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東京圏、大阪圏における新築分譲マンションの市場動向New

みずほ不動産販売 不動産市況レポート 3月号

この記事の概要

  • 2022年の新築分譲マンションの発売戸数は、東京圏※1では前年から12.1%、大阪圏※1では5.8%減少した。
  • 同初月契約率は、東京圏では12カ月中6カ月で好不調の目安とされる70%を超えた。大阪圏では東京圏を上回る12カ月中10カ月で70%を超えた。
  • 同発売価格は、東京圏、大阪圏ともに上昇基調が続いた。新築戸建て住宅価格との価格差は、東京圏では2020年からの縮小が続いており、大阪圏では拡大から横ばいに転じた。

1)東京圏、大阪圏における新築分譲マンションの発売戸数、初月契約率等の動向

2022年(2022年1月から2022年12月)の新築分譲マンションの発売戸数は、不動産経済研究所の調べによると、東京圏では29,569戸で、東京都内の減少率が大きく、前年から12.1%減少し、2年ぶりの3万戸割れとなった[図表1]。大阪圏は17,858戸で、京都府下や神戸市部の減少率が大きく、前年から5.8%減少した。一方、発売戸数の先行指標である着工戸数は、東京圏では2022年に前年から4.8%増加、大阪圏では同10.0%増加している[図表1]。今後、各圏域の発売戸数も増加する可能性はあるものの、東京圏の発売戸数は新型コロナウイルス感染拡大以降の低水準が続くとみられる。

2022年の新築分譲マンションの初月契約率は、東京圏では12カ月中6カ月で好不調の目安とされる70%を超えた[図表2]。11月に販売された「HARUMI FLAG」の185戸は即日完売し、最高倍率は105倍であった。大阪圏では東京圏を上回る12カ月中10カ月で70%を超えた。発売戸数が減少する中、需要は比較的堅調のため販売在庫数は減少しており、2022年12月の在庫数は、東京圏では前年同月比13.6%減の5,919戸、大阪圏では同11.3%減の3,905戸となった[図表2]。

※1:東京圏は、東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県。大阪圏は、大阪府、兵庫県、京都府、奈良県、滋賀県、和歌山県

[図表1]新築分譲マンションの発売戸数、着工戸数 東京圏(左)、大阪圏(右)

[図表1]新築分譲マンションの発売戸数、着工戸数 東京圏(左)、大阪圏(右)

データ出所:不動産経済研究所「首都圏・近畿圏新築分譲マンション市場動向」、
国土交通省「建築着工統計調査報告」

[図表2]新築分譲マンションの初月契約率、販売在庫数 東京圏(左)、大阪圏(右)

[図表2]新築分譲マンションの初月契約率、販売在庫数 東京圏(左)、大阪圏(右)

データ出所:不動産経済研究所「首都圏・近畿圏新築分譲マンション市場動向」

2)東京圏、大阪圏における新築分譲マンションの価格等の動向

新築分譲マンションの発売平均価格※2は、東京圏では2013年頃からの上昇基調が続いており、2022年12月(12カ月後方移動平均値)は6,370万円であった[図表3]。大阪圏ではコロナ下の2020年からの上昇基調が続き、同4,611万円であった。

2022年の新築分譲マンション価格を新築戸建て住宅価格※2と比較すると、東京圏では価格差は2020年からの縮小が続いており、大阪圏では拡大から横ばいに転じた[図表3]。東京圏では、コロナ下において建築費高騰などにより新築戸建て住宅価格が横ばいから上昇に転じた一方、新築分譲マンション価格はコロナ下でも大きく上昇していないため、価格差は縮小している。新型コロナウイルス感染拡大前から上昇が顕著で既に高値圏にあることから高騰する建築費を従前のように発売価格に転嫁するのが難しくなっていることや、専有面積の縮小等により発売価格を抑え需要を喚起する動きが続いていること、価格帯が高い都区部の発売戸数の割合が低下したこと等が新築分譲マンションの発売平均価格の上昇が抑えられている要因として考えられる。大阪圏では、感染拡大前には上昇していなかった新築分譲マンション価格がコロナ下で新築戸建て住宅に先行して大きく上昇したが、2022年は双方の価格が同程度上昇しているため、価格差の拡大は落ち着きをみせている。

※2:季節要因を含め短期変動を除き、傾向を分かりやすくするため12カ月後方移動平均にしている。

[図表3]新築分譲マンションの発売平均価格の推移および新築戸建て住宅価格との価格差 東京圏(左)、大阪圏(右)

[図表3]新築分譲マンションの発売平均価格の推移および新築戸建て住宅価格との価格差 東京圏(左)、大阪圏(右)

データ出所:不動産経済研究所「首都圏・近畿圏新築分譲マンション市場動向」、
東日本不動産流通機構「Market Watch」、近畿圏不動産流通機構「マンスリーレポート」

木造戸建て住宅の建築費指数はマンションの指数を上回って推移

建設物価調査会によると、2022年のマンション(RC造集合住宅)の建築費指数は、東京、大阪ともにコロナ下における2020年半ばから上昇傾向が続いている[図表4]。戸建て住宅(木造住宅)の建築費指数は、2021年に入ってから大きく上昇し、2022年12月の戸建て住宅の建築指数は東京、大阪ともにマンションの指数を上回っている※3。戸建て住宅の価格上昇要因は各種資材や住宅設備の値上げ、人件費の上昇等と考えられるが、中でも価格上昇が顕著であった木材価格の急騰が直近では収まるなど[図表5]、木造戸建て住宅の建築費の上昇圧力は弱まる可能性がある。

※3:いわゆるウッドショック。コロナ下の米国で、住宅ローン金利の低下やテレワークの浸透から戸建住宅の需給が急回復する中、木材の供給が追いつかず価格が上昇。世界的なコンテナ不足や中国の木材需要の増大等により日本国内の木材輸入量は減少し、円安の影響もあり、輸入材の価格が上昇した。国産材の価格も急な輸入材の代替需要への対応が難しいこと等から上昇した。

[図表4]建築費指数の推移

[図表4]建築費指数の推移

データ出所:建設物価調査会「建築費指数」

[図表5]建設資材(木材)価格指数の推移

[図表5]建設資材(木材)価格指数の推移

データ出所:経済調査会「建設資材価格指数」

発    行:みずほ不動産販売株式会社 営業統括部

〒103–0027 東京都中央区日本橋1–3–13 東京建物日本橋ビル

レポート作成協力:株式会社都市未来総合研究所 研究部

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