1.基本的な管理業務に関して確認していきましょう
管理会社は主に「入居者管理業務」と「建物管理業務」の2つの管理業務を行っています。入居者管理業務は、一般的に6つに分類することができます。以下表のとおり、まさに「入居者」に関わる業務であり、賃貸不動産経営の場合、入居者からの賃料収入が収入源ですから、ひとつひとつ丁寧な対応をする必要があります。
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項目 |
概要 |
1 |
入居者募集業務 |
空室が生じた場合、速やかに入居者募集を行う |
2 |
賃貸契約締結業務 |
入居者との賃貸契約書の締結、敷金・礼金などの徴収を行う |
3 |
賃料等の徴収業務 |
毎月の賃料等の徴収業務で賃料滞納者がいた場合には、保証会社への手続きや督促通知を行う |
4 |
入居者の苦情対応を中心とした管理運営業務 |
入居者からの設備の不具合や騒音などといった苦情が生じた場合の対応を行う |
5 |
契約更新業務 |
更新料などの徴収、更新のための書類の取り交わしを行う |
6 |
退去手続きなどの解約業務 |
退去希望者がいる場合には、退去時に室内状況確認のための立会いを実施し、原状回復業務に伴う修繕および敷金の精算を行う |
次に、建物管理業務についてですが、主に建物の清掃や設備点検・修繕などの建物の維持管理を行う業務です。具体的には、日常清掃や定期清掃の計画立案と実施・各種日常点検や法定点検・リフォーム業務があります。
入居者にとって建物の維持管理は住まいとしての美観や設備利用上の問題として極めて重要です。建物維持管理が疎かになると入居者の満足度が低下し、空室率が高くなるなどの収益確保の面で悪影響を及ぼすことになります。
2.管理会社を選定する7つのポイント
管理会社を選定するうえで、確認しておきたいポイントを挙げてみます。
①入居者募集時の成約率が高い(客付け力)
客付け力が高い管理会社であれば、空室期間を短縮することが期待できます。その選定の判断材料としては、不動産ポータルサイトの活用と独自の入居者募集(大学や一般企業との提携など)システムを持っているかなどがあります。広告掲載内容も写真や動画、コメントに工夫が見られるなど入居者目線での情報提供が行われているか参考にすると良いと思います。
②管理委託料が高すぎないこと。
管理委託料には、法定の上限などはありませんので管理会社ごとに異なります。目安としては、公益財団法人日本賃貸住宅管理協会の2022年11月のアンケートによると、全国平均で賃料の4%が31.7%、5%が41%となっており、5,000戸以上の管理戸数の管理会社では、4%が39.8%、5%が32.5%となっていますので管理会社のスケールメリットも影響しているものと思われます。参考にしては如何でしょうか?
③管理会社全体での管理物件データが共有されている。
窓口が一元化されていて対応が早いことも判断基準になります。つまり、担当者が不在であっても、転勤になっても安心できるということになります。
④管理業務の幅が広い内容になっていること。
管理業務にはさまざまな業務範囲がありますので、それぞれの管理会社がどのような業務を手掛けているか、また管理委託契約にどのような具体的業務内容が含まれているかを確認するのが良いと思います。
⑤24時間のトラブル対応のシステムがあること。
同じ24時間対応システムでも単に苦情受付だけを行う場合と、内容によっては駆けつけ対応を行っているなど、その内容には差異がありますので十分に確認しておく必要があります。
⑥担当者の対応がタイムリーで丁寧であること。
当然ながら管理会社との付き合いは長期になるケースが多くなりますので、何でも気軽に相談でき、さまざまな業務内容に関しても対応してもらえるかどうかは、重要な判断材料になります。
⑦管理会社の変更が問題なくできること。
管理会社を変更しようとしたときに、現管理委託契約を解約する際に違約金が発生するケースもあるので確認しておくことが必要です。また、売買などで買主が現管理会社を承継しない場合に、管理会社によっては入居者が受けているサービスがそのまま継続できないケースがありますので注意が必要です。