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東京圏、近畿圏における高額マンションの市場動向New

みずほ不動産販売 不動産市況レポート 2月号

この記事の概要

  • 東京圏では高額マンションの供給がコロナ後に大きく増加
  • 東京圏では東京23区に供給が集中し高額価格帯市場は活況。郊外の市場規模は小さく供給も減少
  • 近畿圏における高額マンションの供給中心エリアである大阪市では、販売好調のなか足元の供給は一服

1)東京圏では高額マンションの供給がコロナ後に大きく増加

東京圏※1における分譲マンションの年間供給戸数が、2020年と2022年に3万戸を下回るなど中長期的に低下傾向にあるなかで、販売価格1億円以上の高額マンション(以下「高額マンション」と呼ぶ)の供給戸数は、コロナ後の2021年以降、一段上昇している[図表1左]。2020年までの3年は年間約1,800戸で推移したが、2021年以降は概ね2,500戸を上回っており、さらに足元の2023年は1月から10月までの段階で3,000戸を超え、過去2年を既に上回る水準にある。また“2018年~2020年”と“2021年~2023年(10月まで)”の期間を比較すると、1億円未満の価格帯の供給戸数減、1億円以上の価格帯の供給戸数増がみられ、供給戸数増は高額マンションに絞られる状況がみてとれる[図表1右]。

富裕層や高額所得世帯の実需のほか、資産継承や投資目的での取得需要などを背景に高額マンションの需要は底堅く、デベロッパーが東京都心部等での高額価格帯へ供給をシフトしたかたちである。

[図表1]東京圏における販売価格帯別の分譲マンション供給戸数

[図表1]東京圏における販売価格帯別の分譲マンション供給戸数

データ出所:不動産経済研究所「首都圏 新築分譲マンション市場動向」

2)東京圏では東京23区に供給が集中し高額マンション市場は活況。郊外の市場規模は小さく供給も減少

東京圏において、販売価格1億円以上の高額マンション供給の大部分は東京23区である。2021年、2022年とも2,000戸を超える供給がみられ、2023年(10月まで)には供給戸数は3,000戸を超えている[図表2左上]。1億円台は2,000戸程度を維持する一方で、2億円台、3億円台の供給戸数増が顕著で、足元の供給をけん引している。“2021年~2023年(10月まで)”の全供給戸数のうち高額マンションは24%で、4戸に1戸と高いウェイトを占める。また契約率は1億円台、2億円台、3億円以上いずれも70%を超え販売は好調で、これらの直下の価格帯である8・9千万円台※2よりも契約率が高い。

郊外部にあたる東京都下・神奈川県、埼玉県・千葉県の2エリアは実需中心の市場であることなどから、高額マンションの供給は少ないが、年間数十戸のボリュームを持っている[図表2右上、左下]。ただし2023年(10月まで)は特に埼玉県・千葉県で供給戸数の落ち込みがみられる。供給される価格帯は1億円台がほとんどで、2億円台、3億円以上の価格帯の供給はほぼみられない。高額マンションの希少性が高いことから、1億円台における“2021年~2023年(10月まで)”の契約率は、東京都下・神奈川県で67%、埼玉県・千葉県で78%と販売は比較的好調である。

3)近畿圏における高額マンションの供給中心エリアである大阪市では、販売好調のなか足元の供給は一服

大阪市では、2021年、2022年に年間約300戸の高額マンションが供給され、2023年(10月まで)は70戸と100戸を切る水準で一服している[図表2右下]。“2021年~2023年(10月まで)”の全供給戸数のうち高額マンションは約4%で、東京23区に比べると高額マンションの比率は低い市場となっている。高額マンションの価格帯は1億円台が中心で、2億円台、3億円台まで広がりをみせている。契約率は1億円台、2億円台、3億円以上でいずれも70%を超えており、販売は好調である。

  1. ※1:東京圏は、東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県
  2. ※2:4000万円以下を2・3千万円台等、6000万円以下を「4・5千万円台」、8000万円以下を「6・7千万円台」、9999万円以下を「8・9千万円台」、10000万円以上を「1億円台」、20000万円以上を「2億円台」、30000万円以上を「3億円以上」とした。

[図表2]エリア別の供給戸数と契約率

[図表2]エリア別の供給戸数と契約率

データ出所:不動産経済研究所「首都圏 新築分譲マンション市場動向」、「近畿圏 新築分譲マンション市場動向」

東京23区および主要政令市における高額マンション住戸を含む分譲マンション事例

高額マンションは、全戸が高額住戸で構成されるものは必ずしも多くなく、上層階等に組み込まれるケースが多い。立地場所をみると、東京圏では東京23区、なかでも都心区を中心に立地するものが多く、大阪市ではJR大阪環状線内側など市の中心部での立地が多くみられる。その他の政令市では三大都市圏以外(札幌市、福岡市)でも事例がみられ、市の中心部やターミナル駅近接の立地となっている。建物階数は地上20階建て以上のタワーマンションの形態をとるものが多い。

足元で分譲されている物件および2023年に完売あるいは竣工した主な物件では、以下が挙げられる。なお東京都港区の三田ガーデンヒルズ、WORLD TOWER RESIDENCEは、これまでの分譲平均価格が2億円を超える高額マンションである。

[図表3]高額マンション(販売価格1億円以上)住戸を含む分譲マンション事例

[図表3]高額マンション(販売価格1億円以上)住戸を含む分譲マンション事例

注)2023年12月時点で分譲中、あるいは2023年に完売、竣工したもの

データ出所:公式HP等の物件概要

発    行:みずほ不動産販売株式会社 営業統括部

〒103–0027 東京都中央区日本橋1–3–13 東京建物日本橋ビル

レポート作成協力:株式会社都市未来総合研究所 研究部

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