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「地価LOOKレポート」にみる三大都市圏等の地価動向New

みずほ不動産販売 不動産市況レポート

この記事の概要

  • 2025年第1四半期(2025年1月1日~4月1日)は、5期連続で全地区が上昇となった。
  • 住宅地では、マンション需要に引き続き堅調さが認められ、12期連続で全22地区が上昇した。
  • 商業地では、店舗・ホテル需要が堅調に推移したことなどから、5期連続で全58地区が上昇した。

2025年第1四半期も住宅地・商業地の全地区で地価が上昇

2025年第1四半期(2025年1月1日~4月1日。以下、当期という。)の地価LOOKレポート※1によると、東京圏では2024年第1四半期から5期連続で全35地区が上昇となった[図表1上]。上昇地区のうち、外国人観光客の活発な消費で百貨店や商業施設の売上が好調な中央区銀座中央、若年世代や外国人観光客が多く訪れる歓楽街の新宿区歌舞伎町、外資系グローバル企業の先端研究拠点の開設が予定されている横浜市みなとみらいでは前期から引き続き上昇区分が3~6%であった。池袋駅周辺で再開発事業が進行中の豊島区池袋東口は前期3~6%上昇であったが、当期は0~3%上昇に区分を落とした。

大阪圏では2022年第4四半期から10期連続で全19地区の上昇が継続しており、なかでも京都駅烏丸口周辺の高度商業地域である京都市京都駅周辺は観光客の集散拠点となっており店舗の出店意欲が強くみられることから3~6%の上昇区分にある[図表1中央]。名古屋圏も2021年第4四半期から14期連続で全8地区の上昇が継続した[図表1下]。

地方圏(地方中心都市等)は2023年第2四半期から8期連続で全18地区の上昇が継続した。上昇地区のうち、九州屈指の商業・オフィスビル集積地である天神エリアや博多エリアへのアクセスが良好で、福岡市内でも有数の優良マンション供給エリアに位置付けられる大濠は上昇区分は前期から引き続き3~6%で、地方圏及び住宅地で唯一の3~6%の上昇区分となった。

  • ※1:先行的な地価動向を明らかにするため、主要都市の高度利用地等を対象に国土交通省が四半期毎に公表する地価動向。対象地区は2022年第1四半期から東京圏35地区、大阪圏19地区、名古屋圏8地区、地方圏18地区の計80地区
    東京圏は埼玉県、千葉県、東京都及び神奈川県。大阪圏は京都府、大阪府及び兵庫県。名古屋圏は愛知県。地方圏は札幌市、仙台市、郡山市、長野市、新潟市、金沢市、静岡市、岡山市、広島市、高松市、福岡市、熊本市、那覇市

[図表1]三大都市圏の地価動向(上昇・横ばい・下落地区数の割合の推移)

データ出所:国土交通省「主要都市の高度利用地地価動向報告 ~地価LOOKレポート~」

地方圏を含めた調査対象の住宅地※2は、2022年第2四半期から12期連続で全地区が上昇した[図表2左]。利便性や住環境に優れた地区におけるマンション需要に引き続き堅調さが認められたことが住宅地の上昇継続の要因とされる。商業地※2は、2024年第1四半期から5期連続で全地区において上昇となった[図表2右]。再開発事業の進展や国内外からの観光客が増加したことなどもあり、店舗・ホテル需要が堅調であったこと、またオフィス需要も底堅く推移したことが要因とされる。

  • ※2:住宅地(住宅系地区)とは高層住宅等により高度利用されている地区、商業地(商業系地区)とは店舗、事務所等が高度に集積している地区

[図表2]調査対象全地区の住宅地/商業地の地価動向(上昇・横ばい・下落地区数の割合)

データ出所:国土交通省「主要都市の高度利用地地価動向報告 ~地価LOOKレポート~」

インバウンドが宿泊需要増加を下支え

宿泊需要の増加によりホテルの新規開発等が堅調であることが、商業地における地価上昇の押し上げ要因のひとつとなっている。

観光庁「宿泊旅行統計調査」によると、2024年の延べ宿泊者数は6.5億人泊(前年比+5.3%)で、日本人が4.9億人泊(前年比-2.6%)で全体の74.8%を、外国人が1.6億人泊(前年比+38.9%)で全体の25.2%を占めた。2014年と2024年の延べ宿泊者数の増減率を年平均に換算※3すると、日本人は年率+1.4%で小幅増に留まるのに対して、外国人は年率+26.5%で急増しており、日本人の宿泊需要が力強さを欠くなか、円安や相対的に安い物価を背景に好調なインバウンドが宿泊需要の総量を下支えする構図となっている。

  • ※3:(2024年の延べ宿泊者数/2014年の延べ宿泊者数-1)/10で年平均を算出した。

[図表3]日本人・外国人延べ宿泊者数および延べ宿泊者数に占める外国人延べ宿泊者数の割合

データ出所:観光庁「宿泊旅行統計調査」

発    行:みずほ不動産販売株式会社 営業統括部

〒103–0027 東京都中央区日本橋1–3–13 東京建物日本橋ビル

レポート作成協力:株式会社都市未来総合研究所 研究部

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