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2025年の中小オフィスビル売買取引動向New

みずほ不動産販売 不動産市況レポート

この記事の概要

  • 中小オフィスビル売買は堅調に推移
  • 一般事業法人等による売却件数が大きく増加。
    特に賃貸不動産の売却が顕著で、背景には資本効率の向上に対する機運の高まりなどがあるとみられる。
  • 一般事業法人等による賃貸不動産売却の受け皿として、また、開発用地としての積極的な取得から、不動産・建設セクターによる取得件数の増加が顕著に。

2025年の中小オフィスビル売買取引動向

中小オフィスビル売買は堅調に推移

都市未来総合研究所「不動産売買実態調査」※1によると、2025年に公表された中小オフィスビル※2の売買取引件数※3は344件(前年比+2.1%)で、2年連続して増加した[図表1]。コロナ禍の影響で2020~2023年は売買取引が停滞していたものの、2024年に回復に転じ、足元の中小オフィスビルの売買取引は堅調に推移していると言える。

[図表1]中小オフィスビルの売買取引件数

※1:「不動産売買実態調査」は、「上場有価証券の発行者の会社情報の適時開示等に関する規則(適時開示規則)」に基づき東京証券取引所に開示される固定資産の譲渡または取得などに関する情報や、新聞などに公表された情報から、上場企業等が譲渡・取得した土地・建物の売主や買主、所在地、面積、売却額、譲渡損益、売却理由などについてデータ(概数の事例も含む)を集計・分析したもの。情報開示後の追加・変更等に基づいて既存データの更新を適宜行っており、過日または後日の公表値と相違する場合がある。

※2:本稿における「不動産売買実態調査」を用いた分析では、建物延床面積が3,000坪未満のオフィスビルを中小オフィスビルと定義している。なお、採録情報の関係上、売買取引件数の集計に際して、区分所有権等での取引は除き、1棟単位の取引を対象としている。また、中小オフィスビル以外も含む可能性を考慮して複数物件一括取引として採録しているものを除いている。

※3:「不動産売買実態調査」では取引価格公表・判明分と取引価格非公表・不明分双方の取引事例を採録しており、取引価格公表・判明分を用いて集計・分析することが多いが、中小オフィスビルでは取引価格非公表・不明の取引が多いことから、本稿では両者を合算させた取引件数を用いて分析している。

一般事業法人等による賃貸不動産の売却が急増

売主の業種セクター別に売却件数を集計すると、最多の不動産・建設セクターは近年安定的に推移している。次点の一般事業法人等は3年連続で増加して2025年は104件に及び、4年ぶりに100件を超えた[図表2]。一般事業法人等が売却した物件を利用用途別に集計すると、2024年以降賃貸不動産が急増している[図表3]。上場企業やそのグループ会社においては、東京証券取引所が2023年に「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応について」を公表したことを契機に、資本効率を向上させるために中核事業と関係のない賃貸不動産を売却して資産圧縮を図ったり、成長投資資金の原資としたりする機運が高まっていることが背景にあるとみられる[図表4]。

[図表2]売主の業種セクター別売却件数 [図表3]一般事業法人等が売却した物件の利用用途

[図表4]一般事業法人等が資本効率向上を企図して賃貸不動産を売却した主な事例

不動産・建設セクターによる取得増が顕著に

買主の業種セクター別では、不動産・建設セクターが184件で、3年連続増加した[図表5]。前述の一般事業法人等による賃貸不動産の売却先として機能している面がある。また、オフィスビルや賃貸マンション、ホテルなどへの建て替えを目的に、開発用地として物件を取得した事例が目立った。さらに、不動産再生事業の一環として物件取得後にリニューアルを行った上で投資家に販売することを計画している事例も目立った。

[図表5]買主の業種セクター別取得件数

中型ビルおよび小型ビルの平均空室率の動向

[図表6]は東京都心5区※4と大阪市、名古屋市における中型ビルと小型ビル※5の平均空室率の推移を示したものである。東京都心5区は中型ビル、小型ビルともにコロナ禍で大きく上昇したものの、その後は低下基調で推移し、直近では3%台の水準となっている。
大阪市と名古屋市は様相が異なる。中型ビルについては、コロナ禍で上昇したものの、東京都心5区ほど大幅なものではなく、足元では緩やかな低下が続いている。小型ビルについては、中型ビルと同様にコロナ禍で上昇がみられたものの微小に留まり、その後低下に転じたが、足元では大阪市はコロナ禍直前とほぼ同じ水準で、名古屋市はそれを下回る水準で概ね横ばいで推移している。

※4:千代田区と中央区、港区、新宿区、渋谷区

※5:中型ビルは基準階面積が50坪以上100坪未満、小型ビルは同20坪以上50坪未満の賃貸オフィスビルをいう。なお、「不動産売買実態調査」を用いて物件の売買に関するデータを集計した図表1~5とは定義が異なる。

[図表6]中型ビルおよび小型ビルの平均空室率

発    行:みずほ不動産販売株式会社 営業統括部

〒103–0027 東京都中央区日本橋1–3–13 東京建物日本橋ビル

レポート作成協力:株式会社都市未来総合研究所 研究部

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