはリゾートマンションも |
| 山・高原型 |
軽井沢 |
戸建中心 |
地場材を使った高級タイプの戸建別荘はステータス性に富む |
| 那須高原 |
戸建中心 |
広大な敷地を背景に、ログハウスも多く立つ |
| 箱根 |
両方が混在 |
戸建別荘が一定数ある中、温泉地付近などではマンションも多く見られる |
| 富士五湖 |
両方が混在 |
河口湖・山中湖付近にはリゾートマンションも多い |
*筆者作成
リモートワークの普及や、ワークライフバランスの意識向上などを背景に、昨今ご自宅の生活環境を高めたいと考える方が増えています。二地域居住等を既に行っている、あるいは今後、二地域居住等を行いたいと考える関心層は、2022年の調査で3割近くに及ぶとのことです(27.9%。国土交通省「二地域居住に関するアンケート」)が、現在はもっと関心が高まっているようにも思います。
このように、今や別荘は単なる休暇を過ごす場としてだけでなく、仕事も含めた暮らし全体をより高品位なものにするための拠点と位置づけられるでしょう。とはいえ、ここまでご紹介してきたように、別荘といっても戸建とマンションとでは、使い方や志向がかなり異なります。
ご自身やご家族の志向に応じたタイプの別荘をチョイスすることが、第二の自宅という住機能の拡張となって、皆さまの暮らしの質をいっそう広げてくれるかと思います。
建築・不動産ライター / 編集者。主に住宅を中心に、事業者や住まい手に向けて暮らしや住宅性能、資産価値の向上を主テーマとして執筆活動を展開している。近年は空き家活用や地域コミュニティーにも領域を広げる。著書に『中古住宅を宝の山に変える』『実家の片づけ 活かし方』(共に日経BP・共著)。
※本コンテンツは、不動産購入および不動産売却をご検討頂く際の考え方の一例です。
※2026年4月27日本編公開時の情報に基づき作成しております。情報更新により本編の内容が変更となる場合がございます。