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この記事の概要
地価は全国的に上昇が続いており、全国の地価は全用途平均+2.3%(前年+1.6%)、住宅地+2.0%(+1.4%)、商業地+3.1%(+1.8%)となり、いずれも上昇率は拡大した[図表1]。三大都市圏、地方圏とも全用途平均、住宅地、商業地とも前年に引き続き上昇した。地点数でみると、全体では前年からの継続地点の65%が上昇、地方四市を除く地方都市でも上昇地点が41%、下落地点が40%と上昇地点の割合が下落地点を上回った[図表2]。
住宅地については、再開発事業や鉄道網(新線・新駅)の整備等により住環境が向上した地域や駅徒歩圏内など利便性の高い地域で地価の上昇がみられ、三大都市圏や地方四市などの大都市、なかでも利便性の高い都心部では、特にマンション需要が強く、地価の上昇が続いている。
また、都心部と比較して割安感があり、かつ駅に近いなど生活利便性の高い都心周辺地域や郊外部においては引き続き地価の上昇がみられる一方で、価格上昇にともない割安感が薄れたり、供給が少なくなったことを背景に地価上昇の勢いが弱まりつつある地域もみられた。
商業地は、国内外の観光客が増加している地域や再開発が進む地域を中心に地価の上昇が顕著となった。また、利便性が高い都心部ではマンション需要が強く、オフィスや店舗、ホテルなどの商業系用途との競合がみられる。
地価の上昇率の上位地点では、半導体工場の進出にともなう住宅、店舗需要の増加を背景に北海道千歳市(ラピダス)や熊本県菊陽町(JASM)などで住宅地、商業地ともに高い上昇率がみられた。北海道富良野市や倶知安町、長野県白馬村など特に外国人に人気の高い観光リゾート地では、インバウンド需要の回復もあいまってホテルやコンドミニアムなどの取得需要が地価の上昇を押し上げている。
2024年3月19日にマイナス金利政策が解除された。長期的に物価や賃金の上昇が続けば政策金利が上昇する可能性はあるものの、日銀は当面は緩和的な金融政策を続けると表明しており、政策変更による金利上昇はそれほど大幅なものにはならず、当面不動産市場への影響は少ないと思われる。
[図表1]圏域別・用途別の地価変動率(2024年地価公示)
データ出所:国土交通省「地価公示」
(注)圏域等の定義は以下のとおり。
[図表2]圏域別の上昇・横ばい・下落の地点数の推移
[図表3]半年ごとの地価変動率(地価公示、都道府県地価調査の共通調査地点)
(注)前半(1月~7月)は7月1日時点、後半(7月~1月)は1月1日時点
2024年も2023年に引き続き大都市や都市中心部の地価の上昇にともなって相対的に割安感のある周辺都市に地価の上昇が波及する傾向がみられたが、住宅地の一部については、地価や建築費の上昇により一服感がみられる。
地価の高騰が続く札幌市の周辺部では、札幌市への交通アクセスが良好かつ相対的に割安な周辺都市への住宅需要が増加したことで、2023年では+20%を超える上昇率となっていたが、建築費の上昇に加え、地価が上昇したことで、住宅需要に一服感が生じ、2024年では上昇率が大幅に縮小する結果となった[図表4]。
[図表4]地方四市と周辺都市の地価変動率
発 行:みずほ不動産販売株式会社 営業統括部
〒103–0027 東京都中央区日本橋1–3–13 東京建物日本橋ビル
レポート作成協力:株式会社都市未来総合研究所 研究部
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