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この記事の概要
2024年の都道府県地価調査によると、地価は三大都市圏を中心に全体的に上昇傾向が続いた。特に東京都23区で商業地が5.1%→9.7%と大幅な上昇となるなど、インバウンド需要回復の恩恵を強く受ける都市部商業地を中心に地価の上昇が顕著となった[図表1]。大都市圏では歴史的な円安を背景として、国際的に割安感のある日本の不動産市場への海外からの投資マネーが商業地を中心に流入したことに加え、コロナ収束と円安により訪日観光客が急増し、ホテルや商業施設への需要が高まるなどしたことが要因として挙げられる。地方圏全体では住宅地は0.1%→0.1%と昨年に引き続き上昇、商業地は0.5%→0.9%と上昇率が拡大した。一方、地方中核都市である地方四市(札幌市、仙台市、広島市、福岡市)は住宅地7.5%→5.6%、商業地9.0%→8.7%と上昇率は縮小したものの全国平均を大きく上回る上昇率を維持している[図表1]。一方で都心部から地価上昇が波及していた都心周辺部や周辺地域では地価上昇に伴う割安感の低下により上昇率が鈍化した地点もみられる。名古屋圏や地方四市の住宅地では2024年後半で上昇率の鈍化がみられ[図表2]、地方四市では周辺市町に波及していた上昇幅が大幅に縮小した地域もみられた[図表4]。県庁所在地における住宅地の地価は、再開発やインバウンド需要の恩恵を受けた都市を中心にすべての県庁所在地で横ばいもしくは上昇となった[図表3]。
住宅地では、全国的には住宅需要は堅調に推移しており、低金利環境の継続や共働き世帯の増加、職住近接志向の高まりなどによる主に都市部でのマンション需要が地価上昇を後押ししている。地方圏では大手半導体メーカーの工場進出で従業員向けの住宅需要が高まり、地価が大きく上昇している地域がみられる一方、能登半島地震の被災地では大幅な下落となった。商業地は、主要都市における店舗やホテルの需要が堅調で、オフィスも空室率低下や賃料上昇によって収益性が向上していることに加え、強いマンション需要との競合から地価の上昇が続いた。また、訪日外国人の回復に伴い観光地では地価上昇が顕著となった。工業地はeコマース市場の拡大や企業の設備投資増加による物流施設の需要増大などを背景に地価上昇が続き、全国平均が2.6%→3.4%、地方圏でも1.9%→2.4%の上昇となった[図表1]。特に三大都市圏や地方中核都市などの空港や港湾、高速道路などへのアクセスが良好な工業地では、引き続き高い上昇が見られる。
[図表1]圏域別・用途別の地価変動率
データ出所:国土交通省「都道府県地価調査」
[図表2]半年ごとの地価変動率の推移(地価公示、都道府県地価調査の共通調査地点)
※地価公示(毎年1月1日時点実施)との共通地点(1,576地点。うち住宅地1,078地点、商業地498地点。)での集計 前半(7月~1月)は1月1日時点、後半(1月~7月)は7月1日時点
[図表3]県庁所在地における住宅地の平均価格
近年、都心部の地価の上昇に伴って、地価の上昇が周辺地域に波及する傾向があったが、地価が上昇したことにより、都心部に対する相対的な割安感が低下し上昇率が鈍化した地域が生じた。
地方四市の住宅地の地価は高い上昇率が続いたことで、周辺の相対的に地価が低廉な市町に不動産需要が波及し、地方四市以上の地価上昇率を示していたが、急激な上昇の反動で割安感が低下、大幅な鈍化がみられた。特に急激に地価が上昇していた札幌市周辺都市では上昇率が大幅に低下する結果となった。周辺都市から更に割安感のある地域に不動産需要が波及していく可能性がある。
[図表4]地方四市と周辺都市の住宅地の地価変動率
発 行:みずほ不動産販売株式会社 営業統括部
〒103–0027 東京都中央区日本橋1–3–13 東京建物日本橋ビル
レポート作成協力:株式会社都市未来総合研究所 研究部
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