収益物件としてのヴィンテージマンションの魅力New

投資用不動産による資産形成のすすめ(第9回・番外編)

この記事の概要

  • これまで8回にわたって「一棟マンション」投資の魅力や特性についてご紹介してきましたが、今回は番外編として「ヴィンテージマンション」1戸(室)投資を取り上げてみました。一棟マンションと同様の投資物件のひとつであるヴィンテージマンションの特性について整理し、一棟マンションと対比することで、それぞれの価値の差異や魅力について確認していきましょう。

収益物件としてのヴィンテージマンションの魅力

ヴィンテージマンションの定義

不動産投資を既に実践されている方や、興味のある方であれば、「ヴィンテージマンション」という言葉を聞いたことがあるかと思います。
マンションに限らず、全ての建築物は日射や紫外線、風雨などにさらされ続けるため、経年とともにどうしても劣化が避けられません。しかし、まめな維持管理や補修などによって建物の耐久性やデザイン性を維持・向上させ続けることが可能です。敷地内の環境やサービスの維持、住人間の良質なコミュニティの創出などによって、歳月とともに逆に価値を高め、魅力を維持し続けるマンションのことを「ヴィンテージマンション」と呼びます。

いくら築年が古くても、管理組合全体で丁寧な維持管理を続けてきただけではヴィンテージマンションとは認められにくいものです。それは、一般にヴィンテージマンションの前提条件として、以下を備えていることが求められるためです。東京でいえば、港区、渋谷区、千代田区など、都心中央部に多くのヴィンテージマンションが見られます。

  • ・利便性が高く、住宅地としても良好な地である
  • ・建築時から高品位な仕様や意匠、自然環境などを持っている
  • ・管理やコミュニティが行き届いている
  • ・住人以外の多くの人からも「ここに住みたい」と思われる、高いブランド力を有している

中古マンションの売買価格は、一般に築年が経つほどに価格が下がっていくものです。しかしヴィンテージマンションは、1960-70年代に建てられたものでありながら、価格が下がるどころか維持・向上し続けています。良好な住環境ゆえに、ハイステイタスな暮らしのプラットフォームとして支持されているのです。
このように、ヴィンテージマンションはいわば物語性のあるマンションともいえそうです。

投資対象としてのヴィンテージマンションの特性

ではここで、賃貸物件として貸し出す投資対象として見たヴィンテージマンションの特性を整理してみましょう。

まず、マンション自体に個性やブランド力があるため、近隣のマンションと比べても高額の賃料の設定が可能です。また、他のマンションとの差別化ができているため、早期に新規入居者がつくようです。つまり、賃貸投資の基本である「賃料の維持(または向上)」と「空室率の最小化」が保証されており、安定的な投資物件であるといえます。
同エリアの類似物件と比べても賃料が高めな分、賃貸需要としては高額所得者が中心となります。こうした方は生活や住まいへの意識も高く、賃貸中のトラブルが少なめといえます。つまり室内を大事に使ってもらえる、良質な入居者といえます。そのため維持管理面でも他の賃貸投資と比べてリスクが少ないといえます。

将来の売却時も、ヴィンテージマンションがブランドゆえ、タイミングによっては物件購入時より高額で売却でき、キャピタルゲインも手にできる可能性があります。また持ち家としての人気も高いためスピーディな売却が期待でき、不動産という資産の中では換金性が高いストックといえます。

ヴィンテージマンション投資のリスク面としては、手間をかけられる箇所が少ないため、劇的な利回り向上のための運用がしにくいことが挙げられます。ただそれは、運用期間中の手間や投資リスクを減らす、安定性というメリットに置き換えられます。
他には、維持管理や大規模修繕に一定のコストをかけているため、管理費が高めであるということが挙げられます。また、築年が古い分、水道管の漏水など共用設備の劣化の恐れも築浅の物件より高いわけですが、まめな点検や大規模修繕など、維持管理体制によってフォローされています。

運用リスクが少なめなことや、不動産物件としての人気も高いことから、どうしても他の投資物件と比べると利回りが低めになってしまうのは致し方のないところ。また、売買物件が少なく、市場になかなか出回らないため、売りに出された際にはスピーディな購入判断が求められます。

価格帯は一棟マンションと近いが、運用方法は真逆

ではここで、一棟マンションと1戸のヴィンテージマンションの特性について整理し、差異を確認してみましょう。

(表1)一棟マンションとヴィンテージマンションとの特性比較

観点 一棟マンション ヴィンテージマンション
(1戸)
管理面 複数戸を管理する分、一定の手間はかかる 専有部1戸だけの管理で済むため、手間は少なめ
想定賃料 △~◎ 魅力付けによって賃料の維持・向上が可能だが、何もしないと賃料が下落していく 人気が高く、近隣の賃貸マンションより高い賃料も設定可能
投資家自身による
バリューアップの余地
専有部・共用部の両面でバリューアップの余地を持つ
  • ・マンション自体が既に一定のブランドを獲得している
  • ・魅力付けは専有部で行っていく
将来の換金性 1戸単位の区分所有マンションよりは売却に時間がかかる傾向にある
  • ・一定の資産価値を保持している
  • ・人気物件ゆえスピーディな売却も可能
総評 手間をかけながら、利回りや資産価値を向上させていくスタイル 手間を省きながら、安定した利回りや資産価値を維持していくスタイル

一棟投資マンションは、複数戸ある賃貸住戸のさまざまな魅力付けと共用部の充実によって、賃料の維持・向上と空室期間の減少を目指す投資スタイルになります。時間と手間をかけて高い利回りを実現させつつ、将来の売却時のキャピタルゲインも高めていくという、マンションオーナーとして取り組み甲斐のある手法ともいえます。
対して、ヴィンテージマンション1戸の投資は、投資家による利回りの向上の余地はそうないものの、賃料というインカムゲインを安定的に得る投資手法になります。将来の売却もスピーディに行え、不動産投資にしては流動性が高いことも大きな魅力です。

このように、同じ高額の不動産投資物件でありながら、一棟投資マンションとヴィンテージマンション1戸の運用方法は全く逆のスタイルともいえます。いってみれば、ヴィンテージマンションは、最小の手間とリスクで安定的に運用益を手に入れる運用手法、一棟マンションは時間と手間をかけて大きな果実を手に入れる投資手法といえます。

このように、同じ「不動産投資」ながら運用方法は対照的ですので、ご自分の投資スタイルや目的に合った方法で検討していきたいものです。

今回を含めて9回にわたって、「マンション一棟投資」という不動産投資手法について、投資特性やメリット、利回り向上のノウハウなどについてご紹介してきました。数ある資産運用方法のなかでも、一棟マンション投資が中長期的な時間を使って積極的に運用していく、インフレに強い投資商品であることがご理解いただけたかと思います。

一定の資産規模を保有していたり、これから資産形成を目指す方こそ、一棟投資マンションの「スケールメリットを最大限活用できる」というアドバンテージを上手に活用し、さらなる資産の保全や拡大を実践していきましょう。

記事制作

日経BPコンサルティング

※ 本コンテンツは、不動産購入および不動産売却をご検討頂く際の考え方の一例です。

※ 2023年12月22日本編公開時の情報に基づき作成しております。情報更新により本編の内容が変更となる場合がございます。