文字サイズ
この記事の概要
1991年のバブル崩壊以降、日本は30年以上も経済停滞にあえいできましたが、2021年後半あたりから徐々にインフレ基調へと推移しており、上昇傾向にあります。
(図1)消費者物価の基調的な変動(刈込平均値・加重中央値・最頻値)
出典:日本銀行HP「基調的なインフレ率を捕捉するための指標」ページ
刈込平均値:品目別価格変動分布の両端の一定割合(上下各10%)を機械的に控除した値
加重中央値:価格上昇率の高い順にウエイトを累積して50%近傍にある値
最頻値:品目別価格変動分布において最も頻度の高い価格変化率
こうした動きに応じて、賃金の上昇や需要・生産の増大など、経済の好循環を期待したいところですが、インフレは私たちにとっていいことばかりではありません。物価上昇は所有する資産の目減りにもつながるためです。特に現金は、資産の目減りがインフレの度合いに直結します。皆様の大切な現金も、何もせずそのままではインフレによって物価が2倍になると価値が半分に下がってしまいます。
それを防ぐためには、手持ちの現金について、物価上昇率以上の利回りで増やす必要が出てきます。しかし、現在のところ、現金を金融機関に定期預金として預けても利子は0.001〜0.02%程度と、とてもインフレ上昇分をカバーできません。
世界的なインフレ基調に推移しつつある中、資産価値維持のためには積極的な資産運用や投資活動が欠かせません。皆様の保有資産について、現金や預金のほかにさまざまな資産を組み合わせ、バランスのよいポートフォリオづくりが不可欠の時代になっているのです。
多種多様な資産の中でも、インフレに強い性質を持つ資産があります。
不動産や金(きん)などは「現物資産」と呼ばれ、インフレに強い資産として知られています。不動産や金自体が価値を有しており、将来的な価値が極端に下がるリスクが少ないのが特徴です。インフレ下ではこうした現物資産が積極的に選ばれる傾向にあるため、現物資産の保有は価値の維持のみならず、上昇が期待できます。特に不動産投資商品は、収益の源泉となる「家賃」や「物件価格」が物価上昇と連動していく傾向があり、インフレが有利に作用する面を併せ持ちます。
不動産投資は、税制優遇の面でも効果の高い投資手法といえます。購入した建物や付帯設備については「減価償却」のルールが適用されますから、実際には支出がないにもかかわらず、所得税を計算する際の経費として計上できます。また、「損益通算」によって、不動産所得に関する赤字を給与所得など他の個人所得と相殺することができます。将来発生する相続時にも、不動産投資を活用した相続前準備が可能です。
【合わせて読みたい】
もちろん、不動産投資にもさまざまなリスクが存在します。空室や家賃滞納などのリスクのほか、現金や預貯金などと比べると換金性などで劣る部分があります。また、保有してただ寝かせておけば自動的にリターンが得られるわけではなく、保守や管理などの手間を必要とします。
しかし、こうした不動産投資のリスクは、デメリットというより、投資商品としての「特徴」でもあります。一定のリスクを理解・納得すれば、リスクとリターンのバランスを投資家自身で自在にハンドリングできる、魅力的な投資手法ともいえるでしょう。
(表1)不動産投資の考え方の整理例
・税制優遇の面(「減価償却」「損益通算」「相続前準備」)
・「賃料」(インカムゲイン)と「物件売却」(キャピタルゲイン)、2つのフェイズでリターンの向上を狙える
・現物資産なので、資産価値がゼロになる可能性が限りなく小さい
・現金資産などと比べると流動性が低い(換金までに時間がかかる)
・資産保有後、一定の保守や管理が必要(委託も可能)
・災害リスク(地震、台風などの天災)
・「適切なエリアの選択」や「まめな建物メンテナンス」により、長期にわたって安定的なリターンが期待できる
最後に、一棟マンション投資の投資的性格についてご紹介しましょう。「一棟投資」は不動産投資の中でも、さらに独自のメリットやリスクヘッジの性質を有しています。それらをかいつまむと、「スケールメリットを最大限活用できる投資手法」と表現できるかと思います。
一棟マンションによる投資は、共用部を含めた複数戸、一棟単位で運用する賃貸経営手法です。建物の経年に伴う修繕や改修などの工事など、室数の多さから管理コストの圧縮が期待できます。この母数の大きさこそがスケールメリットによる生産性向上や投資効率の上昇、中長期的な運用におけるさまざまなリスクのヘッジにつながっていきます。リスクヘッジの例としては、空室時のダメージリスクの最小化が挙げられます。月々の賃料収入を考えてみます。一戸(室)だけの賃貸経営は、入居者の退去によって翌月からの賃料がゼロになってしまいます。つまり100か0なのです。対して一棟マンションは、一部退去者が出ても翌月の賃料収入がいきなりゼロになることはありません。
空室が発生しても、原状回復ののち再度入居者を待つだけでなく、時代とともに変化する顧客ニーズに合わせてのリノベーションなど、新規投資にもチャレンジできます。このような実践の連続が、賃料の維持や向上、長期入居による空室率低下、リターンの向上につながっていきます。つまり、一棟投資は戸数が多い分リスクが増加するのでなく、むしろ分散や、ヘッジする方向にも作用するのです。
(表2)一棟投資のメリット例
先に、「バランスのよいポートフォリオづくりを」と申し上げました。そんな中、不動産投資は「長期保有し、積極的に運用することで、安定的かつ高いリターンの期待できる資産」として、インフレ時代の資産運用方法の中核を担っていくと思われます。一棟投資マンションは現代に必須なライフプランであり、インフレ時代にマッチした投資商品といえるのです。
日経BPコンサルティング
※ 本コンテンツは、不動産購入および不動産売却をご検討頂く際の考え方の一例です。
※ 2023年4月27日本編公開時の情報に基づき作成しております。情報更新により本編の内容が変更となる場合がございます。
手間とリターンを自在にコントロールできる不動産の「一棟投資」
2023/03/30
マーケット
自宅や実家を賃貸するときの3つのポイント
2021/05/31
手続き
法律
賃貸管理
住居兼事務所という貸し方について、オーナーが知っておくべきこと
2021/02/26
トラブル
税金
買主さま
成約インタビューVOL.4 愛知県瀬戸市在住 H様編 —物件・会社・担当者の対応...
2020/02/07
売主さま
成約インタビューVOL.3 大阪府大阪市北区在住 D様編 —直感通り、みずほ不動...
2019/01/17
成約インタビューVOL.3 東京都世田谷区在住 F様編 —相続した不動産の売却か...
2019/09/27