2.サブリースのデメリット
サブリース方式にはメリットがある半面、デメリットもあります。サブリース新法では、メリットのみを伝えて勧誘する行為が禁止されています。
事業経験の浅いオーナーがよく理解せずに契約しがちなデメリットを、同じく以下表にて4点挙げてみます。
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デメリット |
コメント |
1 |
マスターリース契約の家賃は減額となる可能性がある |
借地借家法第32条には「建物の賃料が、租税その他の負担の増減、土地・建物の価格の上下、その他の経済事情の変動により、または相場の変動により近隣の同種の建物の賃料に比べて著しく不相当となったときは、賃料増減請求権が認められる」という規定があります。マスターリース契約ではオーナーが賃貸人、サブリース事業者が賃借人となるため、契約期間中や契約更新の際に賃料減額請求をされる可能性があります。 |
2 |
契約期間中でもマスターリース契約が解除される可能性がある |
マスターリース契約書の条項に、サブリース事業者から解約することができる旨の規定がある場合には、賃料減額請求があり折り合いがつかない場合等に、サブリース事業者側から契約解除できてしまいます。 |
3 |
オーナー側からマスターリース契約を解除したい場合に、正当事由が必要になる |
借地借家法第28条はいわゆる立ち退きに関わる条項ですが、マスターリース契約ではオーナーが賃貸人、サブリース事業者が賃借人となるため、オーナー側に正当事由が必要となり、簡単に解除できないということになります。 |
4 |
原状回復や設備の修理・交換費用、建物の修繕費用は原則オーナー負担 |
マスターリース契約書の条項にこれらの費用がオーナー負担と記載がある場合は、修繕等が発生した場合に毎月のマスターリース賃料から差し引かれて支払われます。 |
3.サブリース方式をうまく活用するためには
サブリース方式は、きちんと理解して活用できればとても便利な仕組みです。しかし、世の中で発生しているトラブルの大半は、オーナーが賃貸経営のリスクやマスターリース契約書の内容を十分理解しないままに、契約締結していることから発生しています。
サブリース方式も一般の賃貸も、収益の源泉は入居者が支払う家賃であることには変わりありませんので、賃貸経営がうまくいくためには、そのエリアのニーズに合った物件が相場の賃料で提供されていることが大前提となります。オーナー自身でも不動産ポータルサイトなどを見て市場性を調べるべきでしょう。
また、賃貸住宅は新築当初は入居者が決まりやすいですが、築年数がある程度古くなってくると決まりにくくなってくるため、家賃を下げて募集するのも一般的です。賃貸経営は長期間行うものなので、事業計画に値下がりリスクを織り込んでおく必要があります。
さらには、賃貸経営をうまく行かせるためには大小の修繕が欠かせませんので、事業計画にその修繕費用を見込んでおかなければなりません。退去した後のリフォームをきちんとしなければ次の入居募集が難しくなりますし、エアコンや給湯器などの設備が故障した場合には修理や交換が必要となります。建物の大規模修繕も、10~15年周期で実施しなければなりません。
サブリースの仕組みをうまく使うには、これらをオーナーがきちんと理解することが重要です。