コンセントまわりの雑然さを解消させるには

マイホームで快適に過ごすコツ vol.10

この記事の概要

  • 自宅で所有する家電製品の増加につれて、コンセント不足という問題が出てきます。延長タップは手軽に増設できて便利な反面、生活感が剥き出しになり、美観を損ねがちというデメリットもあります。コンセントまわりをすっきりと見せ、かつ機能性を高めるためのアイデアについて整理しました。

コンセントまわりの雑然さを解消させるには

増え続ける自宅の家電製品

コロナ禍を経て、私たちの在宅時間は格段に増えました。リモートワークに代表されるように、これまで外部でしていた作業や行為を自宅で行ったり、自宅を舞台にライフスタイルを楽しむ“おうち時間”もすっかりポピュラーになりました。

コロナ禍で在宅時間が増えた方の6割以上が以前よりインテリアにこだわるようになり、うち9割近くが「インテリアに一番こだわる部屋」として「リビング」を挙げています。

■在宅時間が増えたことでインテリアにこだわるようになった場所(複数回答、n=456)

リビング 87.3% キッチン 47.8% ダイニング 36.6% 寝室 26.3% 玄関 22.8%

出典:株式会社一条工務店「住まいのインテリアに関する意識調査」2022年

新型コロナ感染症拡大の下、生活家電の売り上げも大きく伸長したそうです。2020年度、それまで季節家電であった空気清浄機の売り上げが突出して伸びた(前年度比100.7%増、経済産業省調べ)ように、自宅の生活必需品が増えた恰好です。ちなみに拙宅も、掃除ロボットや電動調理器具、DIY工具、タブレット端末などと、ここ最近家電製品が何かと増えています。

そう気づいて改めて室内を見渡すと、気になるのがコンセントまわりの見栄えの悪さです。電源コードやACアダプタ、変換プラグなどがコンセントや延長タップに群がるように集まり、リビングや居室の景観を損ねています。床を這うコードの束は見た目が悪いだけでなく、つまずきなどの事故の要因にもなりかねません。これを日常風景にさせないことが、室内の居心地を高めることにもつながるはずです。

“たこ足配線”状態のコンセントイメージ

“たこ足配線”状態のコンセント。見栄えが悪いばかりではなく、思わぬ事故の要因にもなりかねない。

1つの回路での同時使用は2000Wまで

コンセントの増設はそう難しいものではありません。家庭用の電源は、玄関上部などに設置されている分電盤からの配線ケーブルが、天井や床下、壁の内側を経て室内各所に配線され、コンセントとして主に壁に埋め込まれています。これらは通常、壁紙の内側にある石膏などのボードに穴を開けて取り付けられた、金属製の枠に固定されています。

2個口と3個口のコンセントは同じサイズなので、既存の枠やカバーをそのまま流用し、コンセント本体の交換だけで済みます(カバーの交換が必要なタイプもあります)。4~6個口に替える場合、2~3口のコンセントを2基並べるために、ボードの穴を拡張し、大型の取り付け枠に交換します。壁工事が加わる分、工事代金はやや高めになります。物理的なスペースがあり、壁に一定の強度があれば、まったく別の場所にコンセントをつくることもできます。この場合、近くを通る既存の電気配線を分岐させる形での新設になります。

コンセントを増やしたからといって、プラグを差し込んだ電化製品すべてが一斉に使えるわけではありません。1つの回路内では合計2000Wまでしか同時に使用できないのです。それ以上を同時使用すると、分電盤のブレーカーが電気を遮断してしまいます。いわゆる“ブレーカーが落ちる”状態ですね。そのためIHコンロや食洗機、洗濯乾燥機など、使用電力の大きい製品は専用電源を新設することもあります。

ただ、コンセント数が増えることで、延長タップをなくしたり、コードやケーブルを分散できたりと、室内のすっきり感につながります。使用する家電品のコードをいちいち差し替える必要もありません。

ホテルの客室内で見かける、ACコンセントとUSBコンセントが並んだタイプも、家庭でおなじみになってきました。コンセント上の変換プラグが不要になる分、すっきり感が格段にアップするはずです。個人的には、夜間スマートフォンを充電する定位置として、寝室のベッドまわりにUSBコンセントがしつらえられていると非常に便利かと思います。

延長タップは「隠す」「見せる」の上手な使い分けを

やっかいなのは、近年はACアダプタからの電源による家電製品が増えてきたことです。本体の小型化のためもあるのでしょうが、ゴツゴツ厚みのあるアダプタは見栄え悪化の戦犯であり、場所を取るため他のコンセントに干渉するなど非効率的です。そうなると、延長タップの活用も必要になってきます。ただ、闇雲なタップの使用は美観を低下させ、生活感を剥き出しにしてしまうため、すっきり感をキープできるものを厳選したいところです。

お薦めなのが、「コンセント付き家具」の導入です。複数のコンセントが付いたビジネスデスクやキッチン収納家具は、配線の多くが家具本体に隠れ、すっきり感につながります。また、延長タップを収納する「ケーブルボックス」は、やACアダプタやケーブル類を隠してすっきりおしゃれにまとめますし、ほこり除けとして安全性も高まります。

コンセント付き家具イメージ

逆に、デザイン性の高い延長タップを購入し、あえてオープンに見せるという手もあります。おしゃれなもの、カラフルなもの、木質など素材にこだわったものなど、露出してもさまになる商品を選ぶことで、生活感の払拭にもつながります。コンセントに直差しする「拡張コンセント」も、延長コードをなくして周囲をすっきりさせますし、AC100V電源だけでなくUSBコンセントも手軽に増設できます。

デザイン性の高い延長タップイメージ

このように、コンセント数を増やす方法は、主に電気工事による増設と延長タップの使用と、2通り検討できます。工事による増設はコードやケーブル類を分散させて室内のすっきり感を高め、USBコンセントを変換プラグなしに増設できて、機能性も高まります。対して延長タップは手軽に拡張できる上、生活感を払拭するデザインのものも登場しています。部屋による使い分けや費用対効果を考えて、選べばいいのではないでしょうか。

最後に、屋内の配線作業には電気工事士の資格が必要です。DIYが得意な方も、コンセントの増設は必ず電気工事店や家電量販店などに依頼してください。ただ、すべてが露出した形の延長コードや電源タップであれば、資格がなくても自作可能です。また、延長タップは消耗品として、数年での交換を当たり前にしてください。

解説

谷内 信彦 (たにうち・のぶひこ)

建築・不動産ライター。主に住宅を中心に、事業者や住まい手に向けて暮らしや住宅性能、資産価値の向上をテーマとして執筆活動を展開している。近年は空き家活用や地域コミュニティにも領域を広げる。著書に『中古住宅を宝の山に変える』『実家の片付け 活かし方』(共に日経BP社・共著)

※ 本コンテンツは、不動産購入および不動産売却をご検討頂く際の考え方の一例です。

※ 2022年11月29日本編公開時の情報に基づき作成しております。情報更新により本編の内容が変更となる場合がございます。