テーマ:マーケット

東京圏における超高層マンションの動向

みずほ不動産販売 不動産市況レポート 8月号

この記事の概要

  • 2024年~2027年の全国の超高層マンションの完成戸数はコロナ前を上回る水準となる見込み
  • 東京圏では都区部外で完成戸数が増加、都心部だけでなく郊外で大規模物件の竣工を数多く控える
  • 東京圏の超高層マンションの売れ行きは引き続き好調、発売戸数は安定的

全国の超高層マンションの完成戸数はコロナ前を上回る水準へ

㈱不動産経済研究所の調査によると、全国の超高層マンション※1の完成戸数は、2011年以降は毎年1万戸~2万戸程度で推移し、2022年はコロナ禍での工期遅延の影響などで一時落ち込んだもののその後は増加に転じ、2024年は1万5,000戸台の完成が見込まれている[図表1]。

2024年~2027年に完成を予定している棟数・戸数は、合計で211棟・66,502戸(年平均は53棟・16,626戸)で、コロナ前の過去10年の水準(2011年~2020年の年平均は50棟・13,992戸)を上回る見込みである。

都心部だけでなく郊外でも数多く竣工する予定

地域別でみると、東京圏※2の2024年~2027年に完成を予定している棟数・戸数は、合計で109棟・43,532戸(年平均は27棟・10,883戸)で、全国の棟数の52%、戸数の65%を占めている[図表2]。2026年は東京圏だけで1万8,000戸台の完成が見込まれ[図表3]、東京都心部や湾岸エリアだけでなく、都区部外エリアでも大規模タワーマンションの竣工が数多く控えている[図表4]。

神奈川県内陸では、2025年に相模原市にて「相模大野駅」前の百貨店跡地で41階建てが、2026年に「橋本駅」前の総合病院跡地に29階建てが竣工予定である。千葉県では、JR総武線沿線の駅前再開発が活発化しており、「船橋駅」南口の百貨店跡地では県内一の高さ51階建てが建設され2028年に竣工する見込みである。また、つくばエクスプレス「柏の葉キャンパス駅」東口の商業施設が充実している便利な立地でも2027年に44階建てのタワーマンションが竣工する予定である。

都心部への交通アクセスが良い主要ターミナル駅の駅前再開発や好立地に所在する百貨店など老朽化施設の建替えによる整備・計画が進んでいる。

  • ※1:20階建て以上の分譲または賃貸マンション
  • ※2:調査対象地域:東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県

[図表1]全国の超高層マンション完成棟数・戸数

[図表1]全国の超高層マンション完成棟数・戸数

データ出所:不動産経済研究所「超高層マンション動向2024」

[図表2]全国の地域別超高層マンション完成戸数

[図表2]全国の地域別超高層マンション完成戸数

データ出所:不動産経済研究所「超高層マンション動向2024」

[図表3]東京圏の超高層マンション完成棟数・戸数

[図表3]東京圏の超高層マンション完成棟数・戸数

データ出所:不動産経済研究所「超高層マンション動向2024」

[図表4]東京圏の地域別超高層マンション完成戸数

[図表4]東京圏の地域別超高層マンション完成戸数

データ出所:不動産経済研究所「超高層マンション動向2024」

東京圏の超高層マンションの売れ行きは好調、発売戸数は安定して推移

東京圏における2023年の超高層マンションの初月契約率※3は77.7%となり、好不調の目安となる70%を引き続き上回った。2019年にかけては販売価格の上昇等に伴い契約率の低下が続いたが、2020年以降は70%以上の高水準を維持し[図表5]、東京圏の新築分譲マンション全体の契約率を上回って推移している。都区部の高額帯住戸は高値でも安定して人気があり、市場をけん引している。

2023年の発売戸数は合計4,543戸となり、新築分譲マンション全体の発売戸数が減少基調である中、超高層マンションの発売戸数は2019年以降4,000戸台で安定的に推移している[図表5]。2024年から2026年まで完成戸数の増加が見込まれる中、今後は発売戸数も増加基調で推移すると考えられる。

  • ※3:初月契約率=売却戸数(その月に売買契約が締結された戸数)÷発売戸数(その月に発売された戸数)

[図表5]東京圏の超高層マンションの発売戸数・契約率

[図表5]東京圏の超高層マンションの発売戸数・契約率

データ出所:不動産経済研究所「首都圏 新築分譲マンション市場動向」

(参考)東京圏の新築分譲マンション全体の発売戸数・契約率

(参考)東京圏の新築分譲マンション全体の発売戸数・契約率

データ出所:不動産経済研究所「首都圏 新築分譲マンション市場動向」

近畿圏における超高層マンションの動向

近畿圏※4の2024年~2027年に完成を予定している棟数・戸数は、合計で36棟・11,080戸(年平均は9棟・2,770戸)で、コロナ前の水準(年平均は12棟・3,516戸)をやや下回る見込みである[図表6]。

2024年以降は大阪府、兵庫県、京都府にて完成予定があり、東京圏と同様に供給エリアに広がりが見られ、大阪市中心部だけでなく府下や兵庫県での完成戸数が伸びている。大阪府箕面市で新駅直結の30階建てが2024年に竣工予定、兵庫県宝塚市でもホテル跡地に32階建てが2025年と2026年に2棟竣工予定など、郊外エリアでも大規模な再開発が計画されている。

  • ※4:調査対象地域:大阪府、兵庫県、京都府、奈良県、滋賀県、和歌山県

[図表6]近畿圏の超高層マンション完成棟数・戸数

[図表6]近畿圏の超高層マンション完成棟数・戸数

データ出所:不動産経済研究所「超高層マンション動向2024」

発    行:みずほ不動産販売株式会社 営業統括部

〒103–0027 東京都中央区日本橋1–3–13 東京建物日本橋ビル

レポート作成協力:株式会社都市未来総合研究所 研究部

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