テーマ:マーケット

東名阪比較(東京都vs.愛知県vs.大阪府)最寄り駅別
中古マンションの取引㎡単価変動率ランキングNew

みずほ不動産販売 不動産市況レポート 3月号

この記事の概要

  • 区分所有物件の成約データを集計、市場での物件の動向をそのまま反映したランキングを作成した。
  • 平均上昇率が最大の駅はJR大阪環状線「寺田町」(26.3%)で、次いで名古屋市営地下鉄の「黒川」(21.1%)。
  • 平均下落率が最大の駅は南海電鉄南海本線「羽衣」(-20.6%)で、次いで近鉄南大阪線「河内天美」(-11.7%)。
  • 上昇率上位は、主に下町や郊外戸建エリアの駅近など新旧物件が混在する地域で、築浅物件の取引割合が増加傾向の駅。下落率上位は、築浅物件の取引割合が減少した駅や、郊外の団地型マンションが集積する地域などで、経年物件の取引割合が増加傾向の駅。

※国土交通省の「不動産取引価格情報検索システム」に採録された情報をもとに、令和元(2019)年から令和5(2023)年4~6月期に売買された、東京都と愛知県、大阪府所在の区分所有・中古マンション等(稀に事務所用途等を含む)総件数116,428件の㎡単価(仲介手数料等の諸費用を含まない取引総額を、登記簿記載の専有部分床面積で割った額)を最寄り駅別・取引年別に集計し、令和2年と3年、4年、5年の平均㎡単価の対前年変動率を平均してランキングを作成した。なお、総件数から、5年間の取引件数が50件未満の駅とデータ採録がない年のある駅は対象外とし、個々の取引データで明らかな異常値(採録時の桁間違い等)と判断されるものは除外した。

上昇率上位30駅の内訳は東京都が15、次いで大阪府10、愛知県5。下町と郊外戸建エリアの割合が高い[図表1]

築浅物件ほど高単価。新旧混在する下町と一部は郊外の駅で、築浅の取引割合が増加し上位に[コラム参照]。

最上位8駅は㎡単価のばらつきが30駅平均より大きく、築浅の高単価物件が増えつつも年ごとで振れ幅大。

[図表1]東京都と愛知県、大阪府の最寄り駅別、中古区分所有マンションの取引㎡単価上昇率上位30駅

2019年~2023年4~6月期

[図表1]東京都と愛知県、大阪府の最寄り駅別、中古区分所有マンションの取引㎡単価上昇率上位30駅

  1. ※1 最寄駅名が類似していても別の駅を最寄として採録された物件は含まない。
  2. ※2 各年の平均㎡単価の標準偏差をその平均値で割った値。各年の平均㎡単価の5か年におけるばらつきの大きさを相対的に示すもの。
    変動係数が50駅の平均値(20.0%)を上回った16駅は各年の平均㎡単価が相対的に大きくばらついたことを示す。各年の成約物件で㎡単価の差違が大きかった結果と考えられる。

データ出所:国土交通省「不動産取引価格情報検索システム」から都市未来総合研究所作成

下落率上位30駅は大阪府15、東京都4、愛知県11。築浅の取引減少や団地型経年物件の取引増加で[図表2]

タワーマンションが発売された地域や下町および郊外団地型マンション地域で、取引物件の傾向が変化した駅。

単価の高い築浅物件の取引割合が低下、昭和40年代築など経年物件の取引割合が増加したことが下落要因。

[図表2]東京都と愛知県、大阪府の最寄り駅別、中古区分所有マンションの取引㎡単価下落率上位30駅

2019年~2023年4~6月期

[図表2]東京都と愛知県、大阪府の最寄り駅別、中古区分所有マンションの取引㎡単価下落率上位30駅

  1. ※1 最寄駅名が類似していても別の駅を最寄として採録された物件は含まない。
  2. ※2 各年の平均㎡単価の標準偏差をその平均値で割った値。各年の平均㎡単価の5か年におけるばらつきの大きさを相対的に示すもの。
    変動係数が50駅の平均値(10.7%)を上回った14駅は各年の平均㎡単価が相対的に大きくばらついたことを示す。各年の成約物件で㎡単価の差違が大きかった結果と考えられる。

データ出所:国土交通省「不動産取引価格情報検索システム」から都市未来総合研究所作成

平均取引単価の上昇/下落は、最寄り駅周辺の物件属性と流通状況によるところが大

上昇率第1位のJR大阪環状線「寺田町」(大阪市天王寺区)と下落率第1位の南海電鉄南海本線「羽衣」(大阪府高石市)を比較した。建築年が新しい物件ほど取引単価が高い傾向は、両駅共通である[図表3(上昇率第1位「寺田町」駅・下落率第1位「羽衣」駅)]。

「寺田町」は交通利便性が高く賃貸需要も強いエリアで、投資用と思われる単身者向け(1K~1LDK)が取引の61.7%を占め、令和築の築浅物件が増加して[図表3(上昇率第1位「寺田町」最寄り物件の築年別取引件数)]、高い上昇率となった。「羽衣」は平成31年築のタワーマンションなどの売買が令和元年に集中してあり[図表3(下落率第1位「羽衣」最寄りの物件の築年別取引件数)]、以降はこうした築浅物件の取引件数が落ち着いたため、平均単価が下落した。

[図表3]上昇率第1位「寺田町」と下落率第1位「羽衣」最寄り物件の、築年別平均取引単価と築年別取引件数の推移

上昇率第1位「寺田町」駅

建築年 平均取引単価
昭和53年~64年 26.8万円/㎡
平成2年~16年 39.1万円/㎡
平成17年~31年 66.1万円/㎡
令和2年~5年 94.9万円/㎡

下落率第1位「羽衣」駅

建築年 平均取引単価
昭和49年~64年 15.8万円/㎡
平成2年~16年 27.9万円/㎡
平成17年~31年 46.7万円/㎡
令和2年~5年 -

上昇率第1位「寺田町」最寄り物件の築年別取引件数

上昇率第1位「寺田町」最寄り物件の築年別取引件数

下落率第1位「羽衣」最寄りの物件の築年別取引件数

下落率第1位「羽衣」最寄りの物件の築年別取引件数

データ出所:国土交通省「不動産取引価格情報検索システム」から都市未来総合研究所作成

発    行:みずほ不動産販売株式会社 営業統括部

〒103–0027 東京都中央区日本橋1–3–13 東京建物日本橋ビル

レポート作成協力:株式会社都市未来総合研究所 研究部

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