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この記事の概要
株式会社リクルートが実施した「2021年度 賃貸契約者動向調査(首都圏)」で、魅力を感じる賃貸住宅のコンセプトについてアンケートを行ったところ、DIYができる賃貸が第3位という結果となりました。22.3%が「魅力を感じる」と回答しており、賃貸住宅でも自分好みにしたいというニーズが高まっていることが分かります。
DIYの実施動機については、同じ調査の中でアンケートが実施されています。回答が多い順番に、以下のとおりで現状の不満を改善したいという動機が上位を占めていることが分かります。
データの出所:㈱リクルート「2019年度 賃貸契約者動向調査(首都圏)」
また、コロナ禍でリモートワークが増えた中、仕事のスペースを確保する必要性から「より広い物件に住みたい、そのためには築年数を妥協する」という方が増加しています。古い物件でも自分で手を入れて快適にしたいというニーズは、ますます高まってくるでしょう。
賃貸住宅に入居している方が行っているDIYには、どんなものがあるのでしょうか。
DIY可能ではない賃貸物件でも、以下のとおり退去時に元に戻せる範囲で手を加えているケースは以前から数多くありました。
これらも広義のDIYと言えるでしょう。
SNSでもDIYの情報に触れる機会が増え、「賃貸住宅でも自分好みに手を入れてみたい」という方は増えましたが、その一方で「退去時に原状回復費用がかるのは嫌だ」と考える方が非常に多いため、きちんと原状回復できる範囲でDIYを楽しむというニーズが高まりを見せました。貼ってはがせる壁紙やリメイクシート、天井や床を傷つけずに2×4材を柱として突っ張ることができるパーツなどが人気商品となり、インターネット上にも「原状回復できるDIY」の情報がたくさん紹介されています。
しかしその方法では、壁や木部にペンキを塗ったり、壁にビス穴をあけて棚やフックを付けたりするというような「原状回復できないDIY」は、従来の賃貸住宅ではやりたくてもできません。それを出来るようにしたのが、「DIY可能・原状回復義務なし」という貸し方なのです。
DIY可能物件として貸し出す際には、どの場所にどのようなDIYを行っても良いのかをあらかじめ決めておくと、入居者にとっても安心感があります。もちろんDIY可能だからといって、何でも許可しなければならない訳ではありません。例えば、「リビングの壁紙の貼り替えと木部塗装は可、その他は相談」などと取り決めます。
入居者からやりたいDIYの申し出があった際に、決めておくべき事項の順番は以下の表のとおりです。
文字情報だけでは分かりにくいので、間取り図に場所を示したり、部材の情報や設置イメージを写真等で添付してもらうとより分かりやすいでしょう。
また、DIY実施後にはスマートフォンのカメラで撮影した写真を送ってもらうようにしましょう。
なお、具体的な契約のやり方に関しては、国土交通省で公表しているDIY型賃貸借に関する契約書式例、ガイドブック、家主向けDIY型賃貸借実務の手引きが参考になります。
芸能人が古い物件をDIYで素敵に変身させるテレビ番組なども多く、若い人を中心に賃貸物件でのDIYニーズは確実に高まっています。築年数を経た賃貸物件にうまく取り入れることができれば、新たな魅力となる可能性がありますので、まずは興味を持って調べることから始めてみてはいかがでしょうか。
伊部尚子
公認不動産コンサルティングマスター、CFP® 独立系の賃貸管理会社ハウスメイトマネジメントに勤務し、賃貸仲介・管理業に20年従事。現在は不動産の利活用や相続支援業務を行っている。金融機関・業界団体等での講演多数。
※ 本コンテンツは、不動産購入および不動産売却をご検討頂く際の考え方の一例です。
※ 2023年1月30日本編公開時の情報に基づき作成しております。情報更新により本編の内容が変更となる場合がございます。
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