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地価LOOKレポートにみる三大都市圏等の地価動向

みずほ不動産販売 不動産市況レポート 9月号

この記事の概要

  • 2024年第1四半期(2024年1月1日~4月1日)は、全地区が上昇となった。
  • 全住宅地では、マンション需要に引き続き堅調さが認められ、8期連続で全地区が上昇した。
  • 全商業地では、上昇地区が1地区増加し、調査開始以降初めて全58地区で上昇となった。

2024年第1四半期は全ての地区で上昇

2024年第1四半期(2024年1月1日~4月1日。以下、当期という。)の地価LOOKレポート※1によると、東京圏では1地区が前期の横ばいから上昇に転じ、全35地区が上昇となった[図表1]。上昇地区のうち、豊島区池袋東口は上昇区分が3~6%から0~3%に下方移行したが、外国人観光客の活発な消費で百貨店や商業施設の売上が好調な中央区銀座中央、若年世代や外国人観光客が多く訪れる歓楽街の新宿区歌舞伎町、および複数の大規模再開発事業等が進行・予定される中野区中野駅周辺では前期から引き続き3~6%上昇した。

大阪圏では2022年第4四半期から全19地区の上昇が継続しており、中でも京都駅烏丸口周辺の高度商業地域である京都駅周辺は観光客の集散拠点となっており店舗の出店意欲が強くみられることから3~6%の上昇区分にある[図表1]。名古屋圏も2021年第4四半期から全8地区の上昇が継続した[図表1]。

地方圏(地方中心都市等)は2023年第2四半期から全18地区の上昇が継続し、福岡市内で有数の優良マンション供給エリアに位置付けられる大濠は地方圏および住宅地で唯一の3~6%の上昇区分が続いている。

  1. ※1:先行的な地価動向を明らかにするため、主要都市の高度利用地等を対象に国土交通省が四半期毎に公表する地価動向。対象地区は2022年第1四半期から東京圏35地区、大阪圏19地区、名古屋圏8地区、地方圏18地区の計80地区
    東京圏は埼玉県、千葉県、東京都および神奈川県。大阪圏は京都府、大阪府および兵庫県。名古屋圏は愛知県。地方圏は札幌市、仙台市、郡山市、長野市、新潟市、金沢市、静岡市、岡山市、広島市、高松市、福岡市、熊本市、那覇市

[図表1]三大都市圏の地価動向(上昇・横ばい・下落地区数の割合の推移)

[図表1]三大都市圏の地価動向(上昇・横ばい・下落地区数の割合の推移)

データ出所:国土交通省「主要都市の高度利用地地価動向報告 ~地価LOOKレポート~」

地方圏を含めた調査対象の全住宅地※2は、2022年第2四半期から8期連続で全地区が上昇した[図表2左]。利便性や住環境に優れた地区におけるマンション需要に引き続き堅調さが認められたことが住宅地の上昇継続の要因とされる。全商業地※2は、店舗需要の回復やオフィス需要の底堅さなどで上昇傾向が継続し、既存の大型商業施設に加え新たなテーマパークの開業や多目的アリーナの建設によって賑わいの回復が期待される江東区青海・台場が横ばいから上昇に転じ、全地区で上昇となった[図表2右]。

  1. ※2:住宅地(住宅系地区)とは高層住宅等により高度利用されている地区、商業地(商業系地区)とは店舗、事務所等が高度に集積している地区。また、今期から新たな対象地区として天神(商業)を設定し、南草津駅周辺(住宅)を廃止

[図表2]調査対象の全住宅地/全商業地の地価動向(上昇・横ばい・下落地区数の割合)

[図表2]調査対象の全住宅地/全商業地の地価動向(上昇・横ばい・下落地区数の割合)

データ出所:国土交通省「主要都市の高度利用地地価動向報告 ~地価LOOKレポート~」

大都市における令和6年路線価の最高価格

7月1日、国税庁より相続税や贈与税等の算定の基礎となる令和6年分の財産評価基準書(路線価図・評価倍率表)が公開された。新型コロナからの回復でインバウンド需要が好調であることや、各地で再開発が進んでいることなどが要因で全国的に路線価は上昇している。路線価の全国1位は39年連続で東京・銀座5丁目の「鳩居堂」前となり、1㎡あたり約4,424万円と、昨年と比べて152万円上回り、上昇率は3.6%であった。地方都市の最高路線価地点では、札幌市・札幌駅南口の9.0%や京都市・四条河原町交差点そばの7.9%など、高い上昇率がみられた[図表3]。

[図表3]主要都市の最高路線価

[図表3]主要都市の最高路線価

データ出所:国税庁「令和6年分都道府県庁所在都市の最高路線価」

発    行:みずほ不動産販売株式会社 営業統括部

〒103–0027 東京都中央区日本橋1–3–13 東京建物日本橋ビル

レポート作成協力:株式会社都市未来総合研究所 研究部

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