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2022年度に都区部で発売された1億円以上の新築マンション住戸の販売状況New

みずほ不動産販売 不動産市況レポート 9月号

この記事の概要

  • 都区部では2022年度に平均価格がさらに大きく上昇
  • 1億円以上の発売住戸数の構成割合がさらに上昇
  • 2022年度に発売された3億円以上の住戸数は急増、初月契約率は非常に高い

1)都区部では2022年度に平均価格がさらに大きく上昇

2018年以降都区部における分譲マンションの発売戸数は、減少傾向にあるとみられ、2021年度は増加したものの、2022年度は2020年度と同水準となった[図表1]。その中で、平均価格は2021年度以降急速に上昇しており、対前年度比は2021年度で11.7%上昇、2022年度で17.2%上昇だった[図表2]。

[図表1]都区部における分譲マンションの発売戸数の推移

[図表1]都区部における分譲マンションの発売戸数の推移

データ出所:(株)不動産経済研究所「首都圏 新築分譲マンション市場動向」

[図表2]都区部における分譲マンションの平均価格の推移

[図表2]都区部における分譲マンションの平均価格の推移

データ出所:(株)不動産経済研究所「首都圏 新築分譲マンション市場動向」

2)1億円以上の発売住戸数の構成割合がさらに上昇

2019年度~2022年度について価格帯別に発売戸数をみると、1億円未満では([図表3左])、低価格帯ほど発売戸数が減少傾向で、高価格帯ほど増加傾向である。1億円以上では([図表3右])、どの価格帯も増加傾向で、1億円以上の住戸数が全価格帯の住戸数に占める割合は、2019年度と2020年度は15%弱だったが、2021年度は21.0%、2022年度は25.7%に急上昇している[図表4]。特に、2022年度は3億円以上の住戸数が大きく増加した[図表3右]。

都区部では地価高騰や建築費高騰の環境下で、4,000万円以上8,000万円未満のボリュームゾーン住戸と考えられる分譲マンションの商品化が難しくなる中、分譲マンションを供給するディベロッパーでは、高額マンションを中心に供給し必要な売上高を確保する方策がとられていると考えられる。

[図表3]価格帯別の発売戸数(左 1億円未満、右 1億円以上)

[図表3]価格帯別の発売戸数(左 1億円未満、右 1億円以上)

データ出所:(株)不動産経済研究所「首都圏 新築分譲マンション市場動向」

[図表4]1億円以上の住戸数が全価格帯の住戸数に占める割合

[図表4]1億円以上の住戸数が全価格帯の住戸数に占める割合

データ出所:(株)不動産経済研究所「首都圏 新築分譲マンション市場動向」

3)2022年度に発売された3億円以上の住戸数は急増、初月契約率は非常に高い

発売された3億円以上の住戸は、2019年度と2020年度は70戸未満、2021年度は139戸だったが、2022年度は383戸と急増した。また、初月契約率は、1億円以上2億円未満の価格帯は73.7%、2億円以上3億円未満は81.5%、3億円以上は94.3%となっており、1億円未満では70%前後で推移していることと比較すると3億円以上は非常に高い[図表5]。

3億円以上の住戸では、2022年度に発売された383戸の82%にあたる315戸が2023年3月の発売だった。しかも、3月の初月契約率は100%となっている。大手ディベロッパーが抱える富裕層顧客との契約締結を年度末までに確実にこぎ着けた形である。富裕層による取得急増で高額マンションは好調と報じられているが、3億円以上の高額マンションでは発売と契約が1ヵ月に集中した特殊な状況だったと考えられる。主なプロジェクトとしては、①平均住戸価格が4億円前後で総戸数が1,002戸とされる「三田ガーデンヒルズ(港区)」、②平均住戸価格が2億円以上で総戸数が389戸とされる「WORLD TOWER RESIDENCE(港区)」、③平均住戸価格が2億円以上で総戸数が102戸とされる「ザ・パークハウス グラン 三番町26(千代田区)」がある。①と②の2023年3月の販売は第一期販売であり、今後も販売が継続される見込みである。

[図表5]1億円以上の住戸の初月契約率

[図表5]1億円以上の住戸の初月契約率

データ出所:(株)不動産経済研究所「首都圏 新築分譲マンション市場動向」

1980年~2013年竣工の高額マンションの中古市場での主な事例

高経年となっても「ヴィンテージマンション」は資産価値の落ちづらいマンションとして、高い人気があるとされる。1980年から2013年に竣工し、中古市場で坪単価600万円以上の高額マンション([図表6])にはヴィンテージマンションにふさわしいマンションが多く含まれると考えられる。港区と渋谷区を中心に事例があり、2000年以前は10階建以下が多かったが、2000年以降では20階建以上の高層マンションが中心になっている。

※明確な定義はないが、立地・高級感・敷地面積・知名度などが優れ、具体的には坪300万円以上、専有面積100㎡以上などの条件があるとされる。

[図表6]中古市場における1980年~2013年竣工で坪600万円以上の主な事例

[図表6]中古市場における1980年~2013年竣工で坪600万円以上の主な事例

データ出所:各不動産仲介サイト(2023年7月時点)から都市未来総合研究所作成

発    行:みずほ不動産販売株式会社 営業統括部

〒103–0027 東京都中央区日本橋1–3–13 東京建物日本橋ビル

レポート作成協力:株式会社都市未来総合研究所 研究部

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