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この記事の概要
区分所有マンションと比べると、一棟投資マンションの賃貸経営には大きな初期投資が必要になります。 それゆえ賃貸投資の第一歩となる物件取得のための検討は、慎重の上にも慎重を期す見極めが必要です。
物件取得の際に一番頼りになるパートナーが不動産仲介業者です。単なる物件情報紹介者としてだけではなく、物件の評価や管理状況などさまざまなアドバイスができる実力のある仲介業者との付き合いが、一棟投資マンションの最初の成功の可否を握ります。
表1)不動産仲介業者に求められるスキルやサービスの一例
「物件紹介力」とは、不動産投資のための物件について、希望の条件にかなった多彩な候補を紹介できる能力です。持ち家と違い、賃貸経営はエリアを変えての投資も考えられるので、全国に情報ネットワークを持っていることは投資家の検討にとって有利に作用します。
候補物件の紹介に当たっては、単に数の多さだけでなく、質の高さも求められます。表面利回りなど見かけの数字だけでは判断しにくい材料を吟味し、良質の投資物件として運用可能な“金の卵”を見つけ出して提示できる、「コンサルティング能力」の高い業者を見極めていきましょう。
投資物件の購入においては無理のない資金計画が求められるため、「ファイナンシャル面」でのアドバイスも重要です。金融機関と連携の上、投資家の現在の資産(ポートフォリオ)を基に、年収や予定する自己資金を踏まえた上での、適切な返済計画や各種ローンの活用提案などのアドバイスが、賃貸経営の初期リスクを軽減してくれます。
不動産仲介業者の規模や業務範囲、得意分野は多種多様ですが、投資候補となる物件の提案から投資妥当性の検討にいたるさまざまな職能が求められます。検討する投資計画のリスクを最小化してくれる、頼れる業者を味方に付けたいものです。
首尾よく一棟マンションを購入できたら、次はいよいよ実際の賃貸経営へとステージが移行します。運用においてはこまごまとした業務が山積しますので、ここでもプロの力が必要です。
表2)賃貸経営時における連携と主な委託業務
「入居者の確保」は賃貸投資における基本中の基本ですから、賃貸不動産仲介業者の協力が欠かせません。物件案内のためのツール制作、募集、案内、入居希望者の審査、契約にいたるまで、繁雑な業務をサポートしてもらいます。募集や客付けは個人でも可能ですが、スピーディに対応できないと空室期間を増加させ、投資利回りを下げかねません。所有物件に見込客を多く誘導するためにも、やはりプロの情報発信力や集客力を活用したいものです。
賃貸経営においては、ソフト・ハード両面からの「管理業務」が必須です。「ソフト面」は一般的に入居者とのやり取り一切に関わる管理業務、「ハード面」は建物自体の維持管理業務を指します。これらの業務についても、一戸単位ならオーナー主導で動くことが可能ですが、一棟マンション経営の場合は管理会社への依頼が基本となります。
「ソフト面」における入居者対応業務は、毎月の賃料の徴収からゴミ出しといった入居者サービスといった日常業務があります。家賃滞納者への督促やクレーム対応など、イレギュラーな対応も求められます。「ハード面」の建物管理業務は、マンション一棟全体の維持管理です。共用部では、建物や共用設備の点検やメンテナンスを定期的に実施するとともに、長期修繕計画に則って必要な大規模修繕を実施します。専有部では、室内設備の故障対応や退去後の原状回復といった室内環境の維持・向上のための業務があります。
これらの管理業務については、ソフト・ハード両面を取り扱う管理会社と、どちらか一方のサービスに特化した管理会社があります。総合性(一括依頼で負担軽減)・専門性(得意分野でのスキルに期待)や具体的な費用などを検討し、経営方針に合致した業者を選びましょう。
不動産投資において何より重要なのが、経営状況の正確な捕捉です。賃料などの「収入」と、維持管理費や外注費などの各種「支出」、これらを複数戸の賃貸管理を基に、一棟単位の収支状況として正確に捕捉・分析します。課題があれば対策を講じ、利回りの向上と資産の最大化を目指します。
賃料収入は一律ではありません。空室があれば月額収入は下がりますし、経年とともに賃料が下がるリスクもあり、安定稼働のための投資計画も欠かせません。また、働き方や住まい方の変化、人口減少といった社会要因によって地域の賃貸ニーズも刻々と変化していくため、こうした将来対応への備えや布石も必要です。
こうした経営業況の確認、判断、実行のためには、税理士や会計士など金融面での専門家の存在が不可欠です。単なる会計面の現状の捕捉にとどまらず、事業収支を総合的にマネジメントできる、中長期的な視点を持つアドバイザーが欠かせません。
賃貸経営に明るいプロの存在は、経営リスクを軽減してくれます。現状の経営状況を視覚化させつつ、正しい運用によって運用益を最大化していくためにも、コンサルティング的な視点を持つパートナーを味方に付けたいものです。
日経BPコンサルティング
※ 本コンテンツは、不動産購入および不動産売却をご検討頂く際の考え方の一例です。
※ 2023年9月27日本編公開時の情報に基づき作成しております。情報更新により本編の内容が変更となる場合がございます。
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