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地価LOOKレポートにみる三大都市圏の地価動向

みずほ不動産販売 不動産市況レポート 12月号

この記事の概要

  • 2022年第3四半期(7月1日~10月1日)は、三大都市圏で下落地区がなくなった。
  • 住宅地では、マンション需要に引き続き堅調さが認められ、全地区で上昇が継続した。
  • 商業地では、経済活動の正常化が進み、上昇地区が増加した。

2022年第3四半期は地価の回復が継続

11月18日に公表された2022年第3四半期(7月1日~10月1日。以下、当期という。)の地価LOOKレポート※1によると、東京圏では前期から下落が1地区減少し、全ての地区で上昇もしくは横ばいになった[図表1]。大阪圏では前期から上昇が4地区増加した。名古屋圏では2021年第4四半期からの全地区の上昇が継続し、三大都市圏全体としては、前期から上昇が4地区増加し、下落地区がなくなった。コロナ下において2020年の第2四半期と第3四半期に上昇地区は一時なくなったものの第4四半期には再びみられ、当期まで上昇地区の増加傾向が続いている。

三大都市圏の住宅地※2は、2022年第2四半期に大阪府豊中市の1地区が上昇に転じ全地区が上昇となり、当期も全地区で上昇が続いた[図表2]。マンション需要に引き続き堅調さが認められたことが上昇継続の要因とされている。東京圏の商業地※2は当期に下落地区がなくなり26地区中17地区(65%)が上昇になった。大阪圏の商業地は2022年第2四半期に下落地区がなくなり、当期は12地区中11地区(92%)が上昇になった。

当期において、東京圏では、港区六本木の商業地でテナントの出店意欲が回復し始め、前期の下落から横ばいになった[図表3]。また、都市機能等の更新が進んでいる豊島区池袋東口の商業地では前期の横ばいから上昇に、立川市立川の商業地では取引利回りが既に低水準に達していること等により前期の上昇から横ばいになった。大阪圏では、経済活動の正常化が進んでいる大阪市の4商業地(茶屋町や心斎橋、なんば、阿倍野)で前期の横ばいから上昇になった。

なお、地方圏(地方中心都市等)では、当期において、静岡市静岡駅周辺や高松市丸亀町周辺、那覇市県庁前の商業地が上昇に転じた。福岡市中央区大濠の住宅地では、全国で唯一の3%以上6%未満の高い上昇(他は0%超3%未満の上昇)が2022年第1四半期から続いた。

  1. ※1:先行的な地価動向を明らかにするため、主要都市の高度利用地等を対象に国土交通省が四半期毎に公表する地価動向。対象地区は2022年第1四半期から東京圏35地区、大阪圏19地区、名古屋圏8地区、地方中心都市等18地区の計80地区。東京圏は埼玉県、千葉県、東京都及び神奈川県、大阪圏は京都府、大阪府及び兵庫県、名古屋圏は愛知県
  2. ※2:住宅地(住宅系地区)とは高層住宅等により高度利用されている地区、商業地(商業系地区)とは店舗、事務所等が高度に集積している地区

[図表1]三大都市圏の地価動向(上昇・横ばい・下落地区数の割合の推移)

[図表1]三大都市圏の地価動向(上昇・横ばい・下落地区数の割合の推移)

データ出所:国土交通省「主要都市の高度利用地地価動向報告 ~地価LOOKレポート~ 」

[図表2]2022年の住宅地 ⁄ 商業地別の地価動向(三大都市圏の上昇・横ばい・下落地区数の割合)

[図表2]2022年の住宅地 ⁄ 商業地別の地価動向(三大都市圏の上昇・横ばい・下落地区数の割合)

[図表3]2022年第3四半期の各地区の詳細情報(抜粋)

[図表3]2022年第3四半期の各地区の詳細情報(抜粋)

図表2、3のデータ出所:国土交通省「主要都市の高度利用地地価動向報告 ~地価LOOKレポート~ 」

住宅地地価の長期推移

[図表4]住宅地の地価指数の長期推移

[図表4]住宅地の地価指数の長期推移

データ出所:国土交通省「都道府県地価調査」

2022年に全国の対前年変動率が31年ぶりに上昇に転じた都道府県地価調査の住宅地地価について、1975年を100とした地価指数(累積変動率)※を算定した。

平成バブル期の地価指数は東京圏と大阪圏では1990年に438と491で、名古屋圏では1991年に306でピークアウトしており、1975年の3~5倍程度の水準まで上昇した。

2006年から2008年頃のファンド・バブル期には東京圏では195、大阪圏では153、名古屋圏では184で2008年にピークアウトしている。

2022年の地価指数は上昇傾向にあり、東京圏では181、大阪圏では136、名古屋圏では184で、東京圏や大阪圏はファンド・バブル期のピークを下回るが、名古屋圏では同水準まで上昇している。

  • ※:地価指数(累積変動率)とは、各年の平均変動率を累年的に乗じて指数化したもので各年の地価水準等を示す。都道府県地価調査では変動率が1976年から公表されているため1975年を100として2022年までの指数を算定した。

発    行:みずほ不動産販売株式会社 営業統括部

〒103–0027 東京都中央区日本橋1–3–13 東京建物日本橋ビル

レポート作成協力:株式会社都市未来総合研究所 研究部

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