資産価値の下落しにくい住戸があるって本当?New

中古住宅トピックス

この記事の概要

  • 良好なロケーションや高い生活利便性を有するマンションは昨今、安定した購入需要が見込め、売却の際も比較的高額かつスピーディな取引が期待できる不動産資産といえます。そうした人気の分譲マンションの中でも、ひときわ高額で取引される住戸を見かけたりします。年を経ても資産価値を維持し続ける住戸の持つ要件を確認してみましょう。

資産価値の下落しにくい住戸があるって本当?

年を経ても、資産価値を維持し続ける傾向のある住戸の要件って?

1つのマンションにおいて、同じ広さ・間取りであっても方角や階数などによって分譲価格が異なるのが一般的です。日照や眺望を例に取ると、南向きの住戸は北向きより、高層階は低層階より価格が高く設定される傾向にありますが、これはその住戸の配置環境を多くの人々が価値として認めているためです。

こうした強みは、将来、中古住宅として売買される際も有利に働きます。マンション・戸建てを問わず、一般に中古住宅の物件価格は経年とともに緩やかに下落していくものですが、他の住戸にない強みを有する物件ほど資産価値を維持する方向に働きます。

そういった住戸に共通する要件について、いくつか見ていきましょう。

【分譲マンションの専有面積による優位性】首都圏で100㎡以上の住戸は全戸のわずか1.5%程度

専有面積60〜70㎡台程度の住戸はファミリータイプと呼ばれ、分譲マンションのボリュームゾーンを形成しています。一方、80㎡以上の住戸は供給量が少なく、これがほかの住戸との差別化につながっていきます。とくに100㎡以上の住戸については、首都圏においてエリア全戸のわずか1.5%となっており、これが資産価値の維持に寄与します。

(表1)2024年度 新築分譲マンションの専有面積別供給シェア

首都圏 近畿圏 中京圏
100㎡以上 1.5% 2.9% 4.6%
80~90㎡台 9.2% 12.6% 13.0%
70㎡台 37.5% 34.1% 25.3%
60㎡台 27.7% 27.2% 14.5%
50㎡台 11.7% 9.5% 14.2%
40㎡台 5.5% 3.6% 5.7%
30㎡台 6.7% 1.9% 9.5%
20㎡台 0.4% 8.2% 13.1%
20㎡未満 0.0% 0.1% 0.0%

出典:(一社)不動産協会「マンション供給動向調査」を基に筆者作成 *同協会の会員企業の実績値であることに留意

ちなみに、近年は用地の取得費や建設コストが高騰しており、マンション価格を抑えるために専有面積をコンパクトにする傾向が都市部を中心に見られます。首都圏で見ると、2002年から2022年の20年間で平均分譲価格は約1.5倍に上昇したにもかかわらず、専有面積は12㎡近くも減少しています(表2)。こうした傾向は当面続きそうですから、広い専有面積であることは今後も強いアドバンテージとなり得ます。

(表2)首都圏新築分譲マンションの平均分譲価格・平均専有面積推移

2002年 2012年 2022年
1戸当り平均分譲価格 4003万円 4540万円 6288万円
1戸当り平均専有面積 78.04㎡ 70.43㎡ 66.12㎡

出典:(株)不動産経済研究所「全国マンション市場・50年史(1973〜2022)」を基に筆者作成

【住戸配置】独自性のある住戸はステータスとしても働く

最上階のペントハウス、ワンフロアに1戸の配置、メゾネットタイプなど、独立性や独自性のある住戸は1つのマンションにそう多くなく、価値の目減りしにくい住戸の代表格といえます。ラウンジやフィットネスルーム、ゲストルームなど、充実した共用施設を持つハイクラスマンションも都心の人気エリアなどに存在します。

こうした住戸は自己居住・投資両面から富裕層や海外からの需要が高く、資産価値を維持し続ける傾向にあります。プライバシー面や静粛性などによる居住快適性に加えて、高いステータス性も有していますから、所有者や居住者にとっての深い満足感にもつながっていくことでしょう。

【日照・眺望】高層階が有利だが、将来の変化リスクに注意

住戸の「方角」は日照時間を左右し、物件の人気や取引価格に大きな影響を与えます。眺望も、生活利便性と直接リンクするわけではないにもかかわらず、開放感や充足感などとなってその住戸の価値を左右していきます。

一般的に低層階よりも高層階の方が物件価格が高額なのは、こうした外部への“抜け”の良さにあります。また、2方向以上の開口部を取れる角住戸は比較的戸数が少なく、プライバシー性と相まって内側の住戸より有利にはたらく傾向にあります。ただ日照や眺望は、将来近隣に新たなビルやマンションが建つことで優位性が失われる可能性もあります。それらが将来にわたって保持可能か、購入時は周辺の開発計画などの確認も大切です。

【設備・仕様等】劣化していくため絶対的な価値にはなりにくい?

分譲時、他の住戸よりキッチンの設備など、基本スペックをグレードアップさせた住戸を販売するケースがあります。こうした仕様の住戸は一定の評価が得られるものの、設備や内装は経年により劣化していくもののため、絶対的な価値として機能しない恐れもあります。ただ、眺望が自慢の「ビューバス」(大きな窓から景色を楽しめる浴室)など、リフォームでもつくりだしにくいレイアウトや仕様は、角住戸同様、優位性が望めます。

マンションの人気だけでなく、住戸単独の競争力も確認しよう

都市部のマンションは中古でも高額な買い物であるだけに、ともすれば私たちは価格の安さに目が行きがちです。しかしマンションは木造住宅と比較して、長期間居住可能な堅牢なストックであり、永住を前提に購入したとしてもやがて相続の機会が訪れます。そもそも日本の住まい方が、一軒の家に住まい続けるのでなく、年齢や家族構成等のライフステージ等に応じて住み替えることが一般的になりつつあります。他の住戸より少々高額であっても、その物件に需要があれば将来の売却価格が下がりにくく、またスピーディーな売却が期待できます。

たとえ自己居住用であっても、住まいはこうした資産性を考えて検討していくことが何より大切です。単体の住戸としての強みを持っているかについても留意して選ぶことが、資産防衛力の強化につながっていくはずです。

執筆

谷内 信彦(たにうち・のぶひこ)

建築・不動産ライター / 編集者。主に住宅を中心に、事業者や住まい手に向けて暮らしや住宅性能、資産価値の向上を主テーマとして執筆活動を展開している。近年は空き家活用や地域コミュニティーにも領域を広げる。著書に『中古住宅を宝の山に変える』『実家の片付け 活かし方』(共に日経BP・共著)。

※本コンテンツは、不動産購入および不動産売却をご検討頂く際の考え方の一例です。

※2026年1月28日本編公開時の情報に基づき作成しております。情報更新により本編の内容が変更となる場合がございます。