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この記事の概要
2025年の地価動向は、全国的には上昇基調を維持しつつも、名古屋圏や地方四市(札幌・仙台・広島・福岡)で上昇率の鈍化が見られるなど様相は変化している。これまで牽引役だったエリアの一部で一服感が見られる一方、地方圏(その他)の住宅地で29年ぶりに下落から横ばいに転じるなど、全国的に地価上昇の裾野が広がった[図表1]。
用途別では、全国、圏域別ともに地価上昇を商業地と工業地が牽引している[図表1]。商業地は、都市中枢の再開発進展とインバウンド需要の増加を背景に、店舗・ホテル需要が賃料を押し上げている。オフィスは需給がタイトになる中、空室率の低下と賃料水準の上昇による収益性の向上が地価を底支えしていると考えられる。工業地は、好調なeコマース市場による大型物流施設用地等に対する需要を背景として、高速道路等へのアクセスが良好で労働力も確保しやすいエリアでは、引き続き高い上昇を示している。なお、大手半導体メーカーの工場が進出した地域では、関連企業も含めた従業員向けの住宅需要のほか、関連企業の工場用地や事務所・ホテル・店舗の需要も旺盛となっており、地価上昇は周辺にも波及している。
住宅地では、都市部の利便性や住環境に優れた地域でのマンション需要が引き続き旺盛となっているが、建築コストの高騰による価格転嫁が難しくなっている地域では上昇に一服感がみられた[図表1]。都心部と比較して割安感のある郊外部や周辺部では、生活利便性の劣る地域で地価の下落が続いている一方、子育て支援が手厚かったり、生活利便性が高い都市や地域で顕著な上昇がみられるなど、地方都市のなかでも地価の二極化が進行している。
地価公示との共通地点における半年ごとの地価動向では、住宅地では2025年前半よりも後半で上昇率が鈍化している圏域が多くみられ、特に名古屋圏や地方四市では顕著な鈍化となった。商業地は大都市圏や地方四市で上昇率が鈍化、地方圏と地方圏その他では後半の上昇率が高くなった。地価上昇の伸びしろが大きい地方都市に地価上昇が波及する一方で、価格水準の高い都市では、上昇の余地が狭まってきている可能性が考えられる[図表2]。
各都道府県の県庁所在地の対前年変動率は、ほとんどの都市で上昇しており、地価回復が全国主要都市に広がっている[図表3]。東京23区や大阪市、福岡市といった地価が高い大都市圏や地方中核都市で大幅に上昇している。また、相対的に地価が低い都市においても、僅かな価格変動で変動率が大きくなる面はあるものの前年変動率が+5%超となる都市がみられた。
2025年の東京圏住宅地地価変動率上昇ランキングの上位は、新宿区や渋谷区、港区など都心の中枢エリアと、千葉県流山市の地点で占められた。都心では大規模再開発や地域のブランドへの高い評価に加え、富裕層・国内外投資家の取得需要が重なり、地価の高い地点でも顕著な上昇が持続している。一方、流山市はつくばエクスプレスによる都心アクセスの良さや都心と比べて安価な住宅価格、自治体の充実した子育て支援策を背景に、子育て世帯の転入が続いており、自治体の誘致施策と民間供給の拡張が相まって住宅取得ニーズを受け止めていることが地価の顕著な上昇につながっているとみられる[図表4]。
発 行:みずほ不動産販売株式会社 営業統括部
〒103–0027 東京都中央区日本橋1–3–13 東京建物日本橋ビル
レポート作成協力:株式会社都市未来総合研究所 研究部
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※2025年11月26日本編公開時の情報に基づき作成しております。情報更新により本編の内容が変更となる場合がございます。
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