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三大都市圏における空き家数の増減動向New

みずほ不動産販売 不動産市況レポート 1月号

この記事の概要

  • 三大都市圏※1における2023年の空き家数※2は1998年と比較して3割以上の増加が見込まれる
  • 三大都市圏における住宅竣工戸数と世帯数増減数はともに減少傾向であった

1)三大都市圏における2023年の空き家数は1998年と比較して3割以上の増加が見込まれる

住宅・土地統計調査によると、東京圏、名古屋圏、大阪圏の空き家数は増加傾向で推移してきた。2023年の空き家数(推計値※3)を1998年当時と比較すると、東京圏は約33%増(50万戸増)、名古屋圏は約49%増(23万戸増)、大阪圏は約35%増(35万戸増)と見込まれる。なお2023年の空き家率(空き家数÷住宅総数)は、東京圏10.4%、名古屋圏12.8%、大阪圏14.0%と見込まれる。[図表1]。

[図表1]三大都市圏の空き家数と空き家率の推移

[図表1]三大都市圏の空き家数と空き家率の推移

データ出所:総務省統計局「住宅・土地統計調査」

2)三大都市圏における住宅竣工戸数と世帯数増減数はともに減少傾向であった

2018年までの住宅竣工戸数と世帯数増減数の推移を[図表2]と[図表3]に示した。住宅竣工戸数と世帯数増減数は、東京圏、名古屋圏、大阪圏ともに減少傾向であった。中でも大阪圏は、住宅竣工戸数は2008年時以降比率的に減少幅が大きく、世帯数増減数は2018年時に比較的減少幅が大きい。

なお、住宅・土地統計調査の調査間(5年間)における、住宅竣工戸数から住宅総数増減数を減じて求めた滅失戸数等は[図表4]となる。

[図表2]住宅竣工戸数(時点間合計)の推移

[図表2]住宅竣工戸数(時点間合計)の推移

データ出所:国土交通省「住宅着工統計」

[図表3]世帯数増減数(時点間増減値)の推移

[図表3]世帯数増減数(時点間増減値)の推移

データ出所:総務省統計局「住宅・土地統計調査」

[図表4]住宅竣工戸数から住宅総数増減数を減じて算出した滅失戸数等(時点間合計)の推移

[図表4]住宅竣工戸数から住宅総数増減数を減じて算出した滅失戸数等(時点間合計)の推移

データ出所:国土交通省「住宅着工統計」、総務省統計局「住宅・土地統計調査」

  1. ※1:東京圏は、東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県。大阪圏は、大阪府、兵庫県、京都府、奈良県。名古屋圏は、愛知県、岐阜県、三重県
  2. ※2:本稿で対象とする「空き家数」は、居住世帯のない住宅のうち、二次的住宅、賃貸用の住宅、売却用の住宅及びその他の住宅(転勤・入院などのため居住世帯が長期にわたって不在の住宅や建て替えなどのために取り壊すことになっている住宅など)として集計されたもの
  3. ※3:[図表1]の空き家数および空き家率は、2023年度分のみ推計値によるもの。推計方法は次式の基づく「空き家数増減数=住宅竣工戸数-世帯数増減数-滅失戸数等」。なお、住宅竣工戸数(※4)と世帯数増減数(※5)は2023年時のデータを得ることができる。2023年時の滅失戸数等は[図表4]で示した過去平均と設定した。過去データでは、滅失戸数等を「住宅竣工戸数-住宅総数増減数」で求めているが、1戸≒1世帯なので「滅失戸数等=住宅竣工戸数-世帯数増減数-空き家数増減数」の関係が成り立つと考え、この関係式を用いて空き家数増減数を推計した。なお、2003年時から2018年時の各調査時点における前者の滅失戸数等を用いた滅失戸数等率(=滅失戸数等÷住宅総数)と後者の滅失戸数等に基づく滅失戸数等率との差はいずれの調査時点でも0.4%pt.未満であった。また、滅失戸数等は、滅失戸数のほか着工戸数のうち竣工しなかったものや滅失の届出漏れなどを含むと考えられる。
  4. ※4:住宅竣工戸数は住宅着工戸数の時点を1年後ろにずらしたものとした。
  5. ※5:2023年時点の世帯数増減数は、各都府県が公表した各年の世帯数(12月末時点データは翌年1月1日時点データで代替。2023年のみ9月1日時点データ)の増減数合計とした。

[図表5]2023年時点の空き家数増減数等の推定

[図表5]2023年時点の空き家数増減数等の推定

  1. 注1)住宅竣工戸数は住宅着工戸数の時点を1年後ろにずらしたもの(時点間合計)
  2. 注2)時点間増減値。2023年時のみ都府県が公表した2020年1月1日から2023年9月1日までの増減数を前回時点値に加算
  3. 注3)2018年時までは「滅失戸数等=住宅竣工戸数-住宅総数増減数」で算出(時点間合計)。2023年時は設定値

データ出所:住宅着工戸数は国土交通省「住宅着工統計」、その他の項目は2018年時までは総務省統計局「住宅・土地統計調査」

三大都市圏における住宅竣工戸数の対世帯数割合の比較

住宅竣工戸数の対世帯数割合は、3都市圏とも低下傾向にある[図表6]。東京圏と名古屋圏では2023年時点では9%程度と見込まれるが、大阪圏では一段低く7%程度と見込まれ、世帯数から見ると大阪圏は住宅竣工戸数が比較的低い水準で推移している。

[図表6]各都市圏における住宅竣工戸数の対世帯数割合

[図表6]各都市圏における住宅竣工戸数の対世帯数割合

  1. 注1)住宅竣工戸数は住宅着工戸数の時点を1年後ろにずらしたもの(時点間合計)
  2. 注2)2023年時点の値は、各都府県が公表した各年の世帯数の増減数合計に基づく数値。

データ出所:国土交通省「住宅着工統計」、総務省統計局「住宅・土地統計調査」

発    行:みずほ不動産販売株式会社 営業統括部

〒103–0027 東京都中央区日本橋1–3–13 東京建物日本橋ビル

レポート作成協力:株式会社都市未来総合研究所 研究部

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