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この記事の概要
欧米を中心に利上げが行われているが、国内では金融緩和策による低金利が継続しており、相対的に安定した収益が得られる国内不動産への投資需要は旺盛と考えられる。日本不動産研究所による不動産投資家(アセット・マネージャー、デベロッパー、生損保等。大半が国内企業)を対象とした投資スタンスに関する調査では、「新規投資を積極的に行う」との回答が9割超、「当面、新規投資を控える」との回答割合は1割未満で推移している[図表1]。新型コロナ感染拡大当初の2020年4月調査では積極投資の回答割合が若干低下したが翌10月調査では回復し、直近2023年4月調査は3月に米欧金融機関の破綻が続き金融不安が台頭した直後であったが投資スタンスに変化はみられない。
[図表1]今後1年間の不動産投資に対する考え方(複数回答)
*調査方法:アンケート調査(複数回答あり)。回答属性:アセット・マネージャー、アレンジャー、デベロッパー、生損保、商業銀行・レンダー、投資銀行、年金基金、不動産賃貸等。大半が国内企業
データ出所:一般財団法人日本不動産研究所「不動産投資家調査」
不動産投資は、自己資金に加え金融機関から資金を調達する形態が一般的であり、金融機関の不動産融資姿勢に大きく左右される面がある。日銀が調査する不動産業向けの貸出態度判断DI(金融機関の貸出態度について「緩い」と答えた企業割合から「厳しい」と答えた企業割合を引いたもの。プラス(マイナス)ほど資金調達環境が良い(悪い))は、2017年頃から低下基調で推移しているが、依然としてプラス圏で推移している[図表2]。また、回答割合をみると、「厳しい」の回答割合が大きく増加したわけではなく、「緩い」の回答割合が減少していることがDI低下の要因であり[図表3]、資金調達環境が比較的良好であることも不動産投資意欲の後押し材料と考えられる。
他方、投資用不動産を保有する立場では、低金利下で代替投資先が乏しいことに加え、資金調達環境が良好であるがゆえ、保有物件を売却する機運は高まらず(図表1の「既存所有物件を売却する」の回答割合参照)、不動産投資市場は品薄感の強い状況が続いていると考えられる。その結果、コラムに示すように期待利回りは低下基調で推移している。ただし、期待利回りは相当低い水準となっており、国内金利の上昇圧力が強まる中、利回りの低下余地は徐々に少なくなっていると考えられる。
[図表2]金融機関の不動産業向けの貸出態度判断DI
データ出所:日本銀行「全国企業短期経済観測調査」
[図表3]金融機関の不動産業向けの貸出態度判断の回答割合
賃貸マンションの期待利回りは、三大都市圏だけでなく地方主要都市も10年以上低下基調が続いている。直近2023年4月調査でも東京、さいたま、千葉、名古屋、大阪で利回りが低下、その他の都市も横ばいで上昇に転じた都市はない。2008年の世界金融危機後の最高値(2009~2011年頃)から直近調査までの利回り低下幅は、札幌と仙台が2.9%ptと最も高く、最も低い東京でも2.2%ptとすべての都市で2.0%pt以上低下している。世界金融危機前の不動産マーケット好況期(2007年)と比較すると各都市とも1%pt程度低い水準である。
[図表4]主要都市の賃貸マンションの期待利回り
発 行:みずほ不動産販売株式会社 営業統括部
〒103–0027 東京都中央区日本橋1–3–13 東京建物日本橋ビル
レポート作成協力:株式会社都市未来総合研究所 研究部
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※2023年7月27日本編公開時の情報に基づき作成しております。情報更新により本編の内容が変更となる場合がございます。
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