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地価LOOKレポートにみる三大都市圏等の地価動向New

みずほ不動産販売 不動産市況レポート 6月号

この記事の概要

  • 2022年第4四半期(2022年10月1日~2023年1月1日)は、三大都市圏では、名古屋圏に続き、大阪圏の全ての地区が上昇になった。東京圏でも上昇地区が増加しており、地価の回復傾向が続いている。
  • 2019年第4四半期以来3年ぶりに、地方圏を含めた調査対象の全ての地区が上昇または横ばいとなった。

三大都市圏および地方圏で地価の回復が継続

2022年第4四半期(2022年10月1日~2023年1月1日。以下、当期という。)の地価LOOKレポート※1によると、大阪圏は、神戸市三宮駅前の商業地が前期の横ばいから上昇に転じたことで、全ての地区が上昇になった[図表1と図表2]。東京圏ではインバウンドの回復期待等から新宿区歌舞伎町や渋谷区表参道の商業地が横ばいから上昇に転じるとともに、複数の大規模再開発事業等が進む中野区中野駅周辺の商業地が前期の0~3%上昇から3~6%上昇に移行するなど、地価の回復傾向が続いている。

地方圏(地方中心都市等)では、当期において、郡山市郡山駅周辺や金沢市金沢駅周辺、福岡市博多駅周辺の商業地が横ばいから上昇に転じた[図表2]。また、新型コロナウイルス感染拡大の長期化による店舗需要の低下が底を打ち始め、オフィス需要は比較的安定した状態が続いた熊本市下通周辺の商業地が下落から横ばいに転じた。

熊本市の商業地が横ばいに転じたことにより、地方圏を含めた調査対象の全商業地※2では当期に下落地区がなくなり、57地区中48地区(84%)が上昇になった[図表3]。全住宅地※2は、2022年第2四半期に既に全地区が上昇となっており、当期も全地区の上昇が続いた。マンション需要に引き続き堅調さが認められたことが住宅地の上昇継続の要因とされている。

商業地で下落地区がなくなったことにより、2019年第4四半期以来3年ぶりに当期は調査対象の全ての地区が上昇または横ばいとなった[図表3]。

※1:先行的な地価動向を明らかにするため、主要都市の高度利用地等を対象に国土交通省が四半期毎に公表する地価動向。対象地区は2022年第一四半期から東京圏35地区、大阪圏19地区、名古屋圏8地区、地方圏(地方中心都市等)18地区の計80地区。東京圏は埼玉県、千葉県、東京都および神奈川県、大阪圏は京都府、大阪府および兵庫県、名古屋圏は愛知県

※2:商業地(商業系地区)とは店舗、事務所等が高度に集積している地区、住宅地(住宅系地区)とは高層住宅等により高度利用されている地区

[図表1]三大都市圏の地価動向(上昇・横ばい・下落地区数の割合の推移)

[図表1]三大都市圏の地価動向(上昇・横ばい・下落地区数の割合の推移)

データ出所:国土交通省「主要都市の高度利用地地価動向報告 ~地価LOOKレポート~ 」

[図表2]2022年第4四半期の各地区の詳細情報(抜粋)

[図表2]2022年第4四半期の各地区の詳細情報(抜粋)

データ出所:国土交通省「主要都市の高度利用地地価動向報告 ~地価LOOKレポート~ 」

[図表3]調査対象の全商業地/全住宅地の地価動向(上昇・横ばい・下落地区数の割合)

[図表3]調査対象の全商業地/全住宅地の地価動向(上昇・横ばい・下落地区数の割合)

データ出所:国土交通省「主要都市の高度利用地地価動向報告 ~地価LOOKレポート~ 」

住宅価格の動向

コロナ下における広さや快適さを求めた住み替え需要の増加や金利が低水準であること、建築資材高騰による建築費上昇等により、2020年以降、不動産価格指数(住宅)※3の上昇が顕著にみられる[図表4左]。住宅総合の指数(月次データの季節調整値、2010年平均=100)は2023年1月に前月比で7ヵ月連続上昇し134.3となっている。

マンションは実需に加え投資需要も強いとみられ、マンション(区分所有)の指数は2023年1月に189.4まで上昇している[図表4左]。一棟のマンション・アパートの指数(商業用不動産※4、四半期毎の季節調整値、2010年平均=100)も2022年第4四半期に前期比で12期連続上昇し157.9となり、商業用不動産総合との差は拡大した[図表4右]。

※3:国土交通省が実施する「不動産の取引価格情報提供制度」により蓄積された取引価格情報報(以下「取引事例データ」という。)に基づく。マンション(区分所有)は「区分所有建物」もしくは「区分所有建物の敷地」として所有権移転登記がなされたもので主に中古マンションが対象

※4:商業用不動産は取引事例データにJ-REIT適時開示情報のうち不動産信託受益権取引に係る情報を加えたデータに基づく。

[図表4]不動産価格指数の推移

[図表4]不動産価格指数の推移

データ出所:国土交通省「不動産価格指数」

発    行:みずほ不動産販売株式会社 営業統括部

〒103–0027 東京都中央区日本橋1–3–13 東京建物日本橋ビル

レポート作成協力:株式会社都市未来総合研究所 研究部

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