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みずほ不動産販売 不動産市況レポート

2025年の路線価の動向

この記事の概要

  • 2025年の路線価は全国平均値で前年比+2.7%となり4年連続で上昇
  • 都道府県別の平均値は、上昇が前年の29から35に増加し、下落は16から12に減少
  • 各地域の税務署管内における最高路線価の変動率分布をみると、インバウンド需要や再開発が進む大都市圏などで、高い上昇率の地点が多く、過疎地域の多くで下落地点が多い。

2025年は全国平均値で対前年比+2.7%と上昇し、上昇幅も前年(同+2.3%)より拡大

2025年の路線価の全国平均値※1は、前年比+2.7%と上昇した[図表1]。コロナ禍により2021年にはマイナスに転じたものの、2022年以降は4年連続して同プラスの伸びとなり、上昇幅も拡大が続いている。

  • ※1:路線価の全国または都道府県別の平均値とは、全国または各都道府県における標準宅地の評価基準額の平均値のこと。標準宅地とは、全国の民有地を対象にして主要な街路に隣接する宅地の中から、地積や形状等が標準的であるとして選定された宅地のこと。2025年の路線価では全国の標準宅地は約31万3千地点(継続地点)

[図表1]路線価の全国平均値(標準宅地の評価基準額の対前年比変動率)の推移

データ出所:国税庁「標準宅地の評価基準額の対前年比変動率の平均値」

都道府県別で平均値が上昇したのは前年の29から35に増加、下落は16から12に減少

都道府県別にみた2025年の対前年変動率は、東京、沖縄、福岡、宮城、神奈川、大阪、千葉、京都、佐賀および愛知が上位10都府県で、再開発が進む大都市圏やインバウンド需要が旺盛な地域が中心である。一方、下落したのは12県で、前年の16から減少した[図表2]。

[図表2]都道府県別にみた平均値(標準宅地の評価基準額の対前年変動率の平均値)

データ出所:国税庁「標準宅地の評価基準額の対前年比変動率の平均値」

各都道府県の税務署管内における最高路線価の対前年変動率の分布状況は二極化が顕著

各都道府県の税務署管内における最高路線価の対前年変動率の分布状況では、千葉、東京、神奈川、愛知、京都、大阪および沖縄の7都府県において、10%以上の上昇となった地点の割合が30%以上であった。一方、人口減少などから、岩手、長野、石川、奈良、和歌山、鳥取、島根、徳島および愛媛の9県は、下落地点の割合が40%以上で、うち鳥取、徳島、愛媛の3県では60%以上が下落地点であった。上昇地点が多い大都市圏と、下落地点の割合が高い地方とで二極化している[図表3]。

[図表3]各都道府県の税務署管内における最高路線価の対前年変動率の分布(2025年) 注)10%以上の上昇となった地点割合が30%以上、下落した地点割合が40%以上の都道府県に網掛け

データ出所:各国税局「令和7年分管内各税務署の最高路線価」

都道府県別にみた路線価の変動率と相続税の課税割合

都道府県別に、直近5年間(2000~2025年)における路線価(標準宅地の評価基準額の平均値)の変動率と、直近(2023年)の相続税の課税割合※2を比較した。相続税の課税割合が突出して高い東京は、路線価の変動率の上昇幅も高く、愛知や神奈川、千葉、大阪、京都など、相対的に課税割合の高い府県でも路線価の変動率の上昇が高めであった。一方、福岡、沖縄、宮城および北海道は、路線価の変動率の上昇幅は東京を上回ったものの、相続税の課税割合は現時点では低水準である。

路線価は、各年1月1日から12月31日までの間に相続や贈与などにより取得した財産に係る相続税などの評価に適用されるため、上昇により土地の評価額が上がれば、相続税などの負担が増えることが予想される。今後も最新の路線価動向に十分な注意が必要だ。

  • ※2:課税割合は、課税対象被相続人数の死亡者数に占める割合。非公表の県は、厚生労働省「人口動態統計」の死亡者数と各国税局が公表する統計情報から算出

[図表4]都道府県別にみた路線価の変動率と相続税の課税割合

データ出所:国税庁「標準宅地の評価基準額の対前年比変動率の平均値」
各国税局「相続税の申告事績の概要」
厚生労働省「人口動態統計」

発    行:みずほ不動産販売株式会社 営業統括部

〒103–0027 東京都中央区日本橋1–3–13 東京建物日本橋ビル

レポート作成協力:株式会社都市未来総合研究所 研究部

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